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夫が麦茶を作ったので、今日は記念日です

    「麦茶パックどこ?」

    キッチンにいた夫に突然聞かれて、私は一瞬「ん?」となった。

    夫は普段、自分で緑茶は入れる。  
    でも麦茶は作らない。

    我が家の麦茶は、冷蔵庫のポケットに入っている大きいボトルに常備されていて、家族みんなが飲む用になっている。

    だから私は、

    「あぁ、もうなくなりそうなんだな」

    ぐらいに思って、パックの場所だけ教えた。

    でもなんとなく気になって、あとからキッチンをのぞきに行った。

    すると夫が、ボトルの底に1cmぐらい残っていた麦茶を流しに捨てていた。

    えっ。

    捨てるの?

    しかもボトル洗ってる。

    ……え、作るの?

    夫は何も言わずに、新しい水を入れていた。

    「もしかして、残りの麦茶捨てて、新しいの作ってくれるの?」

    私が聞くと、夫は普通に言った。

    「そうだよ。ちょっと残った麦茶って、結局誰も飲まないでそのままじゃん。だったら新しいの作っといたほうが良くね?」


    驚きで、しばらく夫の手元みてた。


    だって我が家では、“麦茶を作る”という仕事は、ずっと母担当だったから。

    誰かが決めたわけじゃない。

    別に悪気があるわけでもない。  
    ーーたぶん(笑)


    だから夫に「麦茶パックどこ?」と聞かれた時も、本音を言えば、

    「場所わからないでしょ? 私がやるからいいよ」

    と思っていた。

    昔の私なら、たぶん実際にそう言っていたと思う。


    なぜなら夫は、飲みかけのペットボトルを“あと一口”だけ残して冷蔵庫に戻すタイプだからだ。

    しかも、そのまま新しいペットボトルを開ける。

    冷蔵庫の奥に、あと一口のお茶や水が並ぶ。

    これ、飲むの?

    捨てるの?

    どうするの?

    私は冷蔵庫を開けるたび、地味にイライラしていた。

    でも、「飲み切ってよ!」と毎回言うのも疲れる。

    結局、私が捨てる。

    麦茶も同じだった。


    誰かがちょっと残された麦茶を発見し、

    誰かが洗って、誰かが作る。

    その“誰か”は当たり前に私。


    でも今回、夫は自分から麦茶を作った。



    あとから聞いてみた。

    「どうして急に麦茶作ろうと思ったの?」

    すると夫は、

    「だって残しておいても、飲まないんだし意味なくない?」

    と言った。

    さらに、

    「自分で気づいたの?」

    と聞くと、

    「気づいた」

    と一言。

    その時ふと、最近冷蔵庫に飲み残しのペットボトルが無くなっていることを思い出した。


    なんで気づけたんだろう。


    家にいる時間が増えたからかな。

    私が普段やってること、見えるようになったのかな。

    それとも、仕事してる時は毎日それどころじゃなかったのかな。

    理由はわからない。


    でも私は、“麦茶を作ってくれた”ことより、

    「次の人が困らないようにしておこう」

    という視点を、夫が持ったことが嬉しかった。



    見えない家事って、気遣いなんだと思う。

    次の人が困らないようにしておくとか。

    使いやすいようにしておくとか。

    私はずっと、子どもたちにはそういうことが自然にできる人になってほしいと思ってきた。

    周りを見て動ける人って、結局生きやすい気がするから。

    でも夫には、なかなか言えなかった。

    育った環境も違うし、夫婦って“教える”関係でもない気がして。

    だから今回、夫が自分で気づいたことが、なんだか嬉しかった。



    麦茶なんて、小さいことなんだけどね。

    たぶん私、あの日のキッチンでのやり取りを忘れないと思う。

    麦茶記念日(笑)




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