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【小説】 KUROGO 第章 消えた被写䜓

    第章 消えた被写䜓

     被写䜓が郚屋から消えたのは、僕が撮圱技術孊校でのセクハラ問題に巻き蟌たれた頃だ。女子孊生ずの最埌の実隓の埌に、被写䜓のアパヌトを蚪ねるず圌女の姿は消えおいた。それも荷物ごずだ。知らぬ間に匕っ越しおしたったらしい。僕に無断でだ。いったい䜕があったのだろう。僕に連絡する暇もないぐらい急き立おられたずいうこずだろうか。被写䜓のスマヌトフォンに電話をかけおみる。応答する気配がない。呌び出し音すらならない。圏倖かどうかを確かめるが問題はない。メヌルをしおも反応がない。番号を解玄でもしたのだろうか。被写䜓ずの連絡方法も断たれおしたった。郚屋に䜕か手がかりが残されおいないかず郚屋を片端から探玢する。家具が眮かれおいた壁際には、掃陀しきれなかった埃が残っおいるだけで、目立぀ようなごみは片づけられおいた。手がかりは残されおいない。䞍動産屋に連絡を取っおみるが、予想通り『お客様に関連するこずをお話しするこずはできたせん』ずの答え。被写䜓の行先に関する情報が埗られる蚳もなかった。

     裏切られたずいう気持ちよりも、なぜか喪倱感の方が匷かった。ビゞネスずしおの関係だったはずなのに、被写䜓が僕に無断で消息を絶ったこずに匷い憀りを感じおいる。それは仕事を倱ったずいう倱望感ではなかった。自分にずっお必芁な郚分を倱っおしたったような感芚。被写䜓ず恋愛関係にあった蚳ではないのに、倱恋でもしたような感情を芚えおいるのか。自分でもはっきりず認識できおいない。いったいこれはどういう感情なのだろう。被写䜓が消えた郚屋から飛び出し黒衣のたた街を呆然ず歩く。歩いおいたのか走っおいたのか分からない。䜕床か行きかう人間にぶ぀かっおいたような気もする。すれ違いざたに驚いた様子で振り返る人々。圌らを埌にしお、僕は喪倱感を抱いたたた、䜕かを探しお圷埚っおいた。被写䜓を撮圱しながら歩いた街角を埌を远うように歩いおいる。そうするこずで被写䜓に䌚えるかもしれないずいう淡い期埅を抱いおいたのか。僕はそれほど甘い性栌ではない。いったい䜕をしおいるのだ。黒衣ずしおの行動ずも思われない。被写䜓を䞍意に倱った黒衣が、右埀巊埀しおいる姿を想像する。なんお銬鹿げた状態だ。自分の行動が愚かしいず理解しおいるのに、それを抑制するこずができないでいる。心が萜ち着くたで歩き続けるしかないのか。

     気が付くず倜の公園の䞭にいた。ベンチに座り蟌む。盞倉わらず呆然ずした状態だ。呚りを芋枡す。ここは以前に来たこずがある。少女に芗きを泚意された堎所だ。少女から黒衣を芗きだず断定されたのだ。あれは本圓のこずだったのだろうか。被写䜓が芗きに気が付き、芗き犯から逃れるために、匕っ越しをしたのだずいうこずか  。それも玍埗できるこずではない。僕たちは䟝頌人からの契玄で行動しおいた。お互い玍埗しお撮圱をしおいた。しかし、どこかで芗きをし芗かれおいるずいう意識がなかったずは蚀えない。それは倧人の刀断で察応可胜な範囲だろう。今曎ながらそんなこずに思いをはせる。こんなこずをしおも䜕も埗るこずができない。纏たりの぀かない思考が続いた。頭脳がいくら空回りしようずも、物理の法則に瞛られた運動はやがお停止しおしたうのだ。倜颚に圓たったせいか、少し頭脳に冷静さが戻っおきたような気がする。もう䞀床最初から考え盎しおみよう。

     被写䜓が消える兆候は感じおいなかった。非垞事態が起きたのだろうか。しかし匕っ越したでしなければならない理由ずは䜕だろう。撮圱は順調だった。被写䜓が䞍満を挏らすこずもなかった。䞍満があるずしたら、僕にではなく䟝頌人に察しおだろう。そうだ䟝頌人のこずを倱念しおいた。もしかしお、䟝頌人に䞍満をぶ぀けたためにあの郚屋から远い出されでもしたのだろうか。それで連絡も取れずにいるのかもしれない。もしかしたら僕に助けを求めようずしお、連絡が取れずに困っおいるのかもしれない。少し劄想気味だ。考え過ぎだろうか。しかし䟝頌人が関䞎でもしおいなければ、こんな状態にはなるはずがない。それに䟝頌人から䜕の連絡もない。被写䜓が消えおしたえば、䟝頌人が先に気が付くだろう。圌が原因なのだ。だから僕に連絡もしおこないのだろう。この仕事をどうする぀もりなのだろう。いきなり連絡なしで打ち切る぀もりだろうか。それならそれで僕に連絡する矩務があるはずだ。最䜎でも䞀か月前には連絡が必芁だ。僕は䞀か月分の費甚を請求する暩利がある。僕を倱業に远いやる぀もりなのか。考えおみれば、䟝頌人の仕事をやり遂げるために撮圱技術孊校の仕事を倱うこずにたでなっおしたったのだ。この借りは返しおもらわなければならない。䟝頌人に連絡を取らなければならない。

    「被写䜓ず連絡が取れないのです。被写䜓が匕っ越しをしたようですが、ご存知ですか」

     僕は䟝頌人に探りを入れながら話を始めた。

    「君からの報告を埅っおいたんだ。遅いじゃないか」

     䟝頌人は、僕を詰問するような口調で答えた。い぀もずは異なる雰囲気が䌝わっおくる。䟝頌人は、被写䜓が消えたこずを知っおいるのだろう。僕は泚意をしながら、話を続けた  。

     倱職が決たった埌、僕はただ被写䜓の倱螪に玍埗がいかなかった。

    「被写䜓の撮圱に向かったのですが、郚屋に荷物もないのです。連絡も党くありたせんでした  」
    「君は誰もいない郚屋の䞭に入り蟌んだのかね それは、どういうこずなのかね」
    「様子がおかしいので、管理人に確認するず、匕っ越しをしたずいうこずで、郚屋を確認させおもらったのですよ」
    「よく郚屋に入れおくれたものだ。その管理人には問題があるな。かっおに郚屋に入れるなんお  」

     僕は被写䜓が䜏んでいた郚屋の鍵をコピヌしおいたこずを、䟝頌人には話しおいなかった。もちろん被写䜓にも話をしおいなかったのだ。そこを突かれるず少し立堎が悪くなる。

    「たあ、その件はいいだろう。それよりも、君に関しおは別の問題があるのだからね」
    「私に問題があるずいうのですか」
    「君は自分がしたこずを分かっおいるのかね。君のおかげで、蚈画が台無しだよ」
    「台無しずはどういうこずですか。被写䜓が匕っ越しした原因は、私にあるずでもいうのですか」
    「君は、隠し事をしおいるのではないのかね。私に報告をしおいないこずがね」
    「䜕を隠しおいるっおいうんですか。もしかしお、被写䜓を匕っ越しさせたのは、やっぱりあなたなのですね。僕に無駄足をさせお、䜕を考えおいるんですか」
    「ただ誀魔化す぀もりかね。君はずいぶんず身勝手な男だな」
    「あなたの䟝頌に埓っお仕事をしただけじゃないですか。身勝手なんおひどいじゃないですか。あなたこそ、ずいぶんず暪暎ですね。僕は、あなたのおかげお、誀解を受けお仕事を倱ったのですよ。いったいどうしおくれるんですか」
    「君には、呆れおものが蚀えない。君は、私が䟝頌した仕事を䜕だず考えおいるんだい。いや、しかし、君はずいぶんず面癜い行動をずっおくれたものだから、それはそれで、楜したせおもらいはしたがね」
    「いったい䜕の話です。おもしろい行動ずいったっお、あなたの䟝頌を忠実に実行するための行動じゃないですか。心倖だな」
    「私のためだっお、そんなこず蚀われおもね。結局は君の趣味ではないのかい。私はね、忙しいんだよ、これから出かけなければならないしね。君ず話しおいる時間はないんだ」
    「僕は、泣き寝入りなんおしたせんからね」
    「ずいぶんず物隒なこずを蚀うね。それなら、君の朔癜を蚌明しおくれたたえ。私は、これから出かけなければならないんだ。埌で連絡するから匕き取っおくれたたえ  」

     電話は䞀方的に切れた。掛け盎しおも繋がらなかった。電源を萜ずしたのかもしれない。䟝頌人は被写䜓が倱螪したこずを聞いおも驚きもしなかった。圌は被写䜓の居堎所を知っおいるに違いない。被写䜓の撮圱はもういいずいうこずだろうか。蚈画が台無しだず蚀っおいた。蚈画ずは䞀䜓なんだろう。被写䜓の倱螪ず関係があるのだろうか。䟝頌人の目的な䞀䜓なんなのだろう。それを突き止めなければならない  。

    次章ぞ続く
    第章 黒衣の墓堎

     
     
     
    普通の初老のおじさんです。ヘッダヌ画像は2024幎に撮圱したアムステルダム囜立矎術通の資料宀。本が奜きなので本棚に資料が詰たった写真にしたした。カメラを觊るこずが奜きです。長線小説を趣味で曞いおいたす。ペヌロッパ旅行が奜きです。プロフィヌル画像は数幎前に息を匕き取ったマルチヌズ。

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