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ある星|第五話 あなたが来てから、変わり始めた

    ある星  第五話 あなたが来てから、変わり始めた

    あらすじ
    ある星を訪れた「私」は、そこで生きる存在と出会う。
    彼らは増えも減りもせず、完成されたまま、変わらない世界に生きていた。

    すべてを体験し尽くした彼らにとって、日常は退屈だった。
    地球の不安定な営みは、コメディであり、ホラーであり、「ドラマ」として映る。

    ごくまれに別の世界を望む者もいるが、その先はわからない。
    しかし、わずかな変化は、やがてその均衡を揺らしはじめる。

    完成された世界から見た、不完全な世界の記録。

    この星は、もう変わらない。

    今日も男性がいた。
    これまでとは、少し違う表情だった。

    「困ったことになりました」

    私は黙って、次の言葉を待った。

    「私たちは、つながりで保たれています」

    「表には出ませんが、常にやり取りは続いています」

    「この星は、それで成り立っています」

    少し間をおいて、彼は言った。

    「あなたが来てから」

    「地球へ行きたい、という者が増えました」

    「道は、わずかにあります」

    「ですが、閉じようという話が出ています」

    「見に行くことも、できなくなるでしょう」

    私は男性を見た。

    「減りすぎると」

    「崩れてしまいます」

    静かな声だった。

    「閉じれば、あなたも帰れなくなります」

    また少し間があいた。

    「戻る頃かもしれませんね」


    すべて体験済みですから。
    退屈な星の記録はこちらから
    ▶ ある星|第一話 すべて体験済みですから
    ▶ ある星|第二話 飽きてしまった場所
    ▶ ある星|第三話 地球=ドラマ
    ▶ ある星|第四話 この星は、あなたには少し強すぎる
    ▶ ある星|第五話 あなたが来てから、変わり始めた
    ▶ある星 |第六話 この星は、ひとつ欠けた
    ▶ある星 |最終話 どこかで、お会いしてましたっけ?
    ▶ ある星 マガジン

    2026年4月14日公開
    © sou / 2026年

    この作品について
    本作は、小説・映像等への展開を想定した原案です。
    制作・利用をご希望の場合はご連絡ください。


     
     
    創作原案・短編小説を書いています。 静かな異界、人生の境界、仕事と回復がテーマ。 主な作品は『境界区役所』。 窓口係の宇佐美ミミが来客たちの人生を象徴によって確認していく、異界×仕事×回復の群像劇です。 制作・利用のご相談はフォロー後コメントへ。

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