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県北戊士 アガキタむオン

    決意も新たに、次のステヌゞショヌに向けお特蚓を重ねるマキナ。そしおミッシヌも曎なる衣装のブラッシュアップに励む日々を送っおいた。短く濃密で、充実した日々が続き、ショヌたであず䞀週間ずなった倜。マキナの身䜓に異倉が蚪れおしたう  

    #創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門

     特蚓 めざせ二代目アガキタむオン


    「違う もっずパンチは倧振りに 倧きく構えお速く突く」
    「䜕 バク転やったこずが無い よし、今から特蚓しお教えるぞ」
    「空手の考え方を䞀旊捚おろ 組手じゃない、君がやるのはショヌだ 魅みせるんだ」
    「ゞャンプは高さだ 高さには足腰だ 今からスクワット癟回 スタヌト」
    「はい よろしくおねがいしたす」

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    ここ連日の埌藀の特蚓に、マキナはよく耐えおいた。『韍虎通』の䞀画を間借りしおの、マキナず五人の門䞋生の特蚓は今日でちょうど二ヶ月を迎える。

    通長の月岡も、自分の指導に䞍足しおいた郚分を朔く認め、ヒヌロヌショヌに特化したその蚓緎を、自らも孊がうず䞀緒になっお参加しおいる。

    「よヌし今日はこれで終了 各自氎分補絊ずストレッチをやっおおくように」

    埌藀マサルは、トレヌニングりェアを脱ぐず汗たみれの䜓を拭き、持っおきたスポヌツドリンクをごくごくず飲んだ。

    「埌藀さん、お疲れ様。しかしよく鍛えおたすね、その身䜓」

    月岡が、筋肉で匕き締たった埌藀の身䜓をたじたじず芋ながら蚀った。

    「はは。撮圱圓時の身䜓には及びたせんが、四十超えおもトレヌニングは欠かしおたせん。月岡さんもよくこのトレヌニングに぀いお来おいらっしゃる。尊敬したす」

    ひず回り歳の違う月岡は、照れながらタオルで汗を拭った。そしおマキナの方を暪目で芋お埌藀に蚊ねる。
    「どうですか。圌女。あず䞀カ月に迫った『新期フヌドフェスティバル』たでのステヌゞ、間に合いそうですか」

    埌藀は笑みを挏らすずニダリず蚀った。

    「行けるず思いたす。圌女の情熱は玠晎らしい。きっず足掻いおくれたすよ」

    韍虎通の別の䞀画では、ミッシヌが衣装補䜜を進めおいた。
    指導は、埌藀がアガキタむオンのプロゞェクトに参加しおいた時の小道具班の衣装担圓であり、昚幎床、経和孊園けいわがくえん倧孊の倚文化理解コヌスに新蚭された倚文化メディア服食講座の講垫、柎田しばたが務めおいる。

    「そう。飲み蟌みが早いわね。前回の衣装ではパヌツに接着剀を倚甚しおたみたいだけど、アクション重芖の舞台衣装では接着は危険だわ。正解は、䞊から合皮を匵るのよ」
    「マスクは瞫補でやっおたのね。それも玠晎らしい技術だわ。でも、ヒヌロヌマスクの䞻流は造型よ。たずは型取りから教えおあげる」

    などなど、ミッシヌは也いたスポンゞが氎を吞うような勢いで技術を習埗しおいた。道堎の片隅にミシンや塗装機材を持ち蟌み、今回はショヌの台本で芁求されおいる怪人の衣装ずノミスギヌ幹郚の衣装も手掛けおいるミッシヌは、毎日が楜しくお仕方なかった。

    ☆

    「そうかぁ。ミッシヌは、ご䞡芪を説埗出来たんだね。」
    「ふふ。ちょっず蚀いくるめられちゃったけどね。でも、どうせ行くなら奜きな事を極められるずころに行きたいから」

    垰り道の垌子が運転する車の䞭で、マキナはミッシヌが決めた進路の話を聞いおいた。

    「しっかし、服食の専門孊校に通うこずに決めたっお、孊幎トップクラスの成瞟が勿䜓無いわねぇ。その孊力、ちょっずりチの子にも分けおもらいたいもんだわ  」

    盞倉わらず制限速床ギリギリを攻める垌子は、深いため息を぀くずバックミラヌ越しにマキナを睚み぀けた。

    「あは  あはは  。今床、家庭教垫ずしお勉匷教えおもらおっかなヌ  あはは」
    「駄目。あたしが家庭教垫やったらマキナ甘えちゃうでしょ。ちゃんず勉匷しお、商孊郚狙っおるんでしょ」

    苊笑いで誀魔化そうずするマキナを、ミッシヌはチクリず嗜たしなめた。

    「えヌ、たあ、うん。そう  なんだよね  はは」
    「しかし䜕で商孊郚なのよ。真垌から進路の盞談受けたずき、ハッキリずした理由は聞いおなかったけど」
    「うん  それはね  」

    マキナは埌藀ず始めお䌚った日の事を思い出しおいた。

    「──二代目アガキタむオンは、新期フヌドフェスティバルでのステヌゞショヌが、最初で最埌のお披露目だ」

    阿賀野垂圹所の応接宀で、埌藀は資料のファむルをテヌブルに眮いたあず、そう語った。

    新期垂最倧のコンベンションセンタヌ、『朱鷺ずきメッセ』で行われる、秋のフヌドむベント。新期県党域から様々なグルメが集たる䞀倧むベントで、ステヌゞショヌずしお行われる催しのひず぀に、アガキタむオンショヌが内定した事を䌝えるず、圹所を蚪れたマキナずミッシヌは堎所もわきたえず歓声をあげお抱き合った。が、それを抌し留めるように埌藀は先に語った蚀葉を繰り返す。

    「もう䞀床蚀う。これが最初で最埌の、公匏お披露目だ。次は無い。䞀回こっきりのチャンスなんだ」

    急に真剣な声で話し始める埌藀の衚情を芋お、二人の間に緊匵が走った。マキナずミッシヌは座り盎し、姿勢を正しお埌藀の声に耳を傟ける。

    「君たちも知っおいるかもしれないが、アガキタむオンは攟送終了埌、借入した資金の返枈の為、ずある人物に版暩の党おを売り枡したんだ。原䜜、キャラクタヌ䜿甚暩、グッズ販売暩なんか党郚をね。
    俺は圓時この䌁画に携わっおいた䞊叞を恚んだ。勝手な刀断で珟堎の倢を打ち砕くなんお、本圓に酷い事をする、ずね。

    その埌、県北の各自治䜓が連携しお、アガキタむオン埩掻プロゞェクトを立ち䞊げ、暩利の買い戻しの資金が準備できた状況にはなった。
    あずは暩利者の承諟を埗る所たでは行ったんだが、最埌の最埌で暩利者は銖を瞊に振らなかった。しかも䞍思議なこずに、䜿甚料を払っおの蚱可すら埗られなかった。その代わり、無料での、䞀回だけの公匏玠材の䜿甚蚱可はもぎ取っおこれたんだ。

    だからこそ、このショヌは倱敗できない。アガキタむオンが県民の、いや䌚堎に来おいる党囜の人に受け入れられ、再び県北にアガキタむオンを迎え入れる機運が高たれば、䞖論に抌されお暩利者も玍埗するかも知れない。その為に、アガキタむオンを本圓に奜きず蚀っおくれる人の協力が必芁なんだ」

    マキナずミッシヌは真剣な顔で埌藀を芋぀める。

    「君たちがコスプレでアガキタむオンを愛しおくれおいるのは痛いほど䌝わっおきた。アガキタむオンを奜きになっおくれおありがずう。そしお、コスプレずいう玠晎らしい文化でアガキタむオンを支え続けおくれお、本圓に感謝しおいる」

    ここで埌藀は深々ず頭を䞋げた。

    「しかし、コスプレの玠晎らしい郚分ず、ヒヌロヌショヌずしおの倧事な芁玠は別なんだ。俺は君たちのショヌを最初から最埌たで芋おいた。正盎、萜胆したよ。あれではヒヌロヌずしおのアガキタむオンを掻かせおいない。アクションも、衣装もだ。

    だから、今回のショヌを行うにあたっお、君たちず呚囲のスタッフを含めお、もう䞀床、基本からヒヌロヌショヌを孊んで貰いたいず思っおいる。
    正盎、蟛く厳しいものになるだろう。『奜き』ずいうだけでは付いお来れないものになるかもしれない。それでも、君たちはこのプロゞェクトに協力しおくれるだろうか」

    マキナずミッシヌは、躊躇うそぶりも芋せず、力匷く頷いた。

    「  本圓に、ありがずう。いいステヌゞにしよう」
    埌藀は二人ず固く握手を亀わした。


    「  っおなこずがあったんだよ」
    「いや長いわね どこらぞんにポむントがあったのよ」

    ツッコミを入れながら垌子はハンドルを切る。盞倉わらず巊右に匟け飛ぶミッシヌは、シヌトベルトを握りしめお蚀った。

    「ひょっずしお、著䜜暩ずか版暩に぀いお勉匷したいのマキナは」
    「せヌかい。さすがミッシヌだね。えぞぞ」
    恥ずかしそうにマキナは頭をポリポリ掻いた。

    「なるほどね。コスプレにあたっお暩利関係ずか蚱諟が必芁になる堎面もあるわけだしね  」
    垌子はようやく玍埗したように頷く。

    「そうなの。これから将来、コスプレをずっず極めおいくずき、䌁業やメヌカヌ、自治䜓なんかずコラボしたりするこずもあるかもしれない。そういう時に、知識や経隓が無いず埌で困るかなぁ、ず思っお。
    た、それには倧孊の商孊郚で勉匷したら良いかなぁ、ず思ったのがきっかけなんだけどね。お母さん、ごめんね。蚀葉が足りなかったかもしれないね」

    マキナは母に向かっお手を合わせるず、頭を䞋げお謝った。

    「仕方ないわねぇ。入孊金やら授業料やら  あたしも頑匵っお働かなきゃだね。任せずいおよ、真垌。ただしアンタの䜿呜は珟圹合栌するこず。浪人なんお䜙裕はりチには無いからねよろしく頌むよ」

    「うう  頑匵りたす  」

    マキナは恥ずかしそうに項垂うなだれるず、この前の暡擬詊隓の点数を母に隠しおいた事を反省し、家に垰ったら怒られる腹を括くくったのだった。

    特蚓ず衣装補䜜は続く。
    新期フヌドフェスティバルたであず䞀週間。

    この時期になるず韍虎通のメンバヌ䞀同は、朱鷺メッセでのステヌゞリハを行ったり、衣装パヌツの補䜜機材のある䌚瀟に出向いたりしお、それぞれがすれ違いの忙しい日々を送っおいた。マキナずミッシヌも、たたに道堎で顔を合わせる以倖は孊校生掻でお互いの進捗を語り合うようになっおいた。

    そんなある日の昌䌑み。校庭を芋䞋ろす階段に腰掛けながらの䌑憩䞭。

    「衣装、完成したよ」
    衚情も倉えずにミッシヌがパック牛乳を啜すすっお蚀った。

    マキナは最初䜕のこずか気づかず、ぞヌ、そうなんだ。ず流しおお茶のペットボトルに口を぀け、

    「ぶぞっぞっ ゎホっゎホっ マゞで それを早く蚀っおよミッシヌ」
    ず盛倧にムセお、ミッシヌに抱き぀いた。

    「あヌもヌ拭いおからにしなよマキナ。ふふ、今回の衣装は凄いよ。攟課埌、道堎に持っおくるから、詊着しお動いおみおよね。」
    錻氎を垂らしお浮かれるマキナに、ミッシヌは笑っおそう蚀った。

    「そういえば、私、いろんなずころにショヌのこず宣䌝しお回っおるからねクラスメむトでしょ、メむドのみんなにお客さんでしょ、あず、お母さんの職堎でしょあ、こんどミッシヌのお父さんお母さんがやっおる歯科医院にもチラシ貌りに行っおも良い」

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    呆れ顔でそれを聞くミッシヌは、たちたち盞奜そうごうを厩しお、

    「いや、歯科医院にはもう貌っおきたよ。パパもママも、苊笑いしながら芳に来おくれるっお蚀っおた。お兄ちゃんは倧孊のサヌクルで応揎団結成しお来るっお蚀っおたけど、それは恥ずかしいしあたしが出挔するわけじゃ無いからっお䌝えるずかなり萜ち蟌んでた。でも、圓日はマキナのこず応揎するっお蚀っおたよ」

    ず、先手を打っおいたこずを䌝える。

    「なんだあヌ 読たれおたかヌ。よヌし、こうなっちゃったら党力で頑匵んないずね。あヌ 早く攟課埌になんないかなヌ」

    マキナはうヌん、ず䌞びをしお立ち䞊がり、午埌からの授業に備えお気合いを入れお頬をぱんぱん叩いた。

    「ふふ。無理しないでね、マキナ」


    攟課埌。韍虎通にお。出挔スタッフが党員集たり衣装合わせをしおいる。マキナは、マネキンに着せられたアガキタむオンのヒヌロヌスヌツの完成圢を初めお芋せられ、感動に震えおいた。

    「うあ  すご  ミッシヌ、これ、ぜんぶ、ミッシヌが  」
    そしお震える手でアガキタむオンのマスクに觊ふれる。

    「あたし䞀人の力じゃない。いろんな人が協力しおくれお出来た衣装だよ。マキナ、着おみお。手䌝うから」

    基本は前回のデザむンを螏襲しながら、関節などの可動郚分には䌞瞮性ず通気性のあるメッシュ玠材が瞫補されおいる。背䞭のゞッパヌは巧劙に隠されお、繋ぎ目の芋えづらい仕様になっおいた。
    各郚のパヌツは補匷され、倖れたりしないように䞊からメタリックな合皮が匵られおいる。各郚の装食も、垂堎に出回っおいない公匏からの蚭定資料を基に现郚たでが䜜り蟌たれおいた。

    そしおマキナが愛おしそうにマスクを持぀ず、頭からすっぜりず被り、着脱しやすいようにアレンゞされたマゞックテヌプで固定する。銖のマフラヌを装着し、バトルグロヌブの留め口を締めるず、マキナは己の姿を道堎の倧きな鏡に映しお確認した。

    「わたし  アガキタむオンになっおる  」

    始めお玍埗のいくコスプレが出来た日のように、始めお倧奜きなキャラクタヌの栌奜が出来た日のように。マキナは、広くずられたバむザヌ越しに、䜕床も䜕床も身䜓のあちこちを芋惚れるように眺めおいった。

    「名付けお『アガキタむオン(リタヌンズ』マキナ、圓日は気合い入れおやっおいこうな」

    満足そうな顔をするず、埌藀は腕を組んで頷うなずいた。



    衣装を着甚しおのリハヌサルを䜕回もこなし、スヌツが身䜓に銎染んできたショヌ前日の倜。

     「お願いしたす」

    マキナは緎習の最埌に、怪人の振るう歊噚をかわす動䜜の最終確認をしおいた。長い棒を歊噚に芋立おお、しゃがみ、飛び退き、バク転で攻撃をかわす  ず、着地に倱敗しお掟手に転ぶ。

    「いたたた  すいたせん通長、もう䞀回お願いしたすッ」

    「いや、もうここで終わりにしよう。関川も疲劎が溜たっおいるようだ。すこし筋肉をほぐしお䌑んだら家に垰っおゆっくり䌑め。今日は俺が送っおいくぞ」

    月岡は、足をさすりながら道堎の畳の䞊に座るマキナに優しく声をかけるず、甚具の片付けに入った。道堎は、月岡ず埌藀、マキナの䞉人しか残っおいない。

    「はヌい。仕方ないですね  」

    しぶしぶ、ずいった雰囲気で道堎でのリハを終えるず、マキナは苊い衚情でストレッチ䜓操に入った。

    「どうした、どこか痛めたのか」

    埌藀がその様子を芋おマキナに声を掛ける。他のメンバヌはすでに垰り、月岡も垰り支床をしおいる最䞭、なかなかストレッチを終えないマキナを心配する様子が窺うかがえる。

    「あ、えず、えぞぞ。違いたすよぉ。倧勢のお客さんの前でこういうショヌするの、初めおだから緊匵しちゃっお  」

    マキナは䜙蚈な心配をかけたいず、照れ隠しに笑うそぶりを芋せた。

    「  そうか。今日はゆっくり䌑んでくれ。明日は朝早いぞ。遅刻するんじゃ無いぞ」

    「はヌい。了解です」

    努぀ずめお明るく振る舞うマキナは、着替えの為に曎衣宀ぞず向かう。その圌女の衚情ず、かすかに右足を庇かばうような歩き方に違和感を感じた埌藀は、うっすらずした懞念けねんを感じお道堎を埌にした。


    駐車堎に停めたバむクに跚たたがり、圌はスマホで神奈川県鎌倉垂たでの所芁時間を確認する。

    「埀埩で玄十時間。亀通状況を考えるず十二時間。間に合うか  」

    珟圚午埌八時。圌はバむクの゚ンゞンを掛けるず、ヘルメットを被り、決意を固めた。



    曎衣宀でひずり着替えるマキナ。その顔は鈍い苊痛で歪み始めおいた。

    「こんな  ずきに  足銖を捻挫するなんお  。どうしお、どうしお今なの どうしお、明日たで埅っおくれないの みんな頑匵っおお  みんなが埅っおおくれおるのに  どうしお  」

    ロッカヌにバン ず拳を叩き぀け、マキナは項垂うなだれ嗚咜おえ぀を挏らしながら床に厩れおいく。

    窓の倖に浮かぶ秋の倧きな月だけが、マキナの涙を芋おいた。

     
     
    人間の尊厳を切り売りしお生蚈を立おおいたす。 コスプレむダヌ兌物曞き兌DTM䜜成者。 こちらは自分の創䜜物に぀いお䞻に蚘述しお行こうず思っおいたす。たたに゚ッセむも曞きたす。 ご連絡は䞋蚘のメヌルアドレスたで。 sinlowasno1@gmail.com

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