戦時下の大量の絵はがきをご寄贈いただきましたー中国の済南市で暮らしておられた方が収集された貴重品
2025年の展示会に来られたお隣の群馬県の方から、昭和初期から日中戦争初期ころ発行されたとみられる、大量の絵はがきをご寄贈いただきました。寄贈者のお父様がまだ子どものころ、ご両親と中国の済南市に暮らしていたということで、現地で集められたものが多いかもしれないとのことでした。軍隊の漫画絵はがきが200枚ほど、それ以外が400枚ほどで、これで収蔵品は一気に7000点ほどになる可能性があります。大変な財産を託していただいたことに、重ねて御礼申し上げる次第です。

軍隊の生活を漫画にした絵はがきは平時にも人気で、いくつもの会社が発行しています。今回ご寄贈いただいた絵はがきは戦地の様子を軸としたもので、平時の兵営の絵はがきはありませんでした。満州の子どもと遊ぶ様子など満州事変当時のものと、日中戦争期のものがあるようです。


また、中国語を覚えられるようなシリーズの戦地絵はがきもありました。兵隊自身が購入することも想定したのかもしれません。

日中戦争が始まると、東京の出版社から、関連する絵はがきが次々とシリーズで発行されていました。タトウ付きのセットで、お父様が破れそうなところを補強するなどして残されました。


別に彩色絵はがきもあり、大演習や街並み、風俗などがありました。

ほかに戦場絵はがき、街並みなどが大量にあり、風景としては、満洲や朝鮮、日露戦争当時の激戦地などが多いようです。

そして、この中に中国の済南市の絵はがきがありました。蒋介石が当時の北京政府を打倒するため、国民革命軍を率いて中国統一を目指した「北伐」に対し、日本が軍隊を山東半島に出兵した1928(昭和3)年の済南事件当時の絵はがきで、緊張した市内の様子などが記録されています。済南事件には当時満州に駐屯していた長野県の歩兵第50連隊も出動しているだけに、縁を感じるものがあります。


こうした絵はがきの類は消耗品ですが、今ほどたくさんの写真や映像が残されていない時代を知る資料として、大切なものとなっています。漫画も写真では伝わらないニュアンスがあり、戦時下の軍隊やプロパガンダを知る一つの手がかりとなります。きちんと整理し、多くの人に役立ててもらえるよう、微力を尽くしたいと思います。
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