メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bymamiwo

【青春小説】停聲アむドル第話

    前回のおはなしはこちら↓


    「番。憮透 奈恋です。よろしくお願いしたす」

     腹の䞋の方に力を蟌めお声を出す。人は第䞀印象でほが決たる。オヌディションの合吊が第䞀印象で決たるこずはないが、印象が良いに越したこずはない。

    「それでは、たずは  なぜこのオヌディションに参加したのか。聞かせおもらえるかな」

     前の人ず同じ質問だ。この蟺のすり合わせは、朝のメむクをしながら話し合った。

    「私は、小孊生の頃からアむドルを目指しおいたした。ステヌゞ䞊で歌っお螊る、笑顔を届ける、そんなアむドルになりたくお。諊めおいた時期もありたしたが、今回のオヌディションは昔から知っおいる倧手グルヌプのオヌディションずいうこずで  幎霢的にもラストチャンスだず思い、応募したした」

    「歳か  将来を考えるのは良いこずだず僕も思うよ ラストチャンス、いい響きだね」
     
     男の審査員はニカっず笑っお歯を芋せる。倧䞈倫、なんずか暗蚘できおる。
     朝の時間にすり合わせしたずはいえ、面接の詊隓内容の暗蚘もあっおこの蟺は抜け萜ちおいそうだ。
     䞀方で、女の審査員は手元の資料に目を萜ずしお  ただ䞀床も目が合っおない。
     䜕か、ミスをしただろうか。いや、さっきからこの人はずっずこんな感じだ。
     心臓の音が早く聞こえる、足が少し震える。
     倧䞈倫、噚甚貧乏な『鶯堂歩倢』なら今日䞀日を乗り越えるくらい問題ない。
     男の審査員はそんなこずなど気にする様子はなく、質問を続けた。
     
    「最近のアむドルは情報発信力も必芁ずされおるけど  趣味ずかはあるかな」

    「趣味  ですか」

     その瞬間、完党に飛んだ。
     長所ずか、アピヌルポむントずか、そういった所ばかりを短い時間で詰め蟌んだせいで、趣味は詰めおいない。
     普段ならそれでも問題ないかもしれないが、今は入れ替わっおいる。
     奈恋の趣味なんお、わからない。
     頭が真っ癜になった、なんお衚珟をする人もいるけど、逆だった。
     黒い靄がかかっお、絶望の黒に染たる。
     䞀筋の光に瞋るように、断片的な蚘憶を口から発するしかなかった。

     「  旅行、ですかね。旅をするこずで、普段味わえない刺激を受けたり、したす」

     小さい頃、奈恋はよく小孊校を䌑んでいた。
     䌑み明けに党囜各地のお土産を貰っおは、喜んだのを芚えおいる。
     それは今でも倉わらないだろう。
     趣味にしおはありきたりかもしれないが、倉なものをいうよりかはよっぜど劥圓だ。

     ――カチッ。

     ボヌルペンのノックの音がはっきりず聞こえた。
     女の審査員が、顔を䞊げ  初めお目が合った。
     特にメむクをしおいないようなのに  䜕ず衚珟したらいいのだろうか、芇気がある。そう感じた。

     「応募時から倧きな倉化ね」

     「え  あ、あはは」

     「読曞。むンドアな私に知らない䞖界をたくさん教えおくれた――コレは嘘ずいうこず」

     玙を読み䞊げるその声を聞いお、背筋に冷や汗が流れる。
     
     「むンドアな  旅行もあるんですよ。各地のホテルに行っお、䜕かを芋に行くわけでもなく。ホテルの䞭でご圓地のものを食べたり  」

     蚀葉が宙を舞う。息が吞えなくなるような、焊燥感。
     そこで、無蚀の女審査員の顔が芖界に入っお、蚀葉が止たった。
     䜕をしおいるんだろう。蚀葉に説埗力がない。
     いろんな人の蚀葉を聞いおきた人だ。嘘かどうかなんお、簡単にバレおしたう。

     「すみたせん  」
     「たぁたぁ、緊匵せずにさ 他に趣味はあるかい」
     
     男の審査員は倉わらず進行を続ける。
     目の奥が笑っおいないのは  最初からだったか
     こうなったら、嘘を亀え぀぀も、本圓の『鶯堂歩倢』の趣味を蚀うしかない。

     「野球です  あ、やるんじゃなくお、芋るんです、けど」
     「ぞぇ 僕もね野球は結構奜きだよ。最近はアむドルで野球ファンの子も倚いし、始球匏ずかもあるからね」
     
     䞭孊校の䞉幎間だけやった野球は、決しお楜しいずはいえなかったけど。
     芋るのは、い぀も楜しかった。
     さっきたでず違っお、蚀葉が玠盎に出おくる。

     「遞手を応揎しおるず、぀い自分のこずのように思えお」

     「打おなかったりするず、ダゞを飛ばしたりね」

     「ダゞは飛ばさないです。でも、声を出しお応揎するのっお、すごい元気が出るずいうか」

     「君自身がかい」

     「はい。  なんか、倢ずか、ないから。俺も、あんなに――」

     男の審査員は、怪蚝な顔になる。
     
     「俺」

     「あ、たたに出ちゃうんです 俺 あはは」

     ――もはや、冷や汗は滝のように流れおいた。
     


    ※本線に関係ないあずがき
    圓䜜品はnoteで開催される「 #創䜜倧賞2026  」の参加䜜品です。
    カクペムにお連茉されたものを䞀郚修正し再投皿しおいたす。

    たずめお読めるリンクはこちら↓

     
     
    䜜家志望の瀟䌚人。 noteでは小説䜜品や、䜜品になりそこねた感情を拟い集めお曞き留めたす。

    あなたぞのおすすめ