
【創作メモ】星を繋ぐように見出した共通項 —— 三題噺「終電を逃した水曜日」
この記事では、
お題の答え合わせをしたい人
「三題噺」に興味がある人
3つの無作為な言葉をどうやって繋げているか関心のある人
に向けて三題噺のお題と、私の頭の中でどうやってお題からお話を組み立てていったのかを、分解して言語化してみます。
みなさんの視点も共有いただけると嬉しいです。
こちらは、下記のショートショート、三題噺の記事の解説編になります。
ネタバレを大いに含みます。
元記事を先に読んだうえで、本記事を読み進めることをお勧めします。
答え合わせ:3つのお題
こちらが答え合わせです。ピタリ当てられた方はいらっしゃいますかね。
硝子細工
リトマス試験紙
「終電を逃した水曜日」
今回は、ワードも一見すると散らばって難しそうですが、それらから見出した共通項に焦点を置いて、頭の中を解説していきます。
共通項:「不可逆性」という性質を持つ3つのお題
いつも通り、お題が来たらまずは要素分解をします。
硝子細工:試験管、ガスバーナー、加熱、変形、美しい、繊細
リトマス試験紙:酸性とアルカリ性、判別、溶液、赤と青、状態の確定
「終電を逃した水曜日」:恋愛、飲み会、泥酔、週の真ん中、急用、意味のある日
1つ目と2つ目を見た段階で、私の過去の記憶を掘り起こして実験の話を混ぜようと思いました。
私にとっては、あまりにセットのワードだったのです。
3つ目については、理由を掘り下げて意味を問うていました。そしてこちらも過去の記憶がフラッシュバックしました。
何を隠そう、この話は三分の一が実話です。12月某日。本当に切羽詰まっている時に彼女に振られたのです。
流石に日付は水曜日だったことにしようと思って、カレンダーを振り返ったらしっかり水曜日に振られていました。ウケる。
この時点でおおよその方針は固まっていました。その上で、もう一歩踏み込めないか?
その時に、お題の共通項にふと気が付きました。どれも「不可逆」であると。
硝子は熱した時に剛性を失いますが、冷えて固まれば元の性質を取り戻します。しかし、元の形に戻すことはできません。
リトマス試験紙も、色を呈色するという点で不可逆、ないし曖昧な状態をその場で確定してしまう物でもあります。
終電なんて逃したら、そりゃ朝まで電車は来ません。
そんな共通点から、「不可逆性」を裏テーマとして、進んだら決して元に戻らないことに焦点を置いて書き進めていきました。
「不可逆性」を軸に据えて、ヤケクソの火遊びに手を染める男をキャラとして立てました。
それでも、元に戻らないものをひっくり返したかった。だから、終電という大人の階段を「下りる」選択を取らせることで、物語に意味を持たせたのです。
この選択をさせたのは、私自身の想いです。例えどれだけ短い想い出で、それが不条理な終わり方をしたとしても。
少なくとも私は、そういう痛みをなかったことにできませんでした。
しばらく痛んで、引きずって、みっともなくのたうち回ることにも、きっと意味があるのだと思います。
そう思わなければ、自分の選択も、誰かと過ごした時間も、嘘になってしまう気がしたからです。
一度は道を外れかけました。それでも男は、シャンディガフをトリガーに、元の道を選び直すことにしました。
不可逆な流れに飲まれかけながらも、見失いかけた大事なものを、最後のところで守ることができた。
これは、結局私の思想で、夜に流されて忘れてしまうのが健全なのかもしれません。
でも、それでよかったのだと思います。
そんな形で、三題噺も今作で3本目。
創作の中でもなかなか時間のかかる三題噺ですが、無作為な星と星を結んで星座を描く感覚が私は大好きです。
何よりも、決してベタにならない。その人の色がぐっと出るものだと思っています。
ここまでお読みくださった方、ありがとうございました。こうやって、不器用にお題を通して私の創作を、続けていくつもりです。
欲を言えば、あなたも書いてみませんか。三題噺。