
「自分がどうしたいのかわからない」のは自閉症スペクトラムの特性かもしれません【その②】
前回は「自分の意思がない」と思われてしまう人の特性と原因を3つお伝えしました。
今回は、周りの人ができる工夫と当事者自身ができる対策、また周囲への配慮事項をそれぞれご紹介します。
①:選択肢が多すぎると、脳がフリーズしてしまう実行機能(じっこうきのう)の弱さへの工夫
特に自閉症スペクトラム(ASD)の傾向がある人は、段取りを考えたり、情報を取捨選択する「実行機能」が生まれつき弱いことが多く、 選択肢が無限にあると、パニックになってしまうことがあります。
👥 周りの人ができる工夫
例えば、「カレーかパスタ、どっちがいい?」のように、2~3択に選択肢を絞って聞いてみてください。選択肢を絞り込むことでスムーズに答えられるようになるケースが多いです。
選択することに慣れてきたら徐々に4択に増やすなど、焦らずスモーールステップで進めましょう。
ASDのこだわり傾向がかなり強い人には、もっと細か~く「バターチキンカレーかペペロンチーノ、どっちがいい?」と聞かないと選べない可能性があります。
※「洋食か和食どっちが好き?」はNGです!実行機能が超苦手な人は、洋食、和食それぞれのメニューを片っ端から100種類くらい脳内に並べて、選べなくなります。
👤 当事者自身ができる対策、訓練例
8秒以内に選んでみる。1度選んだ後で「やっぱりあっちの方がよかったかな・・・」とモヤっとしても選択しなおさないで我慢してみる!(気持ち悪い感覚のまま放置するのがポイントです!)
「消去法(絶対に嫌なものを削る)」で残ったものから選ぶ習慣をつくる。
🍀周囲への配慮事項例
質問があるときは「選択肢を狭めて聞いてもらう」よう、「何でもいいと言われると迷ってしまうので、AかBかで聞いてもらえると助かります」など、周囲へのリクエストしておきましょう。
②:自分の「快・不快」や感情をキャッチするのが苦手な内受容感覚(ないじゅようかんかく)の感度の偏りへの工夫
ASDの人は他人も自分のことに対しても、「好き・嫌い」や「今どうしたいか」などの感情を自分自身で掴みにくく、意見を求められたときにサッと言葉が出てこないんです。
👥 周りの人ができる工夫
「どれが好き?」という抽象的な質問ではなく、「こっちの触り心地はどう?」「この色は落ち着く?」など、具体的な感覚にフォーカスした声かけをしてみてください。本人の代わりに、消去法で脳内整理を手伝う感覚で進めます。
👤 当事者自身ができる対策、訓練例
自分の感覚の「メーター」を少しずつ育てる練習をしたり、「完璧主義」を和らげる練習をしてみましょう。
「好き」が分からなくても、「嫌じゃない(不快感がない)」なら合格点として我慢する。
「お茶を飲んでホッとした」「この音はイライラする」など、日々の小さな快・不快な感覚を感じる。快・不快に善悪をつけず、今の自分の感情をただ感じてそのまま放置する時間を作る。
③:「周りに合わせるのが正解」と思っている過剰適応(かじょうてきおう)とマスキングへの工夫
ASDの人は過去の傷つき体験から、トラブルを避ける防衛本能として、自分の意見を言うよりも、相手の言う通りに動こうとしていることがあります。
👥 周りの人ができる工夫
「あなたのやり方を尊重したいんだ」「色んな意見を取り入れたいから、場違いと思ったことも言ってみて」という本音を伝えても安全な雰囲気を作り、回答を急かさずに待つ環境を作ってみましょう。
👤 当事者自身ができる工夫
自分を守るために「指示待ち」になるのは、決して悪いことではありません。前述したように、自分の感情や行動に善悪をつけずに放っておく時間を作ってください。
そして、少しずつ自分のペースを取り戻すために、「時間稼ぎの定番フレーズ」を持っておきましょう。
例えば、「えーーと」「あのーーーー」ではなく↓
「少し考える時間をいただけますか?」「◯分後にお返事してもいいですか?」と伝え、焦らずに自分の意見をまとめる時間を確保する。
まずは一番信頼できそうな人「1人」に対してだけ、小さな意見(「私はこちらのほうがやりやすいです」など)を伝える練習をする。
一日1回だけ断ってみる。または自分の意見や考えを伝えてみる。
「自分の意思がない」ように見える人の心の中は、けっして最初から考えることを面倒がっていたり、怠けていたりするわけではありません。
選択肢が多すぎて困っている
自分の気持ちを言葉にするのに時間がかかっている
間違えるのが怖くて萎縮している
これが、そう見える本当の理由なんです。是非、自分の取説やナビゲーションブックの作成、あるいは職場の理解を促す配慮事項を考えるツールとしても参考にしてみてください!
いやいや、そんなこと言われても実際対応するとなると難しい!って感じる方も多いかと思います💦そんな時は医師や心理師などの専門家に相談するか、ちょっといきなり専門家は敷居が高い・・・という方はお気軽にコメントくださいね☆★