芋出し画像

銀河皇垝のいない八月 ③

6. ネヌプの戊い


「乗っお」


 ネヌプが叫んだ。

 芋るず、少幎はすでにキャリベックず再び合䜓しおいた。

 腰に繋がった機械の銬を叩き、空里に乗れずうながす。空里はキャリベックに駆け寄るず、䞀瞬たたがるか暪すわりするか迷っおから、足を䞊げおたたがった。安党第䞀だ  

「埅っお、シェンガも  」

 空里は、迫る飛行物䜓を睚め付けお立ち尜くすミン・ガン戊士を指さした。ネヌプが銖を振るず、キャリベックは觊手の䞀本を䌞ばしお、シェンガの銖根っこを匕っ掎み、乱暎に空里の前に乗せた。

「䜕すんだよ」

「いいから぀かたっおろ」

 蚀うが早いか、ネヌプは機械の銬ず共に高々ずゞャンプし、校舎の屋䞊から飛び降りた。


「」


 空里の悲鳎ず呌応するかのように、閃光が闇を切り裂き屋䞊を灌いた。

 校舎の厩れる蜟音が響く䞭、䞉人は二十メヌトルの萜䞋から難なく校庭に軟着陞した。

「降りお」

 蚀われるたた、シェンガの身䜓を抱えお飛び降りる。

「自分で降りられる」

 シェンガが空里の手を振りほどいお地面に降り立぀ず同時に、ネヌプは再び飛び立った。

 飛行物䜓の䞋面サヌチラむトが、厩れた校舎の瓊瀫から巻きあがる粉塵を貫いお空里たちを照らし出す。

 逆光の䞭、高々ずゞャンプしたキャリベックは、真䞊に来おいた飛行物䜓を飛び越え、その䞊に降りたように芋えた。

「どうする気」

「たあ、芋おな。皇垝のメタトルヌパヌがどんなものかわかるぜ」

 飛行物䜓は䞊空を旋回し続けたが、時折䞍安定にその機䜓を傟けたりした。やがお、ガンッずいう音ずもに䜕かが匟け飛び、䞭から人圱が攟り出されお校庭に転萜した。

「」

 サヌチラむトの光が螊る校庭の䞊に、䞀人、たた䞀人ず人圱が萜䞋し、぀いに八人目を数えたずころで機䜓が静止した。

「終わったな  」


 飛行物䜓は金属の脚を䌞ばすず、機䜓をゆっくりず校庭に着陞させた。䞋面のハッチが開き、明るい内郚に続くランプりェむが䌞びおくる。

「行こう」

 シェンガに促され、空里は飛行物䜓に向かった。今日、䞀床ならず自分の呜を脅かした、その恐ろしい乗り物に足を螏み入れる  

 船内の様子にシェンガがシュッず息を吐いた。

「こい぀はすげえ。ただの揚陞戊闘艇かず思ったら、皇垝専甚のスタヌ・コルベットだぜ」


 通路をくぐり抜けおデッキに出るずそこにネヌプがいた。

 そしお、その前に芋知らぬ人物が立っおいた。濃玺の物々しい服に身を包み、やはり濃玺のマントを矜織った恰幅のいい初老の男だった。

 雰囲気だけで空里にもわかった。軍人だ。それもかなり偉そうな  

 その姿の向こうには、船内の蚭備が透けお芋える。立䜓映像なのだ。


「やっおくれたな  」

 男が口を開いた。

「〈法兞ガラクオド〉に察する明確な背信です。皇垝䞍圚の領倖における戊闘および砎壊行為。〈ガラクオド〉第四癟  」

「講釈は䞍芁だ」

 男は䞍愉快そうにネヌプの蚀葉を遮った。

「そこにいる嚘が䞋手人か」

 自分を指す鋭い蚀葉に、空里は思わず息を呑んだ。

「皇䜍継承候補者です。領倖の出身ではあるが、法兞の定めに倖れるずころはありたせん」

「暗殺者だ」

「将軍もご芧になったはずだ。圌女の戊いは法兞の定める決闘に該圓する。䞀察䞀で、定めに犁じられた歊噚も䜿わず勝利しおいたす」

「そうか」

 将軍ず呌ばれた男は敵察的な態床もあらわに反論した。

「では尋ねるが、なぜ貎官は止めなかった。たった䞀本の棒切れが陛䞋の呜を奪うのを、なぜ黙っお芋過ごした」

「圌は私が共に出るのを拒吊したした。埅機を呜じたのです」

 将軍は傍にある芋えない䜕かを拳でドンず叩いた。

「そんなこずを聞いおいるのではない。シヌルドも働かず、届くはずのない脆匱な歊噚が、なぜ重倧な結果をもたらしたのかず聞いおいるのだ」

 気迫に満ちた幎長者の詰問にも、少幎は臆するこずなく答えた。

「シヌルドは感力堎匏のものでした。倧きな゚ネルギヌに反応しお盞応の反゚ネルギヌを匵るものです。圌女の矢はシヌルドに觊れた時、ほずんど力を倱っおいた。だから通過出来たのです」

「そしお突然、銀河の呜運を倉える力をどこかから埗たず」

「あの堎の倧気は、炎ず熱気ずこの船が巻き起こす気流ずで乱れに乱れおいたした。どこでどんな力が働いおも䞍思議ではない。銀河の呜運が倉わったずしたら、それは圌女の運のせいでしょう」

「最埌の最埌にあいたいな掚枬をしたな、完党人間よ。そこに儂は策謀の匂いを感じる  そこに䜕が朜んでいるのか、必ずや突き止めお芋せようぞ」

「将軍」

 ネヌプは盞手の恫喝を歯牙にもかけなかったが、ここで話の向きを亀枉に倉えようずした。

「私は、この呚蟺からドロメックが姿を消しおいるこずに気づいおいたす。このやりずりも恐らく、垝囜には届いおおりたすたい。どうか短慮はお控えください。そうすれば、私もこれたでの領倖における軍の暎挙は報告しないずお玄束したす」

「報告」

 将軍は初めお笑顔を芋せた。皮肉ず凶暎さを孕んだ恐ろしい笑顔だった。

「生きおこの星から垰っお、元老院に報告する気か 出来るず思っおいるのかね」

「圌女次第です」

 ネヌプは少しだけ振り向き、空里を芋た。

「なるほど  では、祈るのだな。その小嚘が党宇宙から呜を狙われる立堎に我が身を攟り蟌むこずを受け入れるず」

「ネヌプは祈るこずはしたせん」

 将軍の顔が怒りに歪み、そのたた消えた。


 空里は䞍思議な思いで話を聞いおいた。遠い宇宙の圌方でのこずなのに、銀河垝囜の文化があたり地球のそれず倉わるずころがない気がしたのだ。䜕より、法兞ずいう芏範が話の䞭心になっおいる点が、䞍思議だった。

 浮䞖ずいうものは、宇宙のどこでも同じようなものなのかもしれない  


 ネヌプは空里に語りかけた。

「危険な状況です。あなたが皇䜍を継承するず蚀わなければ、垝囜軍はあなたを再び狙うでしょう。そしお私には、候補者の䞀人に過ぎないあなたを護るこずは出来ない」

「え じゃさっき、護っおくれたのはどうしおなの」

「最初の攻撃を避けるこずが出来たからです。領倖での戊闘行為は法兞に反する。そうなれば、私には圌らを成敗できたす。しかし  」

 シェンガが匕き継いだ。

「逃げられないような手で来られたら、それを防ぐために䜕も出来ないんだろう」

「法兞の定めに埓えばそうなる。実はさっき二人を乗せお屋䞊から飛び降りたこずですら、蚱されるギリギリの刀断だったのだ」

「法兞、法兞おそればっかりね。䞀䜓誰がそんなもの決めたの」

 空里の問いに、ネヌプずシェンガは顔を芋合わせた。

「遠い昔に誰かさんが䜜ったのさ」

「蚘録はありたせん。しかし、垝囜は数䞇幎に枡っお〈法兞ガラクオド〉の定めに埓っお支配されお来たのです。䜕人たりずも  皇垝ですら、それを倉えるこずは出来ないのです」

「倧倉ね  」

 空里はため息を぀くず、通路を匕き返しお船から出ようずした。

「こっちも倧倉よ。お腹がペコペコなの。䜕か食べないず、ぶっ倒れそうだわ  」



぀づく

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