
監獄 ⑤/全7話【連載台本・世にもになるまで書いてみた・91作目】
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〇 刑務所・主人公の居室
とある日の朝。
主人公 まだ折り返しにも関わらず満身創痍。体中に痣。息も心なしか苦しそう。
そんな彼の前に所長がやってくる。
所長 主人公の様子を見てニヤニヤと笑う。躊躇することなく水を掛ける。しかも氷水にグレードアップしている。
主 (苦悶の声)
所 おはよう。いい朝だねぇ。
ほら、今日の朝食だよ! 腹いっぱい食べてね!
所長 主人公目掛けて乱暴に投げつける。完全にかびたパン。
主人公 ついに堪忍袋の緒が切れ、鉄格子に掴みかかる。
主 いい加減にしろよ! いくら受刑者でもやりすぎだろうが!
所長 何も言わずに、ただ主人公の目を見てニヤニヤと笑っている。
主 おい! なんか言えよ! あんたら覚えとけよ!
俺がシャバに出たらすぐお前らを・・・
所 (言葉をさえぎって)何を怒っているんだい?
君と同じことをしているだけじゃないか?
主 ・・・はぁ? 全然ちげぇよ! あのな。俺は・・・
所 君は「正義」を大義名分に、罪のない人たちを傷つけてきたよな?
主 ・・・違う! 俺はこの国を良くしようと!!
〇 とある駅・構内
逮捕前の回想。白黒の映像。
主人公 カメラ片手にスーツ姿の男性を追いかけている。
主 ねぇ! あなた痴漢してましたよね!?
痴漢は立派な犯罪だって知っていますよね!
男 や、やっていないです・・・! だ、誰か助けて・・・!
助けの声むなしく、男性は主人公に捕まってしまう。
主人公 男の体に馬乗りになる。
主 さぁ!おとなしく捕まれ!
男 ひ、ひぃぃぃ!
男 腕を振り回し抵抗する。運の悪いことにその腕が主人公に当たってしまう。
主 いた・・・! てめぇ!!
主人公 鬼気迫る表情で男を力いっぱい殴る。
周りに警備員や駅員が集まってくるも、主人公は暴力を止めない・・・
〇 刑務所・居室
回想明け。
所 なら我々にだって「正義」を理由に傷つける権利はあるはずだ。
そうだろう?
主人公 「思わない」と答えようとするも、答えられずただ荒い息をするのみ。
所 (顔を最大限まで近づけ・小声で)恨むなら過去の自分を恨むんだな。
所長 高笑いをしながら退場。
主人公 何も言い返せない。唇を強く噛み、所長を睨みつける。
主 (心の声で)あと1年・・・ もう無理だ! 俺は明日・・・逃げる!!
〇 所長室
所長 満足そうな表情を浮かべ、イスに座る。
所 いやぁ。「正義」のために動くのは楽しいなぁ!
イエスマンの部下(40代男性・誠実そう) 所長の横で首を縦に振る。
下 もちろんですよ所長!
あ、そうだ。頼まれていた「処刑道具」届きましたよ・・・
部下 届いた道具が入った段ボール箱を、所長の机に置く。
所 どれどれ・・・
(中を見て)・・・・・・素晴らしい。
これさえあればヤツはもっと「更生」するに違いない・・・
所長 ニヤリと笑う。とても不気味な笑み。