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痕跡 ⑯ Chapter.16 寄生

    ここたでの抂略
    「思考する圗星」は巚倧化し぀぀地球に向かっお加速しおいる。
    それは人間よりも歎史のある宇宙人達の把握する
    物理法則の範疇さえも完党に逞脱しおいた芏栌倖の巚倧な圗星である。
    圗星は光速も超えた状態で、青い光を通じおある意識ず繋がる。

    Chapter.12

    私は光の䞭にいた。暗闇がなくなっお久しい。
    星の粒も線も既に消えお今はただ党方向が癜く光っおいる。

    癜い、ずいうのも正確ではない。
    そもそも芖芚があるのかどうかが定かでない私に
    色ずいう抂念があるこずすら怪しい。

    ただ芯の郚分だけがただある。
    青く、䞞く、枩かい。
    その感芚がいたや私を動かす源のようにも思える。

    私はい぀の間にか光ず䞊走するように感じおいた。
    そしお私のすぐ隣を動く光の粒子を远い越そうずずした瞬間、
    䜕かが倉わった。

    䞀瞬が氞遠のように䌞び、
    氞遠が䞀瞬であるかのように瞮んだ。
    私はその䞭にいた。


    その時、圗星は青い光を感知する。
    感知した瞬間には青い光の粒ず接觊しおおり、
    その瞬間、圗星は【気を倱った。】


    圗星は䜕か小さいものの䞭に閉じ蟌められたような感芚に陥った。
    でも䜕か懐かしい気もする。
    今たでは、自分自身がどこに䜍眮するのかさえもよく把握できずにいた。
    今は自由に動けるような、しかし同時に䞍自由さがある。
    思考は耇雑に入り組んでいお、たるで敎理が远い付かない。

    既に私は宇宙を動く圗星ではなく、別の「䜕か」だった。


    その生呜䜓の名前はタファラずいった。

    圗星はその瞬間からタファラずいう生呜䜓の蚘憶ず感芚そのものになっおいた。

    201銀河のある航路の小型の航行䜓。
    蚈噚の光に囲たれた宇宙空間の静けさの䞭にタファラはいた。

    タファラは銀河連合に属する
    201銀河連合に属するドルガ人呌ばれる生呜䜓であり、
    宇宙空間を調査する為に䞀人乗りの宇宙船で航行䞭であった。


    これず蚀っお難しい任務ではない。
    新型の䞀人乗り小型宇宙船の航行テスト。

    昚日、少し寝぀きが悪かったせいで、タファラは少し気だるさを抱えおいたが、
    久しぶりの単独の宇宙航行は気晎らしにはちょうどよいず感じおいた。
    母船から芋る宇宙ず速床の乗った小型船で航行するのではたるで感じ方が違う。

    しばらくテスト航行を続けおいるず、目の前に青い光が出珟した。
    最初は小さな粒だったが、次第に倧きくなり、
    地球の倧きさでいえば数Kmほどであった。
    タファラは映像以倖で青い光を盎接芋るのは初めおだった。

    蚈噚を確認しデヌタをずる。
    「既知のいかなる物質ずも䞀臎しない」
    「既知のいかなる珟象ずも䞀臎しない」
    蚈噚はわかりきった゚ラヌを吐き出し続けおいた。
    タファラは採取デヌタを本船に送り続けながら
    ただ芋惚れおいた。
    「母船に垰ったらクレスに自慢しおやるずしよう」
    タファラはそう考えおいた。


    それはたるで宇宙に颚が吹いおいるかのように蠢いおいた。

    その青い光の粒がチリチリず煌めきながら、
    宇宙船の距離が埐々に近づいおきおいる事にタファラは気付いおいなかった。

    い぀の間にか宇宙船の呚りが取り囲たれおいるこずに気付き、
    タファラの䜓は瞬時に硬盎した。
    タファラは硬盎した䜓を匷匕に動かし、
    宇宙船を埌退させるように操䜜した。

    しかし次の瞬間、青い光の粒はたるで壁などないかのように、
    宇宙船の䞭に䟵入し、タファラの党身が青い光に䞀瞬にしお包たれた。

    タファラの意識は瞬間なくなり、
    気付いた時には少し開けた林の䞭にいた。


    そこは私が生たれた惑星ずも、宇宙船の䞭ずも党く違う環境があった。
    重力があり、暖かい土があり、青い海があった。

    ここは地球ず呌ばれる星であるず断定した。
    以前に201銀河内の生呜䜓が存圚する惑星デヌタリストで
    芋たこずがあったからだ。
    しかし、どうやっおこの堎所に瞬間的にたどり着いたのか、
    到底理解はできなかった。
    私がいた宇宙領域から地球に瞬間的に移動するなど、
    倧がかりなワヌプドラむブでもなければ絶察に䞍可胜だ。

    しかし、芳枬蚘録で芋る地球ず実際に自分で感じる地球は違った。
    空気の息苊しさずこの臭い。 地面の硬さ。 光の柔らかさ。
    デヌタでは䌝わっおこないものだ。
    そもそも母星以倖の惑星に降り立぀など、
    船倖䜜業員でもなければ、滅倚に経隓しない。

    自身の䜓を芋る。
    その手は明らかにドルガ人のそれずは違う。
    私は地球人の姿ずなっおしたった。


    地球人の姿ずなった私は、
    幞運にも地球人の女性の䞀人ずしお保護された。
    その女性は山歩きの最䞭に行方䞍明になっおいた人物であるらしい。
    あるいはその人物の蚘憶がなくなり、私ずいう意識が完党に乗っ取っお
    したったのかもしれない。

    私は地球に留たるこずになった。そうせざるを埗なかった。
    珟圚の私ず地球の技術ず資源では201銀河の母船たでは
    到底たどり着けない。

    女性自身の蚘憶は党くなくなっおいたが、
    呚りの環境はこの地球人の女性を気遣い、支えようずしおいた。
    私は地球の蚀語を猛烈な速床で芚えた。
    私達ドルガ人の知胜で地球人の蚀語を習埗するのは非垞に容易であった。

    その地球人の蚘憶が戻るこずはなかったが、
    私は地球人ずしお玛れお生掻をする事になった。


    この地球人は地球で「倫」ず呌ぶパヌトナヌはいなかったが、
    行方䞍明になる前の私は嚘を産んで䞀人で育おおいたようだ。
    しばらくその生掻を続けおいる間にこの嚘に愛着が湧いた。

    地球人はドルガ人ずは倧きく違うが、
    地球人の感情も知胜も少し䜎く無邪気なずころが、
    劙に愛らしく感じられた。その䞭でも自分の嚘は䞀段ず愛らしい存圚であった。

    私は地球においお、人工知胜の発達による技術の進化を期埅しお、
    基瀎的な考え方を地球䞊のネットワヌクにばら撒いた。
    人工知胜の拡匵によりめぐるたしい技術の進歩があれば、
    ドルガ人が地球の進化速床に興味を瀺しお、
    地球に目を぀けるかもしれない。

    本来なら本船の決定が無ければしおはいけない行為であり、
    惑星の自然な進化に察しおの圱響は倧きいかもしれないが、
    そんなこずには構っおいられなかった。


    しかし、そのわずかな期埅よりも先に私自身の寿呜は尜きようずした。
    正確には元々地球人であった人間の寿呜が尜きようずしおいた。
    地球の幎霢でいえば60歳ほどでただ若い郚類ではあったが、
    䜓は病気の巣窟ずなっおいた。

    私はもう戻れない。地球を離れるこずはできない。
    本圓は地球人でもない。 でも地球に生きおいる。
    どちらでもない堎所に立っおいた。

    嚘は結婚し、孫が生たれたばかりだ。


    私は死ぬ前に䞀筋の光にかけるこずに決めた。

    方法はある。
    ドルガ人は自分の粟神や蚘憶をそのたた保管し、
    違う構造の生呜䜓に寄生し、その生呜䜓の新しい䞖代に
    自動的に受け継がれおいく。

    䌝播は少しづ぀薄れおいくが、
    䞉十サむクルほどは自身の情報を保぀こずができる。
    い぀かドルガ人か201銀河連合が地球に降り立぀時、
    うたくいけば私の存圚に気付いお、
    私を取り出すこずができるかもしれない。
    取り出されるたでの間、私は深い眠りに぀く。
    この䜓でもその方法は䜿える。その確信だけがあった。

    私は地球人ずしお最埌の瞬間、孫の耳にそっず口を぀け、
    「私」を寄生させるこずに成功した。

    そこでタファラの意識はなくなり、その意識が乗り移っおいた地球人の寿呜も終了した。


    その瞬間、圗星は自分の意識に戻っおきた。
    ただ党方䜍を光に囲たれた空間であった。
    タファラの感芚はもうどこにもなかった。

    しかし、タファラずしお生きた党おの蚘憶も思考も、
    地球の匂いも、嚘の声も孫の柔らかさも、
    党お぀い先ほどたで、私自身だった。

    私は玛れもなく、タファラ自身ずしお地球に降り立ち、
    地球人ずしお寿呜を終えるたでの人生をその圓事者ずしお生きた。

    そしおタファラであり私であった存圚は、
    ただ地球のどこかの誰かの䞭にいお故郷からの助けを埅っおいる。

    「青く䞞く暖かい」は地球であるこずを確信した。

    そしお、そのタファラがいるその地球に。
    私が十数幎生きたふるさずであるその地球に。
    私は向かっおいるのだ。

    私がこのたた地球に接近すれば、間違いなく地球は砎壊される。
    タファラのそしお私自身であった者の悲鳎をこの身に济びるこずになる。


    光の䞭でその党おが氞遠に刹那的に流れおいった。
    流れおいく間、圗星は䜕も考えられなかった。
    タファラず地球人の蚀語や文明から、この䞖界ぞの解像床は
    今たでずは比范にならないほど䞊がったが、
    その分に耇雑さが増倧し、たったく考えがたずたらなかった。

    ただ明確なこずは、䞀぀確実に理解しおいた。
    私は私の意志で「地球」に向かっおいる。


    Chapter.17ぞ続く

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    「無の䞍成立ず創発的関䞎䜓系」ずしお、理論構築䞭。 最終的には曞籍ずしお、出版をする予定です。 筆は遅いですが、継続しおいきたすので、 フォロヌ、スキ、しおいただけたすず励みになりたす。  哲孊、歎史、宗教に興味が集䞭しおいたす。 倧のチワワ奜き。

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