独立の夢が叶わない36歳フリーターのリアル(編集後記:有料記事)
通勤時間15分。徒歩でオフィスへ
朝9時9分。
カッ..カッ..カッ..カッ..
今朝と同じ。
3階のアパートから階段を下りる。
左ポッケには、財布。
右ポッケには、スマホ。
そして、左手に水筒と弁当箱。
利き手の右手は、いつでもフリーに。
カッ..カッ..カッ..カッ..
カッ..カッ..カッ..カッ..
2階、1階とさっそうと降りる。
もう掃除の方はいない。
ウィーン..ガチャッ…
今度もセンサーが反応する。
オートロック解除。
いつもありがとな。
今度は右手でドアをグッと引く。
相変わらず、少し重い。
開いたドアの下に右足の側面を寄せる。
その後、背中でドアをガード。
華麗に反転して外に出る。
ウィーン..ガチャッ…
オートロック施錠。
9時10分。
職場まで片道徒歩15分。
昔の職場は徒歩と電車で片道2時間。
圧倒的な差。
家に帰る頃には、
ちょうど良い散歩になる。
家の前には公園がある。
もう10年以上の付き合いだ。
不思議と、住む場所の近くにはいつも公園がある。
これからもよろしくだよ。
左右を確認。
よし、大丈夫。
今日もいつもの道を歩き始める。
通勤時、すれちがうあの人。いつもの場所じゃないと少し焦るよ
9時13分。
今日もいつもの道を歩き始めた。
公園を抜けると、極端に短い横断歩道。
ここの青信号、7秒もないんじゃないか?
体感時間ね。
無事渡り終える。
ここから細い道へ。
意外と細い道は嫌いじゃない。
みんな譲り合うからね。
車両も少ないし。
時刻は9時15分。
まだ間に合う。
いつもの細い道を歩く。
この辺りは一軒家が多い。
だんだんと高層ビルが見えてきた。
小さな公園でシニア世代が輪投げをしている。
朝から良い光景だ。
たまにボランティアで地域掃除をされている。
ありがとうだ。
私もそんなシニア時間を過ごしたい。
細い道が終わりに近づく。
9時18分。
職場まであと少し。
ここで一つ、いつもと違うことに気がついた。
まだ慌てるような時間じゃない。
そう思っていた。
でも、なぜだ。
いつもすれちがう人がいる。
あれ?
ここですれちがう?
いつもはもう少し先でしょう?
もしかして、時間がまずい?
出勤前、まいばすけっとでアレを買う
9時19分。
少しだけ歩くスピードを上げる。
スタスタスタスタ。
すると今度は、いつも公園を散歩しているおじさんが見えた。
あっ、今日はベンチに座って休憩してるんだ。
なるほど。
毎日同じ時間に歩いていても、
人は毎日同じ場所にいるわけじゃない。
信号で少し止まる日もあるだろうし、
自販機で飲み物を買う日もある。
私だって、今日はYouTubeをもう一回聴いたから少しだけ遅かった。
いや、むしろ少し早く家を出たのにな。
不思議だ。まぁいいや。
9時22分。
まいばすけっとでアレを買う時間はある。
税込116円のアレだ。
今日もいつもの。
「素早くチャージ ドリンクゼリー MULTI VITAMIN(グレープフルーツ味)」
とりあえずのビタミン摂取。
サッと入店。
スッと手に取る。
ササっと会計。
サッと退店。
よし、58秒!
9時23分。
ちょいと早歩き。
昨日とまったく同じ朝なんて、
一度もないのかもしれない。
そんなことを考えているうちに、
職場のビルが目の前に見えてきた。
時計を見る。
9時24分。
最後の横断歩道。
ここで1分待たねば。
9時30分に出勤打刻をすればOK。
朝からなるべく汗はかきたくない。
でも、青になったら小走りだ。
会社遅刻ギリギリ?オフィスエレベーター内で思うこと
青信号に変わった。
朝9時25分。
さぁ、小走りだ。
横断歩道では犬の散歩をする、
おじいちゃんとすれちがう。
ワンちゃんは、
曇りなきまなこで私を見つめる。
おじいちゃんはその優しい手でクイクイ。
ワンちゃんはその小さな足でテクテク。
その曇りなきまなこはおじいちゃんに向けられ、
おじいちゃんを今度は引っ張って進む。
横断歩道を渡り終わる。
早歩きに切り替える。
少しでも汗をかかないように。
まいばすけっとで買ったドリンクゼリーの蓋を開け、
チューチューと吸いながらビルの入り口へ。
「おはようございまーす」
ビルの警備員さんが挨拶をする。
「おはようございま〜す」
私も軽く会釈しながら進む。
ビルの自動ドア。
エレベーターのボタンを押す。
ここには私と同じく遅刻にソワソワする同志達。
ドリンクゼリーをギュ〜としぼりながら
飲み干す。
蓋を閉めてポッケにしまう。
スマホを見ると、
朝9時28分。あと2分…!
1階にエレベーターがやってきた。
ぞろぞろと同志達と共に乗る。
私のオフィスは4階。
2階、3階と通り過ぎるから止まる心配はない。
だが、5階や6階の人たちはどうだろう。
5階のボタンも、6階のボタンも光っている。
あぁ、止まるのか。
みんなも急いでいるのかな。
エレベーターの中は静かだ。
誰も話さない。
みんなスマホを見ている。
私は明後日の方向を見る。
エレベーターだけが静かに上がっていく。
4階のドアが開く。
朝9時29分。
最後まで油断するなよ。
「あっ、降ります」
ドアが閉まる前に、足を一歩。
会社に始業30分前出勤していた10年前。
ICカードを入れたスマホを取り出す。
ピッ、ガチャっ。
オフィスの扉を開ける。
まだ朝9時29分。
他の社員さんやスタッフが
「はよざいまぁ〜す」
「おはよう〜」
と挨拶をかわす。
私は違う部署なので、
すれちがいは軽くウィスパー挨拶する程度。
まずは自分のPCをロッカーから取り出しに行く。
PCをロッカーから取り出すと、
電源ボタンを押してからデスクへ向かう。
基本、座席はフリーアドレス性だが、
だいたい同じ場所に座る。
他の人も同じ感じ。
「おはようございます〜」
「おはようございます〜」
隣の席の社員さんと挨拶。
あぁ、もう朝9時30分。
大丈夫。まだ57秒あるぞ。
PC起動。
ログインパスワードをカタカタカタカタッ。
PCでの打刻になる。
…よし、これでOK。
今日も間に合った。
約10年前、正社員だった。
あの頃は、30分前出勤していたっけ。
今は36歳のフリーター。
極力、会社までの通勤時間・会社での滞在時間を減らしたい。
会社からも出勤退勤時間はシフト通りを推奨されている。
一般的な価値観や常識も、10年前の方が強かった気がする。
今は暮らしやすさや、自分らしい働き方を求める時代なのかもしれない。
……いや。
フリーターが、自分らしいライフスタイルとは思えない。
何のために退職したんだっけ。
「独立してみたい」
あの頃は、その気持ちだけで一歩踏み出した。
それが今は、コールセンターで電話をしている。
会社のトイレ個室は精神と時の部屋。
朝9時31分。
PCで出勤打刻を終え、
まずはお手洗いへ。
ロッカーに預けたばかりのスマホを取り、
今来たばかりのオフィスの扉を開ける。
廊下を歩きながら、
今日の仕事をどうやり過ごすか。
そんなことを考える。
お手洗いの個室は4つあり、
空いた個室へ入る。
鍵を閉め、ズボンと下着を一緒に下ろす。
便座に座る。
この数分だけは、誰にも話しかけられない。
右ポッケのスマホを手に取る。
スマホの画面を眺める。
メールを開く。
TwitterやInstagramも開いてみる。
特に見たいものがあるわけじゃない。
ただ確認するだけ。
すぐスマホを右ポッケにしまう。
なんとなくウォシュレットの「おしり」ボタンを押す。
ウィ〜ン…シュッーーーーーーーーー。
ガラガラガラガラと
トイレットペーパーをくるくる巻く。
「止める」ボタンを押し、
ウィ〜ン…と役目を終えて戻っていく。
今日も無駄に水を使ってごめんよぉ。
立ち上がり、トイレットペーパーでふきふき。
ポイっと。念のため、もう一度。
ズボンと下着をクイっと上げ、チャックを閉める。
蓋を下ろし、「大」で流す。
あぁ、「小」で良かったのにな。
ジャァーーーーーーー。
鍵を開け、洗面所へ向かう。
鏡の前の自分と目が合う。
まぁ今日もがんばれよ。
独立を目指して10年。現実はコールセンターでバイト生活。
お手洗いから出て廊下を歩く。
さぁ、今日も時間が早くすぎることを祈ろう。
ICカードでオフィスの扉を開ける。
ロッカーにスマホを預けて、
座席に戻り、PCを開く。
時刻は朝9時35分。
ヘッドセットのケーブルを、
スルスルとほどく。
ヘッドセットは昔から苦手だなぁ。
というのも耳が痛くなるのよ…
よくみんなずっと耳に当てられるよね。
そんなことを頭の中で
ブツブツ言いながら首にかける。
架電するまではそこで待っといて。
朝9時39分。
とりあえずメールチェック。
まぁ、特に緊急対応事項はなし…と。
コールセンターの仕事は、
正直そこまでストレスはない。
.
.
.
10年前に会社を辞めて、無職の間、独立に向けて色々模索していた。
貯金をしていたので1年間、何もしなくても生活はできる。
ただ、毎月預金額がどんどん減っていった。
バイトをしなければ。
そう思い、派遣仕事に登録。
いろんな仕事を体験できた。
バイトをしながら、自分の好きなことで収入を得られないか考え続けた。
「まずは500円稼ごう。」
そう決めた。
でも、その500円が遠かった。
初めての収入を得るまでにストレスが溜まった。
.
.
.
それが今やコールセンターで黙々と架電しているだけで給料が貰える。
各種ツールへのログインが完了。
架電業務の準備が整った。
朝9時42分。
仕事の詳細は控えるが、
コールセンターの仕事は主に人助けだ。
人助け。
聞こえはいいが、結局は会社というのは売上・利益を求めている。
コールが繋がれば、お互い察し"お仕事だからねぇ"が始まる。
10年経った今もバイト以外の時間は、
自分の仕事をしている。
バイトの給与よりも少ない収入だ。
せめてバイトの給与よりも自分の仕事の収入が多ければ不安は軽減される。
そんなことも頭の中で
ブツブツ言いながら首にかけていた
ヘッドセットを耳に当てた。
コールセンターでの架電業務開始。AI対応や留守電ばかりだね。
朝9時43分。
架電対象者を探し、架電。
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
次。
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
はい、次。
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
はいはい。
プルルルルル…ガッ「こんにちは。お電話先の本人に代わってわたくしGoogleバーチャルアシスタントが対応いたします。」
はい、次。
プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…
プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…
はい、出ない。次。
プルルルルル…ガッ「こんにちは。お電話先の本人に代わってわたくしGoogleバーチャルアシスタントが対応いたします。」
…
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…ガッ「こんにちは。お電話先の本人に代わってわたくしGoogleバーチャルアシスタントが対応いたします。」
(あくび)
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…ガッ「留守番電話に接続します」
…
プルルルルル…ガッ「留守番電話に接続します」
…
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…
プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…
(あくび)
プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…
プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…
うん。
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…ガッ「こんにちは。お電話先の本人に代わってわたくしGoogleバーチャルアシスタントが対応いたします。」
…
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…ガッ「こんにちは。お電話先の本人に代わってわたくしGoogleバーチャルアシスタントが対応いたします。」
…
プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…
プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…
出ないね。
プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…ガチャ..
「はい」
「お忙しいところ失礼いたします。私◯◯会社のシダナオと申します。佐藤様でお間違いないでしょうか?」
「はい」
「お世話になっております。先日、弊社の□□のご利用ありがとうございました。今回、ご利用アンケートを行なっておりまして。佐藤様、今現在…」
ガチャッ
…次。
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…ガッ「こんにちは。お電話先の本人に代わってわたくしGoogleバーチャルアシスタントが対応いたします。」
AI増えたね~
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…ガッ「留守番電話に接続します」
…
プルルルルル…ガッ「留守番電話に接続します」
…
プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…
プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…
(あくび)
今何時だろう。
あぁ、まだ朝10時5分。
ヘッドセットをデスクに置く。
ちょっとコーヒーでも飲むかな。
オフィスのコーヒーメーカーへ行こう。
非喫煙者にとってオフィスのコーヒー休憩は、喫煙者のタバコ休憩みたいなもの?
朝10時6分。
いつもは1時間に一度お手洗いに行く。
座りっぱなしは身体に悪い気がしてね。
でも、まだ40分も経っていない。
コーヒータイムだ。
オフィスにコーヒーメーカーがある。
ウォーターサーバーもお菓子も置いてある。
よくあるオフィスの設備かなぁ。
昔の職場はそんなものなかった。
とりあえず、コーヒーメーカーのボタンを押す。
ピッ
ピロリンッ(ペイペイッ)
ウィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン….
ガガガガガガガガガガ..
ウィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン….
トポポポポポポポポッ…
…ピピピッ
左手で透明の扉を開き、
右手でホットコーヒーの入った紙コップを取り出す。
あっつ。
お手洗いはまだいいや。
コーヒーを片手に、席へ戻る。
スゥ〜(ズズッ)
熱いな。
本当は気分的にアイスコーヒーがいいんだけど。
氷を事前に用意しなくてはいけなくてね。
そこまではオフィスのコーヒーメーカーは
対応できないみたい。
残念。
PCを開いて、
架電対象者を探し、架電。
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
次。
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
はい、次。
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
今日も電話の向こう側は静かだ。
仕事中お手洗いへ行く回数を増やすため、コーヒーを飲んでいる。たぶんね。
朝10時10分。
熱いコーヒーをふぅーふぅー。
スゥ〜(ズズッ)…はぁ〜、コーヒーだ。
紙コップが薄いのか、熱いまま。
架電対象者を探し、架電。
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…ガッ「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません」
…
プルルルルル…ガチャ..
「はい」
「お忙しいところ失礼いたします。私◯◯会社のシダナオと申します。田中様でお間違いないでしょうか?」
「…はい」
「お世話になっております。先日、弊社の□□のご利用ありがとうございました。今回、ご利用アンケートを行なっておりまして。田中様、今現在△△のご活動をされておりますでしょうか?」
「……はい」
「ありがとうございます。△△の活動をされていらっしゃるんですね。実は、弊社の□□をご利用されている方限定で△△のサポートを完全無料で実施しております。ぜひ、田中様の状況をもう少し詳しくお聞かせいただけませんでしょうか?」
ガチャっ
…久々に喋った。
午前中はしばらく架電したが、
無言で切られたり、いらないです、留守番電話ばかり。
まぁこんなもんだ。お手洗いへ行こう。
「シダさ〜ん」
後ろから聞き覚えのある声が。
同期の社会人バイトのSさんだ。
「トイレですか?」
「そうです。Sさんも?」
「ですです〜」
私たちはお手洗いまでの廊下を
世間話しながら歩いた。
お手洗いに着くと、お互い
『では』とそれぞれの個室へ。
そう、時間潰しだ。
お手洗いの個室はやはり
精神と時の部屋なのだ。
仕事のお昼休憩は、帰った後の予定を考えて仮眠するのだ。
午後12時15分。
お手洗いから帰ると、休憩に行くことに。
どうせこのまま架電しても意味なさそう。
ユーザーも、お昼休憩に電話されたくないでしょう。
「シダさん、お昼ですか?」
Sさんがロッカー前で声をかけてくれた。
「そうですね、全然話せなかったですよ、午前中。」
私は弁当箱を取り出して返答した。
「厳しいですよね。僕はお昼は食べないので、ちょっとコーヒーをね。」
Sさんがロッカーから財布を取り出して言った。
午後も頑張りましょう、と言い合いそれぞれの席へ戻った。
今朝作ったお弁当を席で食べることに。
特に楽しみではないけれど、自炊は偉いぞ。
ただ、美味しくはない。
栄養摂取ができればOK。
そんな感じ。
お昼ご飯を食べながら、帰ってからのことを考える。
ブログを書いて、読書して、日記を書いて、小説を書いて。
バイトの業務は頭にない。
今日も1日1日積み重ねるだけ。
まずは午後の業務を片付けよう。
その前にちょっと仮眠。
バイト生活には慣れた。でも、もうモチベーションはないのだ。
午後13時13分。
スマホのアラームをセットしていた。
iPhoneの定番アラームが腕の近くで鳴る。
スヌーズにならないよう止めた。
2分前に目覚めた。
だいぶ寝た気がする。
弁当箱をロッカーに戻し、
2杯目のコーヒーを買いに行く。
13:30からはオンラインMTG。
それまでは架電をしない。
チャットを眺めて時間を潰す。
コーヒーを飲みながら、
優雅に待とうではないか。
午後13時29分。
そろそろオンラインMTGに参加。
この時間は、架電が強制的にできない。
だから、嬉しい。
オンラインMTGが始まった。
耳も目も、音と画面に集中している。
いや、そんな雰囲気を出しているだけ。
実際は相変わらず帰宅してからのことを考えている。
「昨日の売上が〜」
「通電率が〜」
「成約率が〜」
「今月の目標が〜」
いろんな共有が行われる。
ここでの頑張りが何になるのだろう。
ここ最近はそんな気持ちばかりだ。
もはや会社にコーヒーを飲みに来ているだけだ。
午後13時49分。
オンラインMTGが終わった。
多くのスタッフは、この後昼休憩する人が多い。
つまり、架電者が少なくなるのだ。
チャンス…!!
一応、"そんな気持ち"を見せて架電する。
頭の中では早く時間が過ぎるのを待っている。
コール音が鳴り続ける間、フロアを見渡す。
20~30代が多いのだろうか。私はもうアラフォー。
いつまでバイトをしているのか。
そうはいっても現実はなかなか変わらない。
割り切ってやりきるしかない。
相変わらず、全く繋がらない。
午後15時。
そろそろ集中力が切れてきた。
元々、集中していないけれども…
まぁいいや。
さすがに1日3杯のコーヒーは…いや、いっちゃうか。
今のところ、売上¥0。
もはや会社にコーヒーを飲みに来ているだけだ。
その前にお手洗いっと。
あと2時間ぐらいか。
耐え切ろう。
自分の人生の目的は、仕事にはないのだ。
午後15時30分。
あと1.5時間で退勤だ。
仮眠すると、1日が2日になる感覚。
後半戦って感じがする。
私だけだろうか。
手を動かしながら、頭はボーっとしている。
いつまでこんなことしているのだろう。
ただ、ストレスのない職場だ。
人も良いし、働きやすい環境。
今から転職は難しい。
正社員での社会人経験が無さ過ぎる。
そして、もう戻れない気がする。
自分の人生の目的は、仕事にはないのだ。
ただ自然に生きる。
たとえば、それは朝日、夕日が見れる生活。
日中、オフィスの席に座り続けない生活。
自分で育てた野菜を食べる生活。
山や川や森や海などを見る生活。
旅するように日々を生きる。
そんなことを考えながら、時計の針は16時を指している。
午後16時。
あと1時間で退勤だ。
ラストのお手洗いに行ってこよう。
1時間に1度は歩かないとね。
身体に良くない。
昔はずっと座りっぱなしで全然休憩を取らなかった。
真面目に働いていたな。
今ではいかに歩くか。
いかにやることはやりながら、時間を潰すか。
それらに意識が持っていかれる。
ラスト1時間頑張るぞ。
もう5分前だけどいいでしょ。帰ります。
午後16時10分。
あと50分で退勤。
もうここからは退勤のことしか考えていない。
通電しても、残業はしたくない。
だから簡潔に要件を伝え、断ってくれればいい。
なんて意味のない出勤者なのだ。
まぁしょうがない。
人間だもの。
コーヒーを飲み干した紙コップ。
とりあえずこれをゴミ箱に捨てに行こう。
勤務中によく立ち上がる。
それが私です。
午後16時45分。
よし、そろそろ日報書きますか。
特に書くこともないけど。
いつものようにフォーマットをコピペっと。
適当に書いてっと。
どうせ見ていないだろうし。
ヘッドセットも外しておこう。
ケーブルをくるくる巻いておく。
さてさて、もう身体は正直です。
デスクの下で貧乏ゆすり。
早く帰りたい。
午後16時55分。
もう5分前だけどいいでしょ。
帰ります。
子供の頃は通学路=遊びを見つける時間。大人でも通勤路=遊びを見つける時間にしたいね。
午後17時。
もうすでにオフィスビルの1階にいる。
4階からエレベーターですぐ1階に着いた。
さぁ、ここからは私の時間よ。
おかえりなさい、と自分に言いたい。
帰りにスーパーへ寄ろう。
買い物かごを手に取り、野菜コーナーへGO。
夕方だから主婦やサラリーマンが多い。
有人レジではなく、無人レジでパッパと会計だ。
ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…
合計548円。
よいしょ… ペイペイッ
袋に詰めて、さっさと外に出よう。
午後17時10分。
よし、帰り道を変えようかな。
行きはまいばすけっとの方から来たけど。
帰りは違う小道から帰ろう。
日常生活でいつもと少し違う道を通る。
小学生の時とかよくそうしていたなぁ。
大人になると通学路が通勤路になる。
子供の頃は通学路=遊びを見つける時間。
大人でも通勤路=遊びを見つける時間。
そうありたいね。
さて、今日は野草でも調べてみようかな。
仕事終わりの帰り道。1日1つ野草を見つけてチャッピーに聞いてみる。
午後17時13分。
野草を見つけ、チャッピーに聞いてみる。
至ってシンプルだ。
スマホカメラでカシャッ。
撮影した写真をチャッピーに送る。
そうすると答えてくれる。
日常生活で歩く道。
見ているようで見ていない。
たとえば、あなたの家から出て一番最初に見える看板をすぐ思い出せるだろうか。きっと思い出せない。毎日通っているはずなのに。
そんなことに気がついた。
そこで日常生活で見逃している存在に目を向けるようになった。
野草や植物がその一つ。
名前も特徴も知らない。
ちょっと調べておくだけで、
自分の世界に入ってくる。
そんな時間も大切にしたい。
午後17時20分。
野草を調べて、眺め終わった。
きっと明日には忘れているかもしれない。
それでも一度意識を向けたから、
きっとどこかでまたふと気になるだろう。
0か1か。
1と2よりも0と1の方がはるかに差を感じる。
なるべく0を減らす人生でありたいね。
そろそろ帰ろう。
午後17時25分。
野草たちにSay goodbye.
今朝のゴミは運ばれたかな。
ゴミ捨て場のゴミをそっと覗く。
綺麗だね。いつもゴミ収集に感謝だ。
階段を上り、家の鍵を開ける。
戸締りはちゃんとしておこう。
さて、まずは…シャワー浴びますか。
お腹が空いているが、先に汗を流そう。
もちろんその前に手洗いうがい。
基本だよね。
あ、弁当箱を水につけておこう。
洗剤も垂らしてね。
仕事終わりで家に帰宅。まずはシャワーだよね。
午後17時28分。
朝シャワーを浴びてから今までずっと換気扇を回してた。
自動で止まる仕様ではない。
だから、ずっと換気扇を回しておくか。
もしくは風呂場のドアを開けて、部屋の窓を開けて、網戸で自然換気させるか。
2択なのだ。
結局、今からシャワーを浴びるから実質丸1日中、換気扇は回りっぱなし。
お湯が出るまで少し待とうか。
早く汗を流したい。
編集後記:(ここからは執筆活動応援者向け)
有料記事にも関わらず、
編集後記までご覧いただき誠にありがとうございます。
この記事は私の日常をモデルに書いたエッセイです。
朝シリーズからの続きとなります。
さて、出勤してから退勤するまでのリアルな心情。
それが、
ここから先は
¥ 500
ハトのエサ代になります。夏場は暑くて、エサ探し大変なんだ。
