
頑張っているつもりはない。ただ、止めたくないものがある。育児、仕事、地域活動。私が大事にしていること。
なぜ、頑張るの?頑張っているつもりはない。ただ、止めたくないものがある。
育児、仕事、地域活動。私が大事にしていること。
最近、ときどき聞かれることがあります。
「なんでそんなに頑張ってるんですか?」
ミライゴトの活動や、福山で若者と関わる取り組みを見てくださっている方から、そんなふうに言っていただくことがあります。
ありがたい言葉です。
でも、正直に言うと、私は自分のことを「すごく頑張っている人」だとは、あまり思っていません。
もちろん、やることは多いです。
考えることも多いです。
予定が重なることもあります。
うまくいかないこともあります。
それでも、自分の中では「頑張っている」というより、ただ目の前にある必要なことをやっている感覚に近いのです。
やらなきゃいけないから、やる。
やりたいから、やる。
今の自分にできることがあるから、やる。
それだけなのかもしれません。
頑張ることを目的にしたいわけではない
私は、頑張ること自体を目的にしたいわけではありません。
忙しいことを誇りたいわけでもありません。
大変さを見せたいわけでもありません。
自分がどれだけ動いているかを、誰かに認めてほしいわけでもありません。
むしろ、できることなら、
「誰か一人が頑張り続けないと回らない状態」は、できるだけ減らしていきたいと思っています。
一人の熱量で動くものは、最初は強く見えます。
でも、その人が疲れたら止まる。
その人がいなくなったら終わる。
その人の想いに依存しすぎると、周りは受け身になる。
それでは、地域の未来はつくれない。
だから私は、自分が頑張り続けることよりも、誰かの一歩が次の誰かの一歩につながっていく状態をつくりたいと思っています。
批判されることもある。でも、見ている場所が違う
もちろん、活動していれば批判されることもあります。
何かを始めれば、何かを言われる。
目立てば、誤解される。
続けていれば、いろいろな見方をされる。
それは、ある意味では自然なことなのだと思います。
10代、20代の頃は、
嫌われることや、誰かに何かを言われることが怖くて、できなかったこともあったかもしれません。
人からどう見られるか。
失敗したら何を言われるか。
誰かに否定されたらどうしようか。
そういうことを考えて、足が止まることもありました。
でも40代になって、少しずつわかってきたことがあります。
批判してくる人と、自分が見ているものは、必ずしも同じではない。
見えている景色が違う。
見ている時間軸が違う。
見ている相手が違う。
見ている未来が違う。
だから、全部を真正面から受け止めなくてもいいのだと思えるようになりました。
もちろん、耳をふさぐという意味ではありません。
必要な意見や、痛いけれど本質を突いた言葉には、ちゃんと向き合いたい。
でも、ただ何かを言いたいだけの言葉まで、自分の中心に置く必要はない。
他人に対してずっと何かを言っている人は、これからもずっと言っているだけかもしれない。
その人の言葉に支配されて、自分の一歩を止めてしまう方が、私は怖いと思うようになりました。
耳を傾けるべき人を間違えない
では、誰の声を聞くのか。
私は、そこを間違えたくないと思っています。
耳を傾けないといけないのは、
一緒に実際に一歩を踏み出してくれる人です。
近くで見て、応援してくれる人です。
うまくいかない時も、
「じゃあ次はどうする?」と一緒に考えてくれる人です。
口だけではなく、手を動かしてくれる人。
遠くから評価するのではなく、近くで関わってくれる人。
批判で終わらせず、次の行動につなげてくれる人。
そういう人の言葉は、ちゃんと聞きたい。
逆に、何も動かずに、誰かの挑戦を外側から眺めているだけの言葉に、自分の軸を預けすぎてはいけないと思っています。
誰かの機嫌。
誰かの評価。
誰かの思い込み。
誰かの一言。
そういうものに支配されないために、自分軸を持つことは、とても大事です。
自分は何を見ているのか。
誰の未来を見ているのか。
何を残したいのか。
どんな人たちと一緒に進みたいのか。
そこがはっきりしていれば、すべての声に振り回されなくて済む。
そして、大切にしないといけない人を間違えずにいられる。
大事にしているのは、優先順位
私は、何でも引き受けているわけではありません。
むしろ、大事にしているのは優先順位です。
育児。
仕事。
地域活動。
どれも大切です。
だからこそ、全部を同じ重さで抱えることはできません。
私じゃないとできないことは何か。
今、私がやる意味をもたせることができることか。
誰とやるのか。
誰に依頼されたことなのか。
なぜ、それをやるのか。
そこを考えながら、動くようにしています。
特に、地域活動として関わっているミライゴトやスタイリィの活動は、私にとって完全なボランティアです。
時間を使う。
労力を使う。
自分で資金も出す。
それでもやるのは、そこに意味があると思っているからです。
でも、だからこそ、私は自分の時間や労力を、ただの浪費や消費には使いたくありません。
せっかくやるなら、福山の未来への投資になる動き方をしたい。
その場限りで終わるものではなく、
次につながるもの。
誰かの経験として残るもの。
地域の土壌を少しでも耕すもの。
未来の選択肢を増やすもの。
そういうものに、自分の時間を使いたいと思っています。
楽をしたいのではなく、止まらない形にしたい
「仕組みをつくりたい」と言うと、楽をしたいのかと思われることがあります。
でも、少し違います。
私が目指しているのは、楽をすることではありません。
誰かの負担を見えないところに押しつけて、表面だけ効率よくすることでもありません。
本当に目指したいのは、無理をしなくても動き続けられる状態です。
大きなイベントを一回やることより、
その後に誰かがまた来たくなること。
目立つ成果を一つ出すことより、
次の人が動きやすくなること。
すごい人を一人育てることより、
「自分も少しやってみようかな」と思える人が増えること。
私は、そういう変化の方を信じています。
街は、一人のヒーローでは変わらない
地方で活動していると、ときどき「すごい人」が必要だと思われることがあります。
街を変えるリーダー。
若者を引っ張るカリスマ。
地域を盛り上げる中心人物。
もちろん、そういう存在が力になる場面もあります。
でも私は、街は一人のヒーローだけでは変わらないと思っています。
街を本当に動かしていくのは、名前が大きく出ない人たちの、日々の小さな行動です。
声をかける人。
場所を開ける人。
話を聞く人。
紹介する人。
少し手伝う人。
見守る人。
次につなぐ人。
そういう人たちの行動が重なって、ようやく地域の土壌は少しずつ変わっていく。
だから私は、誰か一人が「すごいこと」をするよりも、たくさんの人が「少しできること」を持ち寄れる状態をつくりたいのです。
若者のため、という言葉だけでは足りない
ミライゴトでは、福山で若者と向き合う活動を続けてきました。
でも私は、「若者のために頑張っている」と言い切ることにも、少し違和感があります。
もちろん、若者の可能性を信じています。
子どもたちや学生たちが、自分の人生を自分で選べるようになってほしいと思っています。
でも、それは若者だけの問題ではありません。
若者が地域を知らない。
地域の企業を知らない。
大人の本音を知らない。
働くことのリアルを知らない。
自分の選択肢を知らない。
それは、若者だけの責任ではありません。
知らなければ、選べない。
だからこそ、知る機会をつくること。
出会う場をつくること。
経験を残すこと。
次の一歩につなげること。
それは、若者のためであると同時に、地域の未来のためでもあります。
そして、地域の未来は、結局、私たち大人の未来でもあります。
できることを、できるときに、できる人がやる
私は、全員に同じ熱量を求めたいわけではありません。
全員が前に出なくてもいい。
全員がリーダーにならなくてもいい。
全員が毎回参加しなくてもいい。
家庭がある人もいる。
仕事が忙しい人もいる。
今は動けない時期の人もいる。
見守ることが精一杯の人もいる。
それでいいと思っています。
大事なのは、それぞれが今の自分にできる形で関わることです。
今できる人がやる。
次は別の人がやる。
今は受け取る側だった人が、いつか渡す側になる。
そうやって少しずつ循環していく状態を、私はつくりたいのです。
私が止めたくないもの
「なんでそんなに頑張ってるんですか?」
そう聞かれたとき、一番近い答えは、もしかしたらこれかもしれません。
私は、止めたくないのです。
せっかく動き始めたものを、止めたくない。
せっかく出会えた若者たちの可能性を、流したくない。
せっかく地域にある良い会社や大人たちの魅力を、届かないままにしたくない。
せっかく生まれた小さな変化を、一過性で終わらせたくない。
福山には、まだ見えていない可能性がたくさんあります。
若者にも、企業にも、地域にも、まだ言葉になっていない力がある。
それを見つけて、つないで、残して、次に渡していく。
そのために、今できることをやっているだけなのだと思います。
大きな一歩ではなく、小さな確かな一歩を
私は、街を一気に変えたいわけではありません。
一人の大きな一歩で、誰かが感動して、その場だけ盛り上がる。
でも数か月後には何も残っていない。
そういうものを、たくさん見てきました。
だからこそ、私は小さくても確かな一歩を大事にしたい。
一人の学生が、福山で働くことを少し具体的に考えられた。
一社の企業が、若者との向き合い方を少し変えた。
一人の大人が、若者の話を最後まで聞いた。
一つの経験が、次の挑戦につながった。
そういう変化は、派手ではありません。
でも、確かに残ります。
そして、残ったものは、次の人の土台になります。
だから、今日もやる
「なんでそんなに頑張ってるんですか?」
その問いに、きれいな答えはまだありません。
でも、今の私が答えるなら、こうです。
頑張っているつもりは、あまりありません。
ただ、やらなきゃいけないと思うことがある。
やりたいと思うことがある。
できることが、今の自分にある。
だから、やっています。
批判されることもある。
誤解されることもある。
何かを言われることもある。
でも、私は大切にしないといけない人を間違えたくない。
一緒に一歩を踏み出す人。
近くで応援してくれる人。
次につなげようとしてくれる人。
未来を見ようとしてくれる人。
その人たちと、小さな確かな一歩を積み重ねていきたい。
そして、私の時間も、労力も、お金も、
ただ消えていくものではなく、福山の未来への投資として使いたい。
誰かの大きな一歩で街を動かすのではなく、
小さな確かな一歩で、動き続ける仕組みをつくりたい。
その積み重ねが、いつか福山の未来を少しずつ変えていくと信じています。
角田千鶴(つのだ・ちづる)/地域若者共創プロデューサー
有限会社山陽不動産 取締役副社長
一般社団法人ミライゴト 代表理事
山陽管理株式会社 代表取締役。
広島県福山市出身。東証1部上場企業勤務を経て2004年にUターン。家業の不動産会社を15年連続増益増収へ導く。2019年から高校生・大学生向け創業体験プログラム「Sta-sh」を立ち上げ、7年間で370名以上が参加。経済産業省中小企業庁創業機運醸成賞受賞。2024年10月、一般社団法人ミライゴトを設立し代表理事就任。若者とアスリートのキャリア支援を通じた地域創生に取り組む。