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詩「まだ、少し湿っている」

    窓を開けて
    さあやるかと息を吸う

    休日の午後
    空気を入れかえて
    きっとささやかすぎる一大決心

    クローゼットの奥には
    『またそのうちに』のまま
    ずっと固まったものたち
    お気に入りのシャツ
    古い雑誌や文庫本
    失った季節

    そのさらに奥で
    十年以上ぶりに顔を出した
    一澤帆布の鞄

    風呂場で汚れを落とし
    シワを伸ばして
    夜に陰干し

    色褪せは……
    くたくたになったねと
    そのままにしておく

    今はまだ、少し湿っている

    休日の午後の
    うたた寝のように
    知らず知らずに時は過ぎて
    知らず知らずに乾いていく





    詩「まだ、少し湿っている」
    私が十代〜二十代の頃、京都で流行した鞄のブランド。白地に赤枠と黒文字のタグ【一澤帆布製】
    当時はオーダーから三ヶ月待ち。

    その頃の価格は五千円くらいだったけど、地元ではエルメス並みの知名度を誇っていた鞄でした。
    使い続けられる素朴なデザインと頑丈さ。まさに一生物です。

    また肩にかけて街歩きしたり、助手席に置いてドライブに出かけたり……一緒に歳をとっていこうと思います。




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    きっと誰にでもある、 だけど気にも留めず通り過ぎていた景色。 ふと立ち止まり、詩やエッセイにできればと思います。 自分なりの詩文で、 笑いと哀愁の間をうろうろしながら。

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