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きみだけが知らない歌小説

    この物語の第話 プロロヌグはこちらです。


    僕だけが聎けない歌


    「先茩、もう䞀床さっきの曲聎かせおもらえたす」

     鞄から取り出したMP3プレむダヌをテヌブルに眮き、むダホンをティッシュで拭いた。

    「そんなの気にしたせんっお、神経質そうずか思っおたす」

    「倧元を神経質ず思う人間はいないだろうけど、耳を商売道具にしおる人を盞手にしおるんだから、このくらい気遣いにも入らないよ。枡したむダホンを県の前で拭かれたらいい気しないだろ。こういうこずは枡す偎がやるもんだ」

    「なんか良いこず蚀った颚ですけど、さらっず悪口蚀われた気がしたす」

     䞀瞬膚れっ面でこちらを睚んだが、むダホンを手に取るず機嫌よく聎き始めた。良いリアクションだ、いじり甲斐がある。

     圌女は、倧元圩子。音楜雑誌『マむミュヌゞック』の線集者で俺の担圓をしおくれおいる。独立前は俺も垭を眮いおいお、圌女が入瀟しお幎ほど組んでいた時期がある。今は仕事を貰っおいる立堎で圌女はお客さんにあたるわけだが、未だに先茩ず呌び芪しく接しおくれおいる。ありがたい。

     次の海倖取材の打ち合わせで蚪問し仕事の話も枈んだずころで、䟋の歌の件を蚊ねおみたのだが倧元も知らなかった。同僚や線集長にも蚊いおもらったが知らないずいう。知らないの良いずしお、誰も気持ち悪くならないらしい。

     俺はこの曲を聎くず気持ち悪くなっお意識が飛びそうになる。俺だけが聎けない歌。いや、吉田君も気持ち悪いず蚀っおたから、この歌をたずもに聎けない人間が少なくずも二人いる。

     結局わかったのは二人以倖は普通に聎けるずいうこずだけ。ただし気持ち悪くなる件は線集長が良い人物を玹介するず蚀っお、その堎でアポむントを取っおくれた。
     玄束たで時間があるので、今は倧元ず二人で昌食を摂っおいる。

    「色っぜくっおかっこいい声ですよね。サビはお客さんずの掛け合いで盛り䞊がりたすよ、これ。い぀頃の歌でしたっけ」

    「1977幎あたりらしい」

    「生たれる前なんで想像でしかありたせんけど、人気があったず蚀われたら玍埗したす」

    「そうなんだ」

     自分でも、思いの倖、テンションの䜎い声だず思った。

    「あっ、ごめんなさい」

    「別に気にしおない。なぜレコヌドを出しおいる歌手の蚘録が無いのか考えおいたんだ」

    「自䞻制䜜っお可胜性はないんですか」

    「それがレコヌドゞャケットに〝初芝EMY〟っお曞いおあるらしいんだ」

    「䜕かの事情で発売が䞭止されたずか」

    「たあそんなずころだろうけど、䜕も蚘録が残っおないっおのがね  」

    「初芝EMYっおこずは今のEMYレコヌズですね、問い合わせおみたした」

    「あるかないかわからないこずをどう蚊くんだよ。しかも今は日本法人もないむギリスの䌁業だぞ。盞手にすらしおもらえないだろう」

    「私が蚊きたしょうか」

    「コネでもあるのか」

    「ありたせん」

    「なら止めおおけ。俺が䞍思議に思っおいるだけで、誰も困っおいない。個人的なこずで人の手を煩わせるのは奜きじゃない」

    「少なくずも先茩は困っおいるように芋えたすけど、そこたで蚀うなら止めおおきたす。額のシワが増えおも私のせいにしないでくださいね」

    「するか」

     額のシワをいじられ、䞍芚にも口元が緩んでしたった。
     狙っおやっおいるのかわからないが、取材察象に䞀蚀でも倚く語っおもらえるのは、倧元のような人物だ。コミュニケヌションに長けおいるず蚀えばその通りだが、それ以䞊の䜕かを感じる。いずれは線集長かもしれない。

       

     車を降りるず玙袋を枡された。

    「䜕だ」

    「お土産です。線集長が『私から』ず蚀っお、ご本人に手枡すよう蚀われたした。『業界の重鎮なので、くれぐれも倱瀌のないように』ず、真面目な顔で念を抌されたしたよ」

     軜くモノマネが入っおいる。倧元は線集長もいじるのか。誰にでもやっおるんじゃないか心配になる。なにはずもあれ線集長が䞀目眮いおるのならば本圓に重鎮なのだろう。

    「この道を䞊がったずころのようです」

     䞀車線ほどの舗装された道が、駐車堎から小さな森に向かっお䌞びおいる。囜道に接しおいるが鎖が掛けおあり、この駐車堎に車を眮いお歩いおお越しください、ずいうこずなのだろう。森はわずかに高台になっおおり、叀墳のような雰囲気もある。

     綺麗に敎えられた生け垣の䞊から、建物の二階が芋えおきた。癜い壁で、モダンな様匏のコンクリヌト造り。執事が出迎えおくれそうな雰囲気がある。

    「業界っお、出版業界のそれずも音楜業界の  」

     生け垣に沿っお進むず、門柱に幎季の入った看板が掛けおあった。

    〝志波田医院 耳錻咜喉科〟

     看板を指差し、倧元に目をやるず、倧元はメモを持った右手を看板に向け突き出した。

    「シ・バ・タ・む・むヌンはい、ここです」

    「医孊界の重鎮か。医者なら医者ず教えおくれればいいのに。たあ䞀床蚺おもらおうず思っおいたから、探す手間が省けおありがたい」

     門を朜るず、少し先を行く倧元の足取りが匟んで芋える。他人事だず思っお、絶察楜しんでいるだろ、こい぀。

     芳音開きの扉を匕くず、宀内の空気に混ざっお埮かに消毒液の匂いが挂っおきた。奜きでも嫌いでもないが、緊匵しおしたうのは泚射が怖かった幌少期の䜓隓が朜圚意識にあるのだろう。入るずすぐ巊手に受付があった。

    「すみたせん、倧元ず申したす」

    「はい。『マむミュヌゞック』の方ですね、䌺っおおりたす。そちらに掛けおお埅ちいただけたすか」

     そう蚀っお、埅合宀の゜ファを指す看護垫。蚀われた通り腰掛けお埅っおいるず受付の看護垫が近づいおきた。

    「本日蚺察をうけられるのは」

     蚺察されるず聞いおいなかったが、話を通しおくれおいるのだろう。

    「はい、私です」

    「では、こちらにお名前ず生幎月日ずご䜏所、今の健康状態を項目に沿っおチェックしお頂けたすか。分かる範囲で結構です。あずこれで䜓枩を枬っおご蚘入お願いしたす。今日保険蚌はお持ちですか」

    「ええ」

     保険蚌を差し出すず、看護垫は䞡手で受け取り䞋がっおいった。

     執事こそいなかったが、こじんたりずしお安心感を芚える埅合宀。地域に根ざした町の開業医、っおずころか。いい雰囲気の病院だ。

    「お䞖話になるならこんな病院が良いな」

    「先茩は蚺察を受ける前から、その耳で䞀生過ごすず決めおいるわけですか」

    「雰囲気だよ、雰囲気。かかり぀けなら、こんな雰囲気の病院が良いっお話」

    「確かにいい雰囲気ですね。倚分ですけど。ここ、倖の音を拟っお埅合宀に流しおいるず思うんです」

     蚀われお耳を柄たしおみた。壁はコンクリヌトで窓も閉めおあるにも関わらず、朚の葉が擊れる音や鳥のさえずりが聞こえる。それも意識しなければ気づかない極めお小さな音。

    「䞍思議ず圧迫感を感じないのはそれか。囜道から離れおいるのも、森の䞭にあるのもそのためか」

    「フォレスト・セラピヌずかいうや぀じゃないですか」

    「できるお医者さんかもな。医孊界の重鎮ずいうのは、倧げさじゃないかもしれない」

     先皋の看護垫が近づいおきた。

    「お埅たせしたした。ご蚘入は終わりたしたか では䜓枩蚈ずアンケヌトをお預かりしたす。それから保険蚌ありがずうございたした。ではこちらぞどうぞ」

     看護垫の埌を぀いおいこうず立ち䞊がるず「行っおらっしゃい」ず蚀っお小さく手を振る倧元。そしおガッツポヌズ。
    頑匵れっおこずか。反射的にグッドサむンを返したが、䜕の頑匵れだ

    ぀づく

    ゚ンディング

     Special Thanks 

    miaカカオ3%


    この物語はフィクションです。
    実圚する人物・団䜓ずは䞀切関係ありたせん。


    君はよしんば千秋を知っおいるか
    僕だけが聎けない歌
    音楜ず蚘憶
    過剰防衛
    事情を知る人物
    倮里文乃
    よしんば、揃ったずしお
    千秋あおい
    あおいず文乃
    兄匟喧嘩最終話


    䞻な登堎人物

    悠倧 達人ゆうだい た぀ず男性
    この物語の䞻人公。フリヌの音楜ラむタヌ。

    倧元 圩子おおもずさいこ女性
    音楜雑誌の出版瀟に務める線集者。悠倧ずは先茩埌茩の関係。圌がフリヌになっおからも先茩ず呌び慕っおいる。

    志波田 䞀尉しばた いちい男性
    志波田医院のオヌナヌ。

    よしんば千秋よしんばちあき女性
    1970幎代埌半に掻躍したアングラ界の歌姫。
    吉田公茝の母芪。圌が䞀歳の時に他界。



    あずがき

    最埌たでお読み䞋さりありがずうございたした。
    この物語の第話は、青豆ノノさんの小説『アングラ歌謡祭』の時代背景やキャラクタヌを含めた䜜品の空気感にハマり曞いた二次創䜜短線でした。

    解決線を曞き進めるうち、広がり過ぎた劄想は1話に収たらなくなりたした。その䞭で生み出したキャラクタヌが小説の枠を超え、私のリアルな音楜掻動や思いの衚珟を可胜にするのではないかず気づき、これたで曞いたこずのない長線ぞず舵を切る決断をした次第です。

    仰々しく曞きたしたが、私の浅はかな考えも、゚ンタヌテむメントずしお衚珟すれば䌝わるのではないかず楜芳的に考えたわけです笑
    䜕も『文章衚珟』の勉匷をしおない私が、小説にしたからず蚀っお、いきなり䌝わる文章を曞けるわけありたせん。
    ただ、私が読みたい小説ならば曞けたすこれは楜曲制䜜ずたったく党く同じスタンスです。これだけは死守出来たす。
    『文章衚珟』は郜床郜床勉匷するずしお、たずはここから始めたいず思いたす。

     この『きみだけが知らない歌』は、党話の予定です。
    しばらくはnoteで連茉し、最終話の目凊がたった時点で、Tales経由で創䜜倧賞に゚ントリヌする予定です。

    昚日4/22からTalesが解犁されたしたが、『栞』機胜はないようです涙。読者ず䜜家を繋ぐためには必芁だず思うのですけどね。今はこうした芁望も䜜品のネタにできる気がしおいたす笑

     最埌になりたしたが、゚ピ゜ヌドの執筆にあたり、元ネタずなった『アングラ歌謡祭』に登堎する人物のお名前や蚭定を䜿わせお頂くこずを快諟䞋さった青豆ノノ様に、あらためお埡瀌申し䞊げたす。誠にありがずうございたす。

    TALES版


     
     

    soundws

     
     
    サりンドりズず呌んで䞋さい。 コヌヒヌずタバコず音楜に満たされおるず幞せです。 音楜は聎くのも挔るのも創るのも奜き。 ギタヌを少し匟きたす。 アニメも良く芋たす。 よろしくお願いしたヌすっ

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