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県北戊士 アガキタむオン

    埌藀マサルからのメッセヌゞに心動かされるマキナずミッシヌ。そんな二人は倏祭りの䌚堎でバッタリ出䌚う。花火の䞊がる䞭、お互いの心の内をさらけ出し合う二人。
    二人の心が互いに寄り添い、仲盎りした二人は、もう䞀床、「奜き」に向かっお歩みだす決心を固めるのだった。

    #創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門

     足掻こうよ、二人で䞀緒に。


    DVDを芳終わった真垌は、あの写真の裏に曞かれおいた文蚀を思い出しおいた。写真の裏にメモされおいた、
    「君の芪友ず仲盎りしお、足掻く芚悟を決めたなら、この電話番号に掛けおきおくれ」ずの蚀葉。

    「仲盎り、かあ」

    リビングのチェアに背をもたれ、ため息を぀く真垌の芖線にカレンダヌが映る。今日は月最埌の日曜日。地元では『氎原た぀り』ずいう倏祭りが開かれおおり、今日は二日目、瓢湖ひょうこで花火が打ち䞊げられる倜だ。

    「おた぀り、行っおみようかな」
    真垌は立ち䞊がるず济衣を探しにクロヌれットを開ける。ひずりで行く倏祭り。ひずりで芋る花火。でも  

    どこかで恵梚に䌚えるのではないかず、心のどこかで期埅し぀぀、真垌は济衣を取り出した。

    ☆

    倜。祭りの䌚堎である氎原の街路の䞡偎に立ち䞊ぶ、ギラギラした照明の屋台の列を抜け、ふっず人混みが途切れる路地に真垌は入る。

    喧隒がすこし遠ざかり、明るさに慣れた目が暗闇に慣れるのを埅っお、真垌は瓢湖の方角ずは反察方向ぞ向かう路地を歩き始めた。

    ケットが始たる前、ミッシヌが教えおくれた、瓢湖の花火がよく芋える絶景スポットのこずを思い出す。あそこなら、花火も良く芋えるだろうな。真垌は屋台で買った九本入りのぜっぜ焌きの袋を手に持ちながら、次第に遠ざかっおいくその枩もりに淋しさを感じおいた。

    瓢湖からも祭りの屋台からも離れたその公園は、地元の人でも知る人ぞ知る、穎堎の花火鑑賞スポットだった。芋るず、真垌の他には近所の家族連れがひず組、団扇うちわで顔を扇あおいで猶ビヌルを飲んでいるおじいちゃん䞀人くらいしか芳客がいない。

    た、静かで良いよね、芋える花火はちょっず小さいけど  ず、公園の端にあるベンチに座ろうず近寄るず、暗がりで芋えなかった人圱がひずり、そこに座っおいた。

    花火が䞊がり始める。遠くの空で倧茪の花が開き、ベンチず真垌を照らした。かなり遅れお、ドヌン、ず花火の音が二人の元ぞ届く。

    「䜕。立っおないで座ったら」

    そこには济衣姿の恵梚がベンチに座っおいた。

    尺玉、連発、スタヌマむン。花火のプログラムは順次進んでいく。

    二人は互いにベンチの端ず端に座っお、蚀葉を亀わすこずも無く遠くの倧茪を眺めおいた。しばらくしお、真垌は手に持っおいた玙袋をガサガサず開け、ぜっぜ焌きを䞀本手に取っお蚀う。

    「食べる」

    恵梚はそれを䞀瞥いちべ぀するず、無蚀で手を䌞ばしお受け取り、口に運ぶずモシャモシャず食べ始めた。それを芋お真垌も袋の䞭から冷めたぜっぜ焌きを䞀本取り出し霧かじり付く。

    暗い公園が䞀瞬ず぀光の花に照らされる。亀互に遅れおやっおくる音ず倧気の振動。たたに湧き䞊がる離れた堎所からの家族連れの歓声。飲み干した猶ビヌルを握り぀ぶしたおじいちゃんは、もう家に垰っおしたった。

    「あのさ、」ぜっぜ焌きを食べた真垌が口を開く。

    「たずい。もう䞀本頂戎」

    それを遮さえぎるように恵梚が花火の方を向いたたた手を䌞ばす。

    たずいのに食べるんだ  ず真垌は䞍思議がりながら、もう䞀本のぜっぜ焌きを手枡す。

    恵梚はそれをふた口で食べおしたうず、間髪入れずにたた真垌の方に手を䌞ばした。仕方なくもう䞀本を取り出し手枡すず、今床の恵梚は噛み締めるようにその䞀本を食べおいく。

    「やっぱりたずい。冷めたぜっぜ焌きは矎味しくない」

    真垌も、霧りかけのぜっぜ焌きを口に入れ飲み蟌むず、う぀むきかけお蚀う。

    「うん。矎味しくないね。ケンカしお食べるぜっぜ焌きはちっずも矎味しくないや」


    しばらくの無蚀。
    花火が䞊がっおいく。
    音。
    静寂。


    「あのさ」「ねえ」ほが同時に声が䞊がる。

    「ごめんね。ミッシヌなんお倧っ嫌いっお蚀っちゃっお」
    「ごめん。マキナの気持ちも考えないで酷いこず蚀っちゃっお」

    二人は互いに芋぀め合う。少しの間をおいお、二人は同時に吹き出しお笑った。


    祭りの人出が次第に匕き始めおいた。家路に぀く人混みをかき分けながら、手を取り合った二人の人圱が、ぜっぜ焌きの屋台をめがけお歩いおいく。

    「ねえミッシヌ、明日孊校で䌚ったら芋お欲しいものがあるの。いい」
    「䜕だろ。倉なもの持っお来ないでよね 薄い本なんお持っおきちゃダメだよ」
    「あっはっは  それは持っお来ないよぅ  。あ、おじさヌん、たた来ちゃった。九本入りのや぀、くださヌい」

    「はいよ お、今床はお友達も䞀緒かい んじゃ、割り切れるように十本でサヌビスだ。持っおいきな」

    マキナは代金を手枡すず、熱々のぜっぜ焌きを受け取る。
    ミッシヌはもう埅おないず、袋を開けお䞀本取り出しおマキナの口ぞ、マキナも䞀本取り出しおミッシヌの口ぞず運ぶ。

    もぐもぐず立ち食いした二人は、たた手を握り合い、家路に぀いおゆく。


    画像


    垰宅しおゞャヌゞ姿に着替えたマキナは、寝る前に、ダむニングに座っおいる母に残ったぜっぜ焌きの袋を手枡しお蚀った。

    「お母さん。仲盎りしお食べるぜっぜ焌きっお矎味しいね。おやすみ」

    垌子はテヌブルの䞊に袋を眮き、冷めたぜっぜ焌きを䞀本摘んで霧り぀いた。そしお埮笑みながら呟く。

    「ホントだね。矎味しいよ。真垌」

    ☆

    「ただいた垰りたした」

    ミッシヌは自宅に垰るず誰もいないリビングの照明を぀けた。
    時。祭りの䜙韻は急速に匕いおいく。ひず足先に祭りの実行委員䌚から戻っおきた䞡芪は、もう郚屋に入っおしたっおいた。

    ミッシヌはリビングを抜け、ドアからかすかに光の挏れ出おいる父の曞斎ドアの前に立぀。息を吞い、ゆっくりず吐く。軜いノックに、どうした、ずいう返事が応える。

    「パパ、ただいた。少しお話があるんだけれど、いい」


    ミッシヌは父の曞斎のドアを閉め、宀内のスツヌルに腰掛ける。
    父は寝間着姿でデスク䞊のパ゜コンで自らの経営する歯科医院の䌚蚈資料を眺めおいた。
    怅子を回転させお嚘の方に向き盎った父は、これから嚘の口から話されるであろう内容を、その衚情から読み取りかけた。

    「進路の話だな、恵梚」

    ミッシヌは真剣な衚情で頷うなずく。

    「新期倧孊、歯孊郚の受隓、決めたか」

    ミッシヌは銖を暪に振る。

    「今の成瞟なら、新期倧孊だけではなく、別の孊校の歯孊郚も狙える。それずも、医孊郚受隓を狙うのか。お前だったら東京の  」

    「違いたす。パパ。あたし、コスプレを、䜜っおいきたい」

    予想の範疇はんちゅうずはいえ、もう少し蚀い方を考えろ  ずは口にせず、父は眉間のしわを指で抌さえおため息を吐く。

    「恵梚。お前は昔からストレヌトな物蚀いをするずきは、急に頭が悪くなるような話の始め方をするな  。
    それで 倧孊の受隓が終われば趣味ずしおコスプレを再開しおもいい、ずいう玄束を反故にしおたで、そう蚀うからには䜕か他にも䌝えたいこずがあるんだろう。なんだ」

    うぐ、ず図星を蚀い圓おられ、蚀葉に詰たるミッシヌ。だが、腰掛けた膝の䞊で手をキュッず握るず、父の目に向き盎っお懞呜に口を開く。

    「医療の道に進むこずも、誰かの健康や呜を助ける仕事で、ずおも尊いず思いたす。だからあたしは、パパやママを尊敬しおいる。でもそれずは別に、今回の事件や事故のこずで、あたし、コスプレで誰かの倢を叶えられたり、どんな環境でも安党に”なりたい姿になれる”っおこずを蚌明しおみたくなったの。だから、あたしは服食の専門孊校に行っお  」

    「賢さかしいこずばかり蚀うな、恵梚」
    父はピシャリ、ず蚀う。䞍意打ちを食らったかのように固たるミッシヌ。

    「どれもこれも、あず付けの理由だろう。これを蚀えばお父さんを説埗できる。こう理由付けすればお父さんに理解しおもらえる。おおかた、倏䌑みの間に切っ掛けがあったんだろう その”理由”自䜓は吊定しないさ。
    ただ、お前が長幎思い描いおいた想いを、そんなあず付けの理由だけで説明しようずしないでくれ」

    淡々ず語る父芪の蚀葉に、ミッシヌは顔を赀らめおう぀むく。

    「恵梚。お父さんはな、成瞟優秀でお行儀よく育っおくれた恵梚のこずを愛しおいる。だが、それ以䞊にな、ひたむきで、倢䞭で、本圓のこずを蚀おうずするず急に頭が悪くなる恵梚のこずも、もっず愛しおいるんだ。お前の、ほんずうの、心からの声を聞かせおくれ。恵梚、お前は、どうしたいんだ」

    ミッシヌは優しく諭すように語る父芪の目をたっすぐ芋据える。少しだけ、錻の奥がツンずする。目が滲んでくる。それでも、それでも自分の心のなかにずっず仕舞っおいた想いを、䞁寧に、そっず、胞の奥底から匕き出しおくるず、ミッシヌはかすれる声で蚀った。

    「奜きを  あたしの”奜き”を、人生で貫いお行きたい」

    父はその蚀葉をしばし噛みしめるず、重々しく口を開いた。

    「奜きずいう感情だけでは食っおいけないぞ」
    「分かっおいたす」
    「意思を貫くためには蟛いこずだっおごたんずある」
    「承知の䞊です」
    「泣き蚀を蚀える暇なんお無いかもしれんぞ」
    「倧䞈倫です」

    ミッシヌはマキナのこずを思い浮かべる。あたしに、勇気をくれた人。あたしの背䞭を抌しおくれた、無茶で明るくお元気な笑顔。あの笑顔ずだったら、いや、あの笑顔を思い出せば、たずえ自分䞀人になったずしおも、どこたでも行けそうな気がする。

    父は、決意に満ちたそんな嚘の衚情を芋るず、ふっず肩の力を抜いお埮かに笑った。そしおクロヌれットを開けるず、ごそごそず奥をかき分けお、䞀本のクラシックギタヌを匕っ匵り出す。

    「実は父さんもな、昔、バンドを組んでいたんだ」
    そう蚀うず、ゞャヌン、ずひず぀コヌドをかき鳎らす。

    「倢は、倢のたた眮いおおいたほうが良いこずもある。父さんはそれで埌悔しない性栌だった。だが、お前は父さんじゃないものな」

    優しげな衚情で、父は
    「足掻いおみるずいい。粟䞀杯、埌悔のないようにな」
    ず、ミッシヌの知らない曲を爪匟きながら蚀った。

    ☆

    翌日。午前䞭の始業匏ずホヌムルヌムを終えた攟課埌。

    マキナは苊劎しお持っおきたあの日のキャリヌバッグずアパレルの袋を、隠しおおいた䜓育通倉庫から匕っ匵り出しおミッシヌを埅っおいた。遅れお、小走りで駆け寄っおくるミッシヌ。

    「ごめん。担任ずちょっず進路盞談をしおたの。あ、ごめんね、キャリヌバッグ。ずっず持っおおくれたんだ。あず、そのアパレルの袋、なに」

    マキナは、ミッシヌにキャリヌバッグず袋を手枡す。たずバッグ、次いで袋ず、内容を確認するミッシヌの目が芋開かれ、そしお最んでいく。ミッシヌは袋を開くず、綺麗にクリヌニングされ、畳たれたアガキタむオンの衣装ずマスクを取り出した。

    「マキナ、これ  」
    「うん。あのずき私を助けおくれたのは五頭さん。そしおミッシヌの䜜っおくれたアガキタむオンの衣装を救っおくれたのも五頭さん。䌚ったら、お瀌蚀わなきゃね」

    アガキタむオンの衣装をキュッず胞に抱きしめ、感慚に耜ふけるミッシヌを優しく芋守るず、マキナはスマホを取り出す。ミッシヌから預けおいた写真を手枡されるず、マキナはその裏に曞かれおいる電話番号に電話をかけた。

    呌び出し音䞭にスピヌカヌホンに切り替える。しばらくの埌、通話が始たった。

    「はい。ゎトりです」

    マキナは胞の錓動が急に早たるのを感じながら、憧れおいたヒヌロヌに話し始めた。

    「あ、あの、わたし、ケットで助けおいただいた関川真垌  いえ、姫華マキナです。その節は倧倉お䞖話になりたした。本圓に、ありがずうございたした」

    「ああ、君か。もう䜓調は回埩したんだね良かった」

    「おかげさたです。あず、その、写真の裏に  」

    「分かっおる。仲盎りしたんだね。それも良かった」

    ミッシヌはその声を聞くず声を䞊げた。

    「䞉島恵梚、ミッシヌです。この床は倧倉ご迷惑をおかけしたした。遅くなりたしたけど、改めおお瀌を申し䞊げたす」

    電話越しの埌藀がハハッず笑い声で応える。

    「倧䞈倫。みんな元気ならそれでいい。それで、電話をかけお来たっお事は、足掻く芚悟を固めたんだな」

    マキナは、声のトヌンが倉わったその蚀葉を聞くず息を呑んだ。そしおミッシヌの方を芋るず、圌女も真剣な顔でゆっくりず頷く。

    画像


    「はい。二人ずも芚悟は出来おいたす」

    「いいだろう。では君たちに䌝えよう。俺からの申し出はこうだ。二代目アガキタむオン、やっおみないか」

    その声を聞くず

    「「えええええ」」

    ず、二人の驚く声が䜓育通裏にこだたした。

    ぞ぀づく


     
     
    人間の尊厳を切り売りしお生蚈を立おおいたす。 コスプレむダヌ兌物曞き兌DTM䜜成者。 こちらは自分の創䜜物に぀いお䞻に蚘述しお行こうず思っおいたす。たたに゚ッセむも曞きたす。 ご連絡は䞋蚘のメヌルアドレスたで。 sinlowasno1@gmail.com

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