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広島県の大学進学率と自県進学率:全国データから見える、若者の地域移動のいま

    広島県の大学進学率と自県進学率:全国データから見える、若者の地域移動のいま

    最近、若者の地域移動について調べる機会があり、文部科学省や旺文社の公式データを丁寧に見直してみました。あらためて「進学で一度外に出ること」が前提の時代になっているのだと、数字で確認することになりました。

    私は福山市で人材育成や若者支援の活動をしていますが、地域の議論に参加するなかで、「データに基づいた共通認識」が意外と少ないと感じることがあります。「なんとなく若者が出ていっている」という感覚はあっても、では実際に何%が、どこへ、どんな理由で動いているのか――この基本構造を整理しないまま議論が進むと、対策も的を外してしまうのではないかと思っています。

    そこで、広島県と福山市について、公式データをもとに整理してみました。今回は、福山市の話に入る前の前置きとして、広島県全体のマクロな構造を共有します。

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    まず押さえておきたい3つの事実

    広島県の大学進学を巡るデータを見て、最初に押さえておきたいポイントを3つ挙げてみます。

    1. 広島県の大学進学率は55.1%、全国平均とほぼ同じ

    「広島県は若者が出ていっている」と言われると、進学率自体が低いように感じてしまいがちですが、実はそうではありません。広島県の大学進学率は55.1%で、全国平均(54.9%)とほぼ同じ水準です。

    「進学率が低いから人が出ていく」という話ではない、というのが、まず一つ目のポイントだと思います。

    2. 自県大学進学率は53.3%で、全国7位の高さ

    「自県大学進学率」とは、大学進学者のうち県内大学に進学した人の割合のことです。つまり、地元の大学にどれくらい学生が残っているかを示す指標になります。

    広島県の自県進学率は53.3%で、全国7位。これはかなり高い水準だと言えます。

    参考までに、全国の上位・下位はこのような状況です。

    【自県大学進学率・上位5位】

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    上位は、いずれも大都市や、その地方の中核都市が並びます。下位は、大都市圏の隣にある県(奈良→関西、佐賀→福岡など)が並んでいます。地理的に「より大きな大学集積地が近い」県は、自県進学率が低くなる、という構造が見えてきます。

    3. それでも、進学者の約47%は県外へ

    自県進学率53.3%ということは、裏を返せば約47%が県外へ進学している、ということでもあります。

    数字で見ると、広島県内の高校生の進学先(2023年・大学進学者14,589人)は、以下のような構成になっています。

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    「県内に残る人」と「県外へ出る人」が、ほぼ半々。これが、広島県全体の構造だと思います。

    広島県は「中国地方の大学集積地」

    ここで興味深いのは、広島県への流入と流出のバランスです。

    広島県には、県外から5,662人が流入し、県外へ6,721人が流出しています。差し引きで▲1,059人の流出超過です。

    つまり、広島県は中国地方の中では「大学が集積している県」で、山口・岡山・愛媛・島根など周辺県から学生を集める役割も担いつつ、近畿・首都圏へは学生を送り出している、という二面性があります。

    これは「広島県」を一括りで語るのではなく、「中国地方の中の広島県」「全国の中の広島県」という二つの視点で見る必要があるのではないかと思います。

    男女別で見ると、また景色が違う

    進学率を男女別に見てみると、広島県では男性56.7%、女性53.4%で、男女差は3.3ポイントとなっています。

    実は、全国を見渡すと、44都道府県で男性のほうが進学率が高くなっています。男女差が最も大きいのは山梨県の16.1ポイント、次いで埼玉県の13.0ポイント、北海道の10.1ポイントです。

    広島県の3.3ポイント差は、全国と比較すると「比較的小さい」と言えます。ただし、これは「大学進学率」だけの数字で、実際には進学先の選び方や、進学後の就職地の選び方が、男女で大きく異なることが、別のデータから見えてきます。

    このあたりは、後日別の投稿で詳しく取り上げる予定です。

    「戻ってくる」ことについてのデータ

    「進学で外に出ること」が前提になっているなら、次に気になるのは「戻ってくるのか」という問いです。

    広島県の調査によると、県外に出た若者の意向は以下のようになっています。

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    「戻りたい意向」を持つ人の合計は31.6%。約3人に1人は、戻りたいと考えている、ということになります。

    ただし、「戻りたいが難しい」と答えた27.2%の存在も気になります。この層は、「戻れる状況」が整えば戻る可能性のある人たちです。地域として、この層をどう支えるかが、Uターン政策の鍵になるのではないかと思います。

    福山市から見ると、また景色が違う

    ここまで広島県全体のデータを見てきましたが、ここからが、私がいま最も気になっている点です。

    福山市は広島県の東端にあり、岡山県との県境に位置しています。福山から広島市までは新幹線で約30分、車では2時間。通学圏というには、かなり遠い距離です。

    一方で、岡山市まで新幹線で約15分、神戸・大阪まで約1時間。時間距離で見ると、広島県内の大学より、関西や岡山の大学のほうが、福山の高校生にとっては、むしろ「近い」場所かもしれません。

    「広島県全体」のデータだけでは見えてこない、福山特有の構造があるのではないかと、私は考えています。

    福山市単独のデータ

    福山単独のデータを見ると、福山の高校生の進学先は、広島県全体の傾向とは、かなり違う姿が浮かび上がってきます。

    そこで、5回シリーズで掘り下げてみることにしました

    このテーマは、ミライゴトのこれからの活動にも、そして福山という地域全体にも関わる話だと思っています。そこで、5回に分けて投稿していこうと思いました。

    • 第1回:福山の若者の進学・就職データ(基本構造)

    • 第2回:20代女性の転出が、止まらない理由

    • 第3回:30代女性が、福山に戻ってこない

    • 第4回:福山市内の大学が抱える、「生態系」の構造

    • 第5回:就職と進学の、二重の課題

    すべて、公式データに基づいて、できるだけフェアな視点でまとめます。正解を出す投稿ではなく、一緒に考えるための材料として、読んでいただけたらと思っています。


    角田千鶴(つのだ・ちづる)/地域若者共創プロデューサー
    有限会社山陽不動産 取締役副社長
    一般社団法人ミライゴト 代表理事
    山陽管理株式会社 代表取締役。

    広島県福山市を拠点に、若者と地域の接点をつくる活動を12年。DioPorteを皮切りに、起業体験プログラムSta-sh修了生360名超、中高生の居場所STUily年間1,000名超の運営をサポート。「知れば変われる。でも知らなければ選べない。」をすべての活動の根っこに置く。


    ※出典

    • 文部科学省「学校基本調査」(令和3年度/令和5年度)

    • 文部科学省「各都道府県における高等教育の現状に関する調査研究」(2023年8月公表、令和3年度学校基本統計をもとに作成)

    • 旺文社教育情報センター「2023年度 都道府県別 大学・短大進学状況(広島県)」(令和5年度学校基本調査確定値より算出)

    • 広島県「社会減対策に関する調査分析」(UIターン意向データ)

    • 田澤実(2023)「都道府県別の自県進学率と大学進学率の可視化」『生涯学習とキャリアデザイン』Vol.21 No.1

     
     
    一般社団法人ミライゴト代表理事| 山陽不動産34 取締役副社長|㍿山陽管理 代表取締役|経済産業省中小企業庁創業機運醸成賞受賞| 0→1を実践する経営者|24歳で赤字会社を15年連続増益増収へ|起業支援|シェアオフィス5棟運営|学生創業イベント主催|新しい就活|人材紹介業許可取得

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