
第12話 決めたDRが、なぜ実行されなかったのか
会社を変えようとして、会社に教えられたこと
What I Learned from the Company I Tried to Change
― 大企業約40年、中小企業約10年。あるアドバイザーが二つの世界で見たもの ―
― About 40 Years at a Large Corporation and 10 Years at a Small Company: What an Advisor Saw in Two Different Worlds ―
第Ⅳ部 品質を変える
Part IV: Transforming Quality
第12話 決めたDRが、なぜ実行されなかったのか
Episode 12: Why Was the Agreed Design Review Never Carried Out?
※この記事は「会社を変えようとして、会社に教えられたこと」シリーズの第12話です。シリーズ全体はこちら →[総合目次]
会社では、いろいろなことが「決められる」。しかし、決めたことが実行されるとは限らない。
会議で合意した。再発防止策にも書いた。責任者も必要性を認めた。それでも、いつの間にか実行されなくなる。
私は、この会社でその現実にぶつかった。品質問題が起き、その再発防止としてDR(デザインレビュー)をきちんと実施すると決めた。私は、これで一歩前へ進めると思っていた。
ところが、ある会議の中で、私は耳を疑うことになる。
決めたはずのDRが、実施されていなかったのである。
忘れていたわけではない。必要性を知らなかったわけでもない。それでも、やっていなかった。
私は思った。
「では、あのとき決めたことは、一体何だったのだろう。」
DRをやれば、すべて防げるわけではない
最初に、一つ書いておきたい。私は、DRを実施すれば品質問題がなくなる、などとは思っていない。人が集まってレビューしても見逃すことはある。専門家が何人いても、気づかないことはある。DRそのものが形式的になれば、むしろ時間を使うだけになることもある。だから「DRをやれば安心」という話ではない。
それでも設計の節目で、複数の人間が設計内容、要求事項、リスク、課題、変更点、そして次工程へ進めてよいかを確認する。その意味は大きい。特に、一人の設計者だけに判断を依存しないという点で、重要だと私は考えていた。