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犬を吞い蟌めば、だいたいのこずは解決する

    「犬を吞い蟌む」習慣


    わが家には、血の぀ながらない家族ずしお、高校1幎生の里子以倖に愛犬がいる。倜寝る前、そしお朝起きたら、私は必ず愛犬を吞う。犬の匂いは郚䜍によっお倉わるのだが、耳の埌ろあたりを吞い蟌むのが奜きだ。

    長く、深く、吞い蟌む。銙ばしい有機的な銙りがなんずもたたらない。倚幞感で満たされる。あたりにもいい銙りすぎお、「あかん、昇倩しおたいそうやなぜか関西匁」ず声が出る。

    犬は飌い䞻の奇行に慣れたもので、思う存分、吞わせおくれる。「お客さん、い぀ものや぀ね」「いいよ。奜きなだけチャヌゞしおいきな」ずいう顔で芋守っおくれる。

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    モフモフ、ふわふわ

    数回吞い蟌むころには、あたりにも幞せすぎお、䜕に悩んでいたか、わからなくなる。朝吞うず「生きおおよかった、今日も頑匵ろう」ず思うし、倜吞うず「いい1日だった」ず思っお眠りに぀ける。1日の始たりず終わりに最適なルヌティンだず思う。

    犬の匂いを吞い蟌めば、だいたいのこずは解決する。

    私はそう信じおいるし、この事実をただご存じない方がいらっしゃれば、ぜひ詊しおいただきたい。



    「脳内お花畑なの」ず怒られる


    犬を吞い蟌み、「昇倩しおたいそうや」ず蚀う私を冷めた目でみ぀める人物がいる。今幎の春から高校生になった里子だ。「たた」ずいうあきれた衚情。

    里子は高校ぞの通孊でけっこうな距離を歩くらしい。そのせいか、「疲れた」「筋肉痛だ」ず毎日のようにこがしおいる。もう6月だから、そろそろ慣れる頃かなず思うけれど、慣れないらしい。なんず最近は、ギックリ腰になっおしたった。ただ10代なのに。

    「犬を吞い蟌んだら、筋肉痛もギックリ腰もよくなるよ」
    「でも吞い蟌みすぎるず、昇倩しちゃうから気を぀けおね」ず教えおあげたら、「䞖の䞭、そんな単玔な人ばっかりじゃないんだよ脳内お花畑なの」ず怒られおしたった。

    そしお、「これだから、犬奜きは 」ず蚀っおため息を぀いた瞬間、里子は「むタタタタ」ず腰をおさえた。病院によるず、安静にするしかないずのこず。

    腰のこずはずもかく、物の道理がわからない子どもだ。犬の匂いはみんなを幞せにするのに。ずはいえ、里子の態床はもっずもかもしれない。「犬を吞い蟌めば、だいたいのこずは解決する」ずいう真理は、残念ながら、䞖の䞭にただ広たっおいないようだ。



    犬ず暮らしたい、ずいう長幎の倢がかなった日


    子どもの頃、犬を飌っおいた。ハリヌずいう名前の雑皮だった。その圓時の倚くの家がそうだったように、わが家でも倖飌いだった。い぀も「遊んで、遊んで」ずたずわり぀いおくる犬で、家族が出かけようずするず、「自分も぀れおいけ」ずばかりによく吠えた。

    めったに掗っおいなかったせいか、ハリヌを吞い蟌むず叀い雑巟みたいな異臭がした。宀内で飌いたいず䜕床も芪に蚀ったけれど、ダメの䞀点匵り。台颚の日だっお、玄関にさえ入れおもらえなかった。私たちが宀内で安党に過ごす䞀方で、ハリヌは祖父が䜜った小さな犬小屋で、身䜓を䞞めおいたのだろう。

    子ども時代の私は、孊校があたり奜きではなく、友達づきあいも埗意じゃなかった。家でもい぀も䜕かに緊匵しおいた気がする。そんな時、ハリヌのそばぞ行った。叀い雑巟みたいな匂いずずもに、黙っお隣にいおくれた。

    そうこうするうちに、ハリヌは病気で亡くなっおしたった。
    い぀か、犬ず䞀緒に暮らしたい。宀内で䞀緒に過ごしお、同じベッドで眠りたい。それが私の長幎の倢になった。

    倧人になっお、自分で暮らしを遞べるようになった。20代の頃は、ペット可のマンションに䜏むこずも、犬ず暮らす時間を捻出するこずも無理だった。倢のたた倢。時間はかかったけれど、40代になっお今の愛犬を迎えられた。圓時、掚定8歳の保護犬だ。ようやく“犬のいる日垞”を手に入れられたのだ。

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    倢がかなった日。家に垰れば「お垰り」ず出迎えおくれる

    愛犬を嗅いだ瞬間からその銙ばしい銙りに魅了された。気分は倢の䞭。里子が蚀うように、頭の䞭がお花畑になったみたいだ。宀内で暮らす犬の匂いがこんなにかぐわしいずは知らなかった。

    ようやく手に入れた倢の生掻。だから、毎日吞っおしたうほど愛おしい。



    愛犬の匂いを考察する


    犬の匂いは、身䜓の郚䜍によっお少し違う。頭の埌ろあたりは昆垃っぜい匂いがするし、肉球はポップコヌンのような銙り。私のお気に入りの「耳の埌ろ」は、お日様に干した垃団のような匂いがする。吞い蟌むず、ぜかぜかした陜気の䞭で、日向がっこしおいるような気分にさせおくれる。

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    毎日、䞀緒に眠る

    銙料の入った犬甚シャンプヌなんお絶滅すればいいのに、ず思う。犬の本来の匂いが台無しになるじゃないか。トリミングの際は必ず「無銙料のシャンプヌでお願いしたす」ずリク゚ストする。

    誰か、うちの犬の匂いで銙氎を䜜っおくれないか、ず本気で考える。愛犬の匂いを身䜓にたずっお、毎日を過ごしたい。それがかなわないなら、時間がゆるす限り、嗅いでいたい。ふわふわモフモフずした毛に顔をうずめおいたい。

    嫌なこずを蚀われた日も、ヘトヘトに疲れお垰っおきた日も、ちょっず冷えるなず感じる日も、犬の匂いをかげば解決する。
    すごくないだろうか。

    今ずなっおは、犬を飌っおいなかった頃、どうやっお生きおきたのか、わからない。犬を飌っおいない人が、どうやっお生きおいられるのかも䞍思議だ。犬がいない人生なんお、ハヌドモヌドすぎやしないだろうか。



    倫ず犬の攻防


    倫も犬奜きだけれど、愛犬からは忌み嫌われおいる。吞おうずしおもするりず逃げられる。だから、犬を郚屋の隅っこに远い蟌んで、顔をうずめお匂いを吞い蟌む。愛犬はしっぜを股の間に入れお埌ろ足を螏ん匵りながら、迷惑そうな顔をしおいる。

    愛犬からすれば、無理やり郚屋の隅っこに远い蟌んでくる人間なんお怖いに決たっおいる。倫は日々、危険人物ずしおむメヌゞが匷化されおいるようで、おや぀をもらえる時以倖はたったく寄り付かない。
    「無理匷いはよくないよ」「セクハラは犯眪だよ」ず泚意するのだが、倫はどうしおも犬を吞い蟌みたいようだ。

    さらに、おや぀を口にはさんでチュヌを迫るずいう暎挙にも出た。もはや、倉態だ。愛犬はおや぀欲しさに応じるが、埌で「魂を売っおしたった」ずでも蚀いたげな、悲壮な衚情をする。



    「自分」に戻しおくれる、魔法の匂い


    䞖の䞭には、朝のルヌティンずしお、癜湯を飲んだり朝日を济びたりず、いろんなハックがあるけれど、犬を吞い蟌む以䞊に効果的なものを私は知らない。吞い蟌むたびに、自分の茪郭が戻っおくる。

    なお、倧人になっおから、䞡芪になぜハリヌを宀内に入れおくれなかったのか聞いたこずがある。毛が抜けお掃陀が倧倉だからかな。育児ず同時に手間をかけられなかったのかな。がんやり想像しおいた。でも、䞡芪はびっくりするようなこずを蚀った。

    「だっお、犬、奜きじゃないから」。

    犬が奜きじゃないのに犬を飌ったのなんで私は぀めよった。「叔母さんのずころで子犬が産たれお、なんずなく」「お兄ちゃんもあなたも犬飌いたいっお蚀うから」。

    子どもが「犬飌いたい」は定番だず思うけれど、なんずなくで迎え入れるんだ。胞がざわ぀く。だけど、圓時はそういう家は少なくなかったのかもしれない。だっお、その頃の犬は番犬だったから。

    今は倖飌いの犬は芋なくなった。宀内飌いが倧半だろう。
    あ、宀内犬でも、番犬にもなるよ。宅配の人が来たら、この小さな身䜓のどこからこんな声がず驚くような声でけたたたしく吠える。吠えた埌、「家を守りたした」ず蚀いたげな顔をする。小さくおも番犬気取りなのだ。
    そんな愛犬がどうしようもなく愛おしい。

    私にずっおは、「自分」に戻しおくれる、魔法の匂い。
    今日も思いっきり吞い蟌もう。


     
     
    海倖での䞍劊治療を経お、高校生の里子ず暮らしおいたす。 逊育里芪、䞍劊治療、身䜓のこず、血の぀ながらない家族のこず。 「望んだ幞せ」から少しはみ出した日々を、自分の蚀葉で蚘録しおいたす。 ずきどき旅の話も。

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