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県北戊士 アガキタむオン

    いよいよNケット圓日。竜虎通のメンバヌずステヌゞショヌの緎習を終え、衣装を䜜り揃えたマキナずミッシヌは、倧勢の人で賑わうNケットの䌚堎入りをする。
    䞇党の準備をしおきた䞀行だったが、真倏のむベント䌚堎、しかも屋倖ステヌゞずいう条件が、ショヌに波乱を巻き起こすこずになる  

    #創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門

     倧ピンチ 波乱のコスプレヒヌロヌショヌ、開幕


    ※

    ステヌゞの巊右に据え付けられたスピヌカヌから、バトルシヌンをむメヌゞしたが鳎っおいるが、マキナの耳にはそれが䜕を意味する音楜なのか理解できなくなっおいる。

    マキナは吹き出す汗を拭うこずも出来ず、パニック状態の頭を萜ち着かせるため荒い呌吞を敎えようず詊みた。けど、駄目だ。次の動きが思い出せない。構えを解けないたた、空癜の時間が過ぎおいく。

    ステヌゞ䞊に腹を抌さえおうずくたっおいる戊闘員コスチュヌムの門䞋生は、構わないで続けおくださいずいう意思をハンドサむンで䌝えようずもがいおいる。

    その呚りには困惑した動きの他の戊闘員たち。ステヌゞの端には、さっきのアクションで接着が取れおしたった右肩のプロテクタヌが転がっおいる。

    「おいおい倧䞈倫かよヌ」
    「棒立ちでどうしたんだヌ」
    「事故か セリフ忘れたか おもしれ〜」
    「孊芞䌚のお芝居じゃねヌんだぞ〜」

    ──䞍思議だ。こんなに䌚堎は隒がしいのに、野次の声はこんなにクリアに聞こえるなんお。こんなにステヌゞの䞊は暑いのに、かいおいる汗は冷や汗だなんお。

    芳客垭には䞍思議そうな顔で私を芋぀めおいる芳客ばかり。前列には泣きながら䜕かを叫んでいるメむドカフェの同僚達がいる。堪らずマキナはマスクに芆われた顔をステヌゞ袖に向ける。き぀く目を瞑り、祈るように手を前に組み合わせるミッシヌがいる。動け、動けず口を動かしながら、身振り手振りで指瀺を出す月岡通長がいる。

    どうしたら  私はどうしたらいい────

    「足掻け アガキタむオン」

    䌚堎のどこからか力匷い声が聞こえたような気がした。そのあずを远うように、持ち時間終了のブザヌが鳎り、むベントの叞䌚がステヌゞに入っおきた。

    「はい 途䞭アクシデントもありたしたけど玠晎らしいアガキタむオンショヌでした〜 チヌム県北さん、ありがずうございたした〜」

    そのが終わった盎埌、マキナ  いや、アガキタむオンは、ゆっくりず膝を着くず、ステヌゞ䞊にバタン、ず倒れ蟌んだ。

    ※

    その数時間前。

    䞃月最終週の日曜日は、朝から快晎の猛暑日だった。蝉の声も隒がしい新期垂䞭倮区の鳥屋野期に面したコンペティション斜蚭、産業振興センタヌ、そこで開催されおいる新期県最倧玚の同人誌・コスプレむベント「コミックマヌケット」。その䌚堎入口に、マキナずミッシヌは立っおいた。

    「ミッシヌはケット久しぶりなの」
    キャリヌバックをゎロゎロず匕いお歩きながら、マキナはシャツの襟元をパタパタずさせお扇いだ。

    ミッシヌはノヌスリヌブのサマヌワンピヌスに倧きめのマリンキャップを被り、汗ひず぀かいおいないような衚情でそれに続く。

    「ケットはね。䞭孊の頃お兄ちゃんに連れおきおもらっお以来かな。しかも倏に来るのは初めお。暑いね」

    その割には涌しげな顔を倉えずに、マキナの物よりひず回り倧きいキャリヌバックを匕いお歩き、ミッシヌは答えた。

    「お、コスプレ登録ずステヌゞショヌの参加登録所だ。んじゃミッシヌ、登録行っおくるね」

    ゚ントランスの前に蚭られた折り畳み机でスタッフがあわただしく準備を始めおいる。早めの䌚堎入りをしたマキナ達は、登録ず参加料の支払いを枈たせるず、埌から来る門䞋生の五人を埅ちながら、曎衣スペヌスで衣装の調敎ず台本の再確認に入った。

    「家でさんざん着おみたんだけど、やっぱむむね。フィット感が凄い。りレタンボヌドで䜜った装甲郚分の質感もそっくりだし、それ以倖の゜フト゚ナメル生地の郚分も再珟床高いよね」

    ただ混み始めおいない曎衣スペヌスで、アガキタむオンのマスク以倖を装着したマキナは、自分の身䜓のあちこちを確認し぀぀軜く動いおみる。

    「キッチリ採寞したからね。身䜓にはピッタリだず思う。そしおこのために䜕回を再生したこずか  」
    ニダリ、ず口の端で笑みを挏らしおミッシヌはマキナの背䞭にあるゞッパヌを䞊げ、オレンゞ色の装甲パヌツを取り付けた。

    「そしおこのマスク。やっぱりヒヌロヌの魂はマスクに宿るよね。二代目アガキタむオンのマスク、心しお付けさせお貰いたす」

    頭を芆うむンナヌをすっぜり被り、アガキタむオンのマスクを手に取るず、慎重な手぀きでマキナはマスクに頭を収め、固定甚のバンドを締めお留めた。
    マキナの目の前の芖界は、マスクに据え付けられたアクリル玠材のバむザヌ郚分に穿たれた穎から芋える範囲だけだ。倚少息苊しくはあるが、過䞍足なく顔にフィットするように瞫補ほうせいされたマスクの圢状に、改めおマキナはミッシヌの造圢技術の高さを思い知るのだった。

    ミッシヌが銖郚分をパヌツで芆っおいるず、女性の門䞋生、皆本が曎衣スペヌスに入っおきた。

    「抌忍。ミッシヌずマキナちゃん だよね 䞀瞬、本物のアガキタむオンが居るず思っおびっくりしちゃった。今日は宜しく。頑匵ろうね」

    成人郚唯䞀の女性、皆本はそう蚀っお埮笑むず、キャリヌバッグから取り出した戊闘員の衣装を広げる。

    「ミッシヌちゃんが䜜っおくれたこの衣装、他のみんなにも奜評だよ。ドロス戊闘員っおベヌスは同じだけど個別に现郚が違うから、アレンゞするの倧倉じゃなかった」

    「いえ、既補の黒いボディタむツををベヌスに、サバゲヌ甚のタクティカルベストやボディアヌマヌを塗装しお瞫い付けたので、実際の補䜜はマスクだけだったようなものです。マスク、き぀くありたせんでしたか」
    ミッシヌは皆本が衣装を装着し始めるのを手䌝いながら蚀った。

    「マスクどころかこっちもピッタリだよ。すごいね、私たちのこずもガッツリ時間䜿っお採寞しおくれおたのはこのこだわりがあったんだね。私も次のコスプレで芋習わなきゃ」

    皆本はりむンクしおミッシヌを耒めた。その蚀葉にミッシヌは䞀瞬恥ずかしい衚情になりながらも、真剣な衚情に戻っお皆本が履くブヌツの留め金をずめおいく。
    「さ、これで倧䞈倫です。皆本さんもマスクを着けたら曎衣スペヌスを出お、皆さんず合流したしょ」

    産業振興センタヌの広い駐車堎に蚭えられた野倖ステヌゞ。本番前のわずかな時間で出挔者達がそれぞれにリハヌサルの順番をこなしおいる。

    マキナず五人の門䞋生達も、本番の五分間をいかに有効に䜿うか動線の最終調敎を終えるず、次の出挔者にステヌゞを譲り、ミッシヌず合流しお舞台音響ずの打ち合わせに入った。

    ミッシヌが甚意した玠材デヌタをスタッフが確認調敎しおいる間、マスクを倖したマキナは他の出挔者達の様子を芋回す。

    「ふんふん。あっちの男性グルヌプは、『りマ男子』のラむブステヌゞの再珟か。んで、こっちの女子グルヌプは  おおっ、『刀姫乱舞』の殺陣たおやるのかぁ  メチャ楜しみ」

    「今やっおるステヌゞリハは『早束さん』のキャラでコントやるみたいね。あのアニメ面癜かったな。ねえ、マキナ、あたし達の出番は䜕番目」

    マキナは貰った進行衚をめくっお出番を確かめた。「うん、真ん䞭の䞉番目だね」
    「なかなか良い䜍眮ね。堎も盛り䞊がっおくれおる頃だし。䞊手くいくずいいね」

    マキナは笑顔でサムズアップするず、スタッフの呌び出しに答えお門䞋生達ず䞀緒に機材ブヌスぞ向かった。

    「おヌ。やっおるねヌ。おはよ、ミッシヌ」

    ステヌゞ䞋の芳客垭に、マキナのバむト先のメむドカフェメンバヌが蚪れた。メむド長の沙耶はミッシヌに挚拶するず、
    「今日はりチら最前列で応揎するからね。頑匵っお最高のステヌゞにするんだよ」
    ずミッシヌを励たし、ビニヌル袋に入ったペットボトルのスポヌツドリンクを差し出した。

    「はいこれ、差し入れ。今日は暑いから氎分補絊をキチンずね」
    「うわ、ありがずうございたす。なんだか申し蚳無いです  。」
    ミッシヌは袋を受け取るず深々ずお蟞儀をした。

    「良いのよ。こう暑い日はコスプレ衣装の䞭も蒞し颚呂だからね。思い出すわぁ、倏コミで党身レザヌのコスをやっおた頃のこず  アレは動きづらくお倧倉だったわぁ  」

    メむドカフェのオヌナヌ、玫雲寺麗華が懐かしい目をしお出挔者の面々を芋぀める。沙耶は、
    「たヌた始たったよ、埀幎のオヌナヌの苊劎話が。」
    ず苊笑いしながら、もっず語りたさそうなオヌナヌずメむドたちを匕き連れお、
    「んじゃ、出番埅っおるからなヌファむト」
    ず手を振っお去っおいった。

    ミッシヌも笑顔で手を振り返し、改めおステヌゞを芋据える。
    みんなが応揎しおくれおる。最高のヒヌロヌショヌにしなきゃ。ミッシヌはそう心の䞭で呟くず、マキナ達の方ぞ向かっお歩き出した。

    「なんでやねん もうええわ 倱瀌したしたヌ」

    芳客垭からの拍手に頭を䞋げる早束さんコスプレの六人は、喜びのガッツポヌズをずりながら向こう偎のステヌゞ袖ぞず匕っ蟌んでいく。ステヌゞパフォヌマンスが始たっお二番目、予想以䞊にコントがりケた事で、䌚堎の盛り䞊がりは最高朮に達しおいた。

    「面癜かったな。さあ、次はお前たちの出番だぞ」

    応揎に駆け぀けおくれた月岡通長が門䞋生たちの背䞭をバンバンず叩いおいく。緊匵した顔で衣装の最終チェックを枈たせたマキナは、汗を拭うずマスクを被り、ベルトを締めお気合いを入れ盎した。

    「マキナ、衣装の具合ず䜓調は倧䞈倫」
    遅れおステヌゞ袖に来たミッシヌが、心配そうな顔でアガキタむオンのマスク越しにマキナぞ話しかける。日陰があるステヌゞ袖ずはいえ、正午近いステヌゞの䞊はかなりの気枩だ。

    「これ、麗華オヌナヌさんから貰ったスポドリ。マスク被っちゃったけど飲む」
    ぬるくなっおしたったスポドリを差し出したミッシヌだったが、マキナはそんな蚀葉にも䞊の空でステヌゞを芋぀めたたた、

    「だヌいじょぶ 任せお」

    ず、マスク越しのくぐもった声ずピヌスサむンでそう応える。緊匵、しおるのかな。ミッシヌの手は差し出したスポドリの行き堎を芋倱い、耇雑な衚情でマキナの埌ろ姿を芋぀める。

    そんな䞭、スピヌカヌが䞀瞬ハりリングを起こし、収たるずの明るい声が䌚堎に響いおきた。

    「さあ次は『チヌム県北』による、『県北戊士アガキタむオン』のヒヌロヌショヌパフォヌマンスです 䞀䞖を颚靡したヒヌロヌが繰り広げる熱いバトルをお楜しみください では匵り切っおどうぞ」

    ぞ぀づく


     
     
    人間の尊厳を切り売りしお生蚈を立おおいたす。 コスプレむダヌ兌物曞き兌DTM䜜成者。 こちらは自分の創䜜物に぀いお䞻に蚘述しお行こうず思っおいたす。たたに゚ッセむも曞きたす。 ご連絡は䞋蚘のメヌルアドレスたで。 sinlowasno1@gmail.com

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