
クラウドERPのリーダー: Oracle Fusion Cloud ERPとOracle NetSuiteの違い
こんにちは、米田です。
2025年も残すところあと1か月となりましたね。今年の総括として、この記事では、有力な調査会社によるERP市場の評価、市場シェアについてのまとめをしていきます。合わせて、オラクルの2種類のERPの違いについても質問をいただくことがあるので、まとめました。
2025年に最も評価の高かったERP
市場では色々な調査会社によるレポートがありますが、その中でも特に有力だといわれている2つのレポートを見てみましょう。
まずは最も有力な調査会社である米ガートナー社の「マジック・クアドラント (Magic Quadrant)」の2025年9月の最新版です。ERP分野はProduct Centric (プロダクト中心型企業向け) とService Centric (サービス中心型企業向け) の2つあります。4象限あるマトリックスのうち右上のLeadersポジションには、以下のようなベンダーがラインクインしています。
Magic Quadrant for Cloud ERP for Product-Centric Enterprises (2025)
Leaders
🟢 Oracle (Fusion Cloud ERP)
🔘 Microsoft
🔘 SAP (Cloud ERP)
🔘 IFS
🔘 Epicor
🟢 Oracle (NetSuite)
🔘 Infor
Magic Quadrant for Cloud ERP for Service-Centric Enterprises (2025)
Leaders
🟢 Oracle (Fusion Cloud ERP)
🔘 Workday
🔘 SAP (Cloud ERP)
🔘 Microsoft (Dynamics 365)
🟢 Oracle (NetSuite)
それぞれ右上の頂点から近いものから順番に並べている。
オラクルからはProduct、Serviceともに、大企業向けのFusion Cloud ERPと中堅中小企業や高成長ビジネス向けのNetSuiteの両方がランクインしています。2024年からの変更点として、両方ともNetSuiteが左上のChallengersポジションからLeadersに移動しています。
MQにおいて、Fusion Cloud ERPが評価されている点としては、多種多様な業種・機能への対応、複雑な企業機能への対応、Oracle Cloud infrastructure (OCI) ベースのプラットフォームによる強力なアプリケーション・データ統合、1,000社以上の顧客が本番環境で活用するAIとAI Agent Studioといった生成AI・Agentic AI機能、などです。
一方、NetSuiteが評価されている点としては、顧客の小規模企業からの急速な成長をサポートしていること、PE/VCやパートナーとの連携によりNew Logoが増え顧客数が43,000社を超えていること、Single Source Of Truth (SSOT) を実現する統合クラウドプラットフォームであること、OCI機能をベースにした360度ダッシュボード等のシンプルな分析機能を備えていること、などです。
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Gartner MQと並んで、特に最近はMQよりも重要視する顧客も出てきているというG2 Gridでは、Leadersポジションに入っているベンダーのうちトップ10は以下の通りです。
G2 Grid for ERP Systems
Top 10 Leaders (All Company Size)
🟢 Oracle NetSuite
🔘 Microsoft Dynamics 365 Business Central
🔘 SAP S/4 HANA Cloud
🔘 Sage Intacct
🔘 Acumatica
🔘 Odoo ERP
🔘 TallyPrime
🔘 Deltek Costpoint
🔘 SAP ByDesign
それぞれ右上の頂点から近いものから順番に並べている。
G2では、ユーザーコミュニティから集めたレビュー、オンラインソース、ソーシャルネットワークから集約されたデータによるスコアリングが重視されています。オラクルからはNetSuiteがベストポジションの座を得ています。オラクルのその他のERP製品も、トップ10以下のLeadersポジションに含まれています。
2025年9月発行のG2のERP評価レポートでは、NetSuiteはすべての主要なビジネス機能を 1 つのプラットフォームにまとめていること、財務データと運用データのリアルタイム可視性、ワークフロー・レポート・ダッシュボードの高度なカスタマイズ性や柔軟性、事業拡大に応じてスケール可能な仕組み、サードパーティ製アプリケーションとのスムーズな接続、などが評価されています。
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また、市場シェアの点では、2025年はERPの世界シェア1位が初めてSAPからオラクルに変わった年でもありました。
Oracle Fusion Cloud ERPとOracle NetSuiteの違い
オラクルが提供している2種類のクラウドERP、Fusion Cloud ERPとNetSuiteは、それぞれ大企業向け、中堅中小企業や高成長ビジネス向けと銘打っていますが、具体的に何が違くてどういう特徴がそれぞれあるのか、というご質問をいただくことがあります。ここでは、両者の違いについて、ごく簡単で直観的な比較をご紹介します。
前提として、両者に共通する点は、OCI上に実装されていてOCIが提供する強力なデータ処理機能、分析機能、堅牢なセキュリティ機能、最先端のAI機能の恩恵を受けている点です。シングルデータモデルでありFit To Standardによる標準実装を進める点も共通です。

一方、異なる点としては、Fusion Cloud ERPは大企業でも導入しやすいコンポーザブルで疎結合なモジュール構造になっていること、NetSuiteはCRMの搭載も含めすべての機能が密結合でオールインワンになっていることが挙げられます。
この2つの製品間で比較検討が必要になってくる実践的な例として、本社では既存のERPが入っている環境で子会社にクラウドERPを「2層ERP」として新しく導入し、本社ERPと連携させる場合があります。
その場合、製品選定でどちらかに決める際の留意点として、子会社ERPのデータボリュームと業務領域毎のユーザー数に注目するのがお勧めです。これらの2つのいずれかが多い場合はFusion Cloud ERPを、両者とも少ない場合はNetSuiteを選択するとよいでしょう。
また、それぞれ以下のような特徴があります。
● Fusion Cloud ERPはたとえば受注を複数まとめて倉庫単位で出荷し、出荷をまとめて請求するといった、大量データを処理するための色々な機能が備わっています。NetSuiteは業務プロセスを1~2人で回していて受注、出荷、請求などが単一データとして処理されている場合に向いています。
● Fusion Cloud ERPは設備管理や倉庫管理、物流管理などSCM分野やその他のモジュール範囲でもオプションモジュールが多い。NetSuiteはサードパーティ製のSuiteAppで実装する場合が多い。
● Fusion Cloud ERPは、建設業、航空宇宙と防衛、金融、ヘルスケアといった専門業種もターゲットしています。
● EPMはNetSuiteはNSPBによる予算管理機能のみ実装されており、Fusion Cloud ERPにはその他のEPM機能も実装されています。
● NetSuiteはFusion Cloud ERPよりも安価かつカスタマイズ領域が柔軟で小回りが利きます。

以上、2025年時点でのERP市場の総括、特にオラクルが提供する2つのクラウドERPの比較も含めた解説でした。クラウドERP導入の際の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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