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ある星|第六話 この星は、ひとつ欠けた

    ある星  第六話 この星は、ひとつ欠けた

    あらすじ
    ある星を訪れた「私」は、そこで生きる存在と出会う。
    彼らは増えも減りもせず、完成されたまま、変わらない世界に生きていた。

    すべてを体験し尽くした彼らにとって、日常は退屈だった。
    地球の不安定な営みは、コメディであり、ホラーであり、「ドラマ」として映る。

    ごくまれに別の世界を望む者もいるが、その先はわからない。
    しかし、わずかな変化は、やがてその均衡を揺らしはじめる。

    完成された世界から見た、不完全な世界の記録。

    出発ゲートまでは、男性が送ってくれるはずだった。

    だが、来たのは見知らぬ女性だった。
    男性の家族だという。

    車のようなものに乗る。

    「朝、あなたを送ると言っていました」

    少し間があいた。

    「でも、消えてしまったんです」


    男性の身体を構成する一粒ひとつぶが、
    風に乗ってほどけていく。

    そんな感覚だけが残っていた。

    「地球のことを、よく見ていました」

    女性はそれだけ言った。

    出発ゲートに着いた。

    「よかった、まだ間に合いましたね」


    私は星を後にした。

    遠くに見えるそれを見た。

    気のせいか、
    少し欠けているような気がした。


    すべて体験済みですから。
    退屈な星の記録はこちらから
    ▶ ある星|第一話 すべて体験済みですから
    ▶ ある星|第二話 飽きてしまった場所
    ▶ ある星|第三話 地球=ドラマ
    ▶ ある星|第四話 この星は、あなたには少し強すぎる
    ▶ ある星|第五話 あなたが来てから、変わり始めた
    ▶ ある星|第六話 この星は、ひとつ欠けた
    ▶ ある星|最終話 どこかで、お会いしましたっけ?
    ▶ ある星の記録をまとめて読む
    ▶ ある星 マガジン

    2026年4月15日公開
    © sou / 2026年

    この作品について
    本作は、小説・映像等への展開を想定した原案です。
    制作・利用をご希望の場合はご連絡ください。

     
     
    創作原案・短編小説を書いています。 静かな異界、人生の境界、仕事と回復がテーマ。 主な作品は『境界区役所』。 窓口係の宇佐美ミミが来客たちの人生を象徴によって確認していく、異界×仕事×回復の群像劇です。 制作・利用のご相談はフォロー後コメントへ。

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