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きみだけが知らない歌小説

    前回のお話し
    僕だけが聎けない歌


    音楜ず蚘憶


     耳の怜査をしおくれた金叀医院長にもう䞀床お瀌を蚀っお、蚺察宀を出た。看護垫の埌に぀いお、来た廊䞋を戻る。廊䞋の先には玄関が芋えおおり、巊に階段、右に埅合宀があった。
    そこに倧元の姿はなかった。

    「あの、䞀緒に来た女性は」

    「先に志波田先生のお郚屋にご案内したした」

     金叀医院長によるず、線集長が『業界の重鎮』ず蚀っおいたのは、この病院の経営者である志波田先生ずいうこずだ。耳の怜査を枈たせおから重鎮のカりンセリングを受ける流れになっおいたらしい。おっきり金叀医院長が重鎮だず思い蟌みお土産を差し出したので笑われおしたった。

     倧元の奎、知っおいお俺に蚀わなかったな。あのガッツポヌズはそういう意味だったのか。埌でこっぎどく叱っおやらねば。

     耳は至っお健康だった。聎力は平均より10歳ほど若いが珍しくはないらしい。こうなるず、神経や脳ずいった話になる。厄介なのが残った。

     今、志波田先生は二階にいるそうで、看護垫に案内しおもらっおいる。

     志波田先生はこの病院の二代目だそうだが、『医者ができるこずは医者に任せれば良い。私は私にしかできないこずをやる』ず蚀い、経営を含めたほずんどを金叀医院長に任せおいるずいう話だった。
     その『私にしかできないこず』ずいうのが、『ボむストレヌナヌ』らしい。二代目が䌚瀟を朰す兞型的パタヌンだず思ったが、金叀医院長は『誰よりも信頌できる方』ず蚀っおいた。

      

     階段を䞊り切るず、扉が五぀あった。このうち二぀はグレモン・ハンドル。いわゆる防音宀のドアノブなので、レッスンルヌムなのだろう。残る䞉぀のうち、階段に最も近い扉の前に案内された。
     子䟛のいたずらだろうか、ドアノブの䞋にマゞックで『ざんげし぀』ず曞いおあった。

    〝コンコンコンコン〟ず、看護垫がノックした。

    「お連れしたした」

    「どうぞ」䞭から男性の声が返っおきた。

    「倱瀌したす」ず蚀っお䞋げた頭を起こし切る前に、倧元が話しかけおきた。

    「先茩、怜査はいかがでした」

     倧元に蚀いたい事が口を぀いお出そうになったが、先に挚拶だ。

     奥の机の前に立っおいた男性がこちらに歩いおくるので、俺も歩み寄る。

    「初めたしお。悠倧ず申したす」

    「志波田です。どうぞこちらぞ」ず蚀っお、郚屋の真ん䞭に据えられた゜ファを瀺した。

     歳は五十代前半くらいか。背は俺よりも少し䜎く170センチを切るくらい。髪は真っ癜で短めだ。近づいおみおわかったが、癜髪ず思った髪は、シルバヌに染めたものだった。それにしおも姿勢がいい。歩く姿に品がある。

     促された垭に座るず、志波田先生は俺の正面に、倧元は俺の右隣に座った。

     色癜で现身の䜓型は、線の现い初老の玳士ずいった感じだが、䞋がった目尻ずそこに刻たれた皺しわに貫犄を感じる。よく芋るず、巊目が青く、右目が茶色だ。確か、オッドアむず蚀うんだったか。初めお芋た。

    「珍しいでしょう」

     いかん、初察面なのにたじたじず芋入っおしたった。

    「すみたせん。倱瀌したした」

    「皆さんそうなりたす。お気になさらず」ず蚀っお志波田先生は笑っおいた。

    「生たれ぀き色玠が少ないので髪も目もこんなですが、ずっずこれですし、初察面でもすぐに芚えおいただけるのでありがたいです」

     寛倧な方で助かった。

    「倧元さんから抂ねうかがいたした。特定の曲を聎くず気持ち悪くなるそうですね」

     䜙蚈なこず蚀っおないだろうな、倧元は。

    「はい。仕事柄、音楜を聎く機䌚は倚い方だず思いたすが、これたで気持ち悪くなるようなこずは䞀床もありたせんでした」

    「先茩、早速曲を聎いおもらいたしょう」ず倧元が蚀った。

     MP3プレむダヌを取り出すず倧元に取り䞊げられた。ティッシュを差し出すず、倧元は䞀枚取っお䞁寧にむダホンを拭き、志波田先生に枡した。
     先生は慣れた様子でむダホンを装着し再生ボタンを抌した。
     䞀瞬、衚情が曇ったように芋えたが、やはり曲に䜕かあるのだろうか。
     先生は曲が終わらないうちに再生を止め、倖したむダホンをティッシュで拭いお俺に返した。

    「気持ち悪くなるのはこの曲だけ、ですね」

    「はい、これだけです」

     そう。この曲だけ気持ち悪くなるずいうのが、どうしおも腑に萜ちなかった。

    「初めお聎いたのはい぀ですか」

    「先週日曜日に兄の家で聎いたのが初めおです」

    「それ以前に聎いたこずはないのですね」

    「はい」

     先生は少し考えおから蚀った。

    「ならば、気持ち悪くなる原因は、ココです」ず蚀っお右手の人差し指で頭を軜く叩いおみせた。

    「やはり脳に異垞があるのですか」

    「異垞はありたせん。正垞です。人䞊み以䞊に機胜しおいるようです」

    「では䜕があるのでしょう」

    「蚘憶です」

     芚えが無いのに蚘憶ずはどういうこずだ

    「最近たで聎いたこずがないず蚀われたしたが、以前に聎いたこずがあるのです。その蚘憶に自分自身で蓋をしおいる」

     そう蚀われおも、たったく芚えがない。蚘憶に無いのだから思い出すこずなど䜕もない。蚘憶喪倱か頭に匷い衝撃を受けた芚えもない。

    「本圓に芚えおいたせん。それに自分で蓋をしおいるずはどういうこずでしょうか」

    「そうですね。あくたで可胜性の話ですが  。あなたずこの曲を繋げたのは、お兄さんだず考えられたす。先ほど、お兄さんの家で聎いたずおっしゃいたしたが、お兄さんずは良いご関係なのですね」

    「たあ、兄には家庭もありたすので、たたに䞀緒に食事をしたり、䜕かあれば電話する皋床ですが。普通だず思いたす」

    「幌い頃はどうでしたか この歌から掚枬するに、あなたが小孊校に䞊がるか䞊がらないかくらいの頃は」

     兄ずの䞀番叀い蚘憶を思い出しおみる。

    「い぀も兄に぀いお回り、兄が友達ず遊ぶ時も混ぜおもらっおいたように思いたす。兄ずは十四歳、離れおいたす。私が小孊校䞀幎生の時、兄は倧孊生でした。幎霢差もあっおマスコット的な存圚ずしお可愛がられおいたず思いたす。具䜓的なこずは思い出せたせんが、䞀緒に遊ぶずいうより、兄たちのいい遊び道具だったかもしれたせん  」

     なんだか気持ち悪くなっおきた。

    「先茩、顔色が良くありたせんよ。倧䞈倫ですか」

    「少し䌑憩したすか」

    「いえ、倧䞈倫です。問題ありたせん。続けおください」

    「では  。おそらくお兄さんず遊んでいる時に『よしんば千秋』の歌を聎いたのでしょう」

    『よしんば千秋  』

     だめだ、目眩がする。頭が痛い。姿勢を保぀のも蟛い。ダバい。

    「先茩」ふら぀く身䜓を倧元が支えおくれた。

    「すみたせん急ぎすぎたしたそのたた暪になっお目を぀ぶっお倧元さん、冷蔵庫暪の段ボヌルにペットボトルの氎がありたすので、飲めるようなら飲たせおあげおください私は䞋で毛垃ずバケツを借りおきたす」

    ぀づく

    ゚ンディング

    ヌ Spacial Thanks ヌ

    菊 流星矀ラララ


    この物語はフィクションです。
    実圚する人物・団䜓ずは䞀切関係ありたせん。


    君はよしんば千秋を知っおいるか
    僕だけが聎けない歌
    音楜ず蚘憶
    過剰防衛
    事情を知る人物
    倮里文乃
    よしんば、揃ったずしお
    千秋あおい
    あおいず文乃
    兄匟喧嘩最終話


    䞻な登堎人物

    悠倧 達人ゆうだい た぀ず男性
    この物語の䞻人公。フリヌの音楜ラむタヌ。

    倧元 圩子おおもずさいこ女性
    音楜雑誌の出版瀟に務める線集者。悠倧ずは先茩埌茩の関係。圌がフリヌになっおからも先茩ず呌び慕っおいる。

    志波田 䞀尉しばた いちい男性
    志波田医院のオヌナヌにしお、自称ボむストレヌナヌ。業界の重鎮。

    よしんば千秋よしんばちあき女性
    1970幎代埌半に掻躍したアングラ界の歌姫。
    吉田公茝の母芪。圌が䞀歳の時に他界。

    TALES版

     
     

    soundws

     
     
    サりンドりズず呌んで䞋さい。 コヌヒヌずタバコず音楜に満たされおるず幞せです。 音楜は聎くのも挔るのも創るのも奜き。 ギタヌを少し匟きたす。 アニメも良く芋たす。 よろしくお願いしたヌすっ

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