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ボナボナセーラ ボナセーラ ~パリ・ミラノ・ローマ・ニース・モンテカルロで乾杯~【第25話 旅の終わり】

    第25話 旅の終わり

     長かったのか短かったのか、旅も終わりに近づいていました。モナコからパリに戻った私たちは、二週間前に降り立ったシャルル・ド・ゴール空港の免税店で、お土産を買いました。日本で私たちの帰国を待っている人のために。

     私はお世話になっている人に「カミュ・ナポレオンブック」を買いました。ナポレオンブックは、フランスの老舗コニャクメーカーの「カミュ」社が展開する人気のボトルシリーズです。本の形をした美しいリモージュ陶器のボトルに、熟成されたナポレオンクラスのコニャクが詰められています。コレクターアイテムとして高い評価を得ています。定番は、ナポレオンの肖像画が描かれたブックです。ブルーをはじめ、レッド、グリーン、ホワイト、ゴールドとある中で、私はホワイトを選びました。ちなみに、ゴールドは入荷数が少なく高額になりやすい傾向があるそうです。

     帰りの便もエールフランス航空でした。熟女チームのみなさんはビジネスクラスではなく、エコノミークラスに席を変更されていました。この旅で仲良くなった私たち会社チームとおしゃべりがしたかったのでしょう。しかも席は、教室のいちばん後ろの席を陣取っている高校生の悪ガキのように、最後部の座席を陣取りました。丸顔の小太りくんの働きです。彼もこの旅で成長したことでしょう。なにせ一癖も二癖もある熟女の面倒を、二週間もみたのですから。とくに、マダム・エスカルゴは手強かったに違いありません。

     二週間も行動を共にすると情がわくといいますか、みなさん、ほんとうに仲良しになってしまいました。できるだけ声をひそめて話しているとはいえ、ほかの乗客の方に申し訳ないほど、おしゃべりに花が咲いてしまいました。

     今回の旅を振り返ると、たのしい思い出ばかりです。いちばん印象に残った出来事は?
     と訊かれても困ります。どの場面を切り取っても、私の人生で大切な一コマになりました。

     会社の企画室のパーティションで仕切られたデスクでデザイン画を描いているときに、ふと、エッフェル塔のレストランで食べた♪でんでんむしカタツムリの「エスカルゴ」の味がサザエに似ていたとか、アワビに似ていたとか、思い出すのでしょうね。

     成田空港でトランクを受け取って、みなさんとお別れです。

     成田空港のVIPルームでの最後のあいさつで、添乗員の丸顔の小太りくんは泣いていました。今回、お世話させて頂いて、幸せでした。もう二度と、こんな添乗員のお仕事には出会えないと思います。本当にありがとうございました。
     みんなが添乗員の丸顔の小太りくんに、ご苦労さま、お世話になりました、と拍手で感謝の気持ちを送りました。

     マダム・エスカルゴは、関西に向かう飛行機に乗って帰られました。マダム・エスカルゴの後ろ姿を私は見送りました。マダム・エスカルゴは振り返り、手を振ってくださいました。

     お嬢様は東京駅から新幹線に乗って帰られました。お嬢様とは、その後、何度か展示会にお見えになった際、昼食をご一緒させて頂きました。昼食を取りながら旅の思い出に花が咲きました。

     社長の息子は、奥さんがベンツのシャコタンを運転して、成田まで迎えに来ていらっしゃいました。私はスーツケースを引きずって成田エクスプレスの駅に向かいました。楽しいヨーロッパの旅でした。

     みなさん、お疲れさまでした。

    #創作大賞2026 #お仕事小説部門

     
     
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