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まだまだ続く仏塔の話 〜国宝・三重塔を探す旅〜

寺院の塔といえば、そのスケールからまず五重塔を思い浮かべる方が多いでしょう。実際、私自身も最初に心を奪われたのは五重塔でした。


しかし、各地を訪ねるうちに、三重塔にも独自の美しさと技術が凝縮されていることを知りました。五重塔に劣るわけではなく、三重という段数に込められた意味も深く、むしろ完成度の高さが際立ちます。


全国には三重塔が数多く残り、そのうち十三基が国宝に指定されています。

「いつか全部訪ねてみたい――」

それが私のささやかな願いです。しかし、これがなかなか厄介で、日本各地に散らばっているため、一気に巡るのは至難の業。これまで訪ねられたのは、まだほんの一部に過ぎません。

ここでは、私が実際に訪れた国宝・三重塔をご紹介します。


薬師寺・東塔

まずは、奈良・薬師寺の東塔です。言わずと知れた、由緒あり、かつ非常に絵になるお寺です。

薬師寺の東塔と金堂

一見すると五重塔のように見えますが、写真の通り、上から二つ目と下から二つ目の屋根は「裳階(もこし)」と呼ばれる庇で、屋根の数が多く見えるため誤解されやすいのですが、れっきとした三重塔です。
その裳階の分だけ高さが増し、五重塔にも引けを取らない堂々たる姿を見せてくれます。

向かいには昭和56年に再建された西塔があります。
私が若い頃、再建の話を聞いたときには「昔のままで良いのに。なんで再建するかなあ」と思ったものですが、実際に二塔並ぶ姿を見ると、東西がそろうことで境内全体のバランスがぐっと整い、美しさが増していることに気づかされました。

その姿は東塔とよく似ていながら、澄んだ朱色が冴えわたり、かつての東塔の姿を彷彿とさせるものです。

薬師寺は国宝の宝物も多く、近くには唐招提寺もあるため、一日たっぷり仏閣巡りができます。


唐招提寺も必見の場所です。


當麻寺(奈良・葛城市)東塔・西塔

當麻寺の東塔と西塔も忘れがたい存在です。
小学生の遠足で訪れた記憶があるものの、その価値がわかるようになったのは、だいぶ後になってからでした。

東塔は奈良時代末期の、西塔はそれより少し後の時代の建築と伝えられています。

當麻寺・東塔

東塔は木々の間からひっそりと姿をのぞかせ、その緑に囲まれて一体となった姿が印象的です。
逆に、西塔はやや奥まった場所に、静かに眠るように建っています。うっかりしていると見落としそうになりますが、その古色蒼然とした姿に時の深みを感じます。心を打たれる姿でした。

當麻寺・西塔


興福寺・三重塔

興福寺の三重塔も見逃せません。
東大寺や五重塔に隠れるように建っているため、つい見落とされがちですが、この塔には独特の魅力があります。

どこか不思議なバランスを持つ塔で、使用目的の変遷が伝えられます。どの時代に、どういう目的で使用されていたのか。意匠がなぜそうなったのかについて考えてみると、なかなか奥深いものがあります。
諸説をたどっていくうちに、ますます惹かれてしまいました。


信州・安楽寺の八角三重塔

最後は、長野・別所温泉にある安楽寺の八角三重塔。松本城や善光寺と並んで「長野に行くなら外せない」場所です。

全国で唯一残る八角形の塔で、かつては同じ形式の塔が各地にあったともいいます。
真夏の八月でも空気がひんやりと澄み、山あいの静けさに溶け込む姿は、まるで別世界。八角形という形がなぜここに選ばれたのか――考えるほどに不思議で、唯一無二の存在です。

この時は、できれば「見返りの塔」として知られる大法寺の三重塔にも足を延ばしたかったのですが、山をぐるりと回り込む必要があり、時間の関係で断念しました。
同じ時期に偶然、長野でホームステイしていた教え子たちは、ステイ先のご家族に車で両寺院を案内してもらったそうで、ちょっと悔しいニアミスでした。


国宝・三重塔、まだまだ見足りません。
来年は少しターゲットを絞って、法起寺(奈良)、大法寺(長野)、一乗寺(兵庫)あたりから、少しずつ巡ってみたいと思っています。


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