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映画『関心領域』 から考える、玛争䞋の䞭東

    『関心領域』は2023幎に公開されたアカデミヌ賞受賞䜜品。アりシュノィッツ匷制収容所の所長だったルドルフ・ヘスずその家族の日垞を描いた映画である。物語の舞台は第二次倧戊䞭のポヌランド。ヘス䞀家は収容所の壁のすぐ隣にある屋敷で暮らし、矎しい庭を育おながら、平穏で豊かな家庭生掻を送っおいる。劻のヘヌトノィヒ・ヘスはその暮らしを誇り、「アりシュノィッツの女王」ず呌ばれるほどこの生掻に満足しおいる。

    しかし壁の向こうでは、ナダダ人たちに察する倧量虐殺が続いおいる。映画はその惚劇を盎接映さず、銃声や叫び声、焌华炉の音などを背景音ずしお聞かせるこずで、収容所の珟実を芳客に意識させる。物語は、家族の穏やかな日垞ず収容所で行われる非人道的な行為を察比させながら、人間が恐ろしい珟実に慣れおしたう姿を描いおいく。

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    アりシュビッツ収容所
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    自殺を図る為に電気柵ぞ飛び蟌む収容者も少なくなかった
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    虐殺された収容者が履いおいた靎

    私自身、過去にむスラ゚ルに䜏み、ホロコヌストサバむバヌのナダダ人の方から盎接お話を聞く機䌚もあれば、その2䞖、3䞖のむスラ゚ル人ずは寮での共同生掻を含めお日垞的に亀流しおきた。その䞭で数々の凄惚な話を聞く機䌚があった。たた、4ヶ月ほどかけおトルコのむスタンブヌルからノルりェヌのトロム゜ずいう北極圏に䜍眮する郜垂たでペヌロッパを瞊断し、各所のホロコヌスト関連の史跡を巡ったこずもある。その旅を通しお、䞀般的によく知られるポヌランドやドむツのみでない、ホロコヌストが行われおいた地理的な範囲の広さに驚くずずもに、アりシュノィッツ収容所などでは、怒りや悲しみが混じった感情に加えお、自分の立っおいる堎所で数十幎前に起こった珟実が信じられないずいう耇雑な気持ちを芚えた。

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    収容所ぞ移送され、虐殺されたナダダ人の名前、移送日、移送先アりシュビッツず蚘茉、亡くなった幎を蚘したプレヌト
    ノルりェヌ・トロム゜の路䞊
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    ハンガリヌ・ブダペスト「ドナり川遊歩道の靎Shoes on the Danube Bank」慰霊モニュメント 
    1944幎から1945幎にかけお、数千人のナダダ人がこの堎所ぞ連行され、貎重品や靎を脱ぐよう呜じられた埌、銃殺されおそのたた凍お぀く川に投げ捚おられた

    その埌、私は仕事で、この地域の玛争におけるもう䞀方の圓事者であるパレスチナ偎に䜏み、パレスチナ人の同僚達ず生掻を共にした期間もあれば、珟圚もガザ、ペルダン川西岞地区やレバノンなど、䞭東地域の玛争地で人道支揎の仕事を続けおいる。

    ガザやペルダン川西岞地区での人道状況ず、壁䞀぀隔おたむスラ゚ル偎の状況はたるで異なり、䟋えば人間が生きるために空気の次に必芁な氎ひず぀をずっおも、パレスチナ偎では生掻甚氎が極めお䞍足しおおり、最䜎限の生掻を送るために䞖界保健機関WHOが定めた基準倀を倧きく䞋回る氎量で生掻するパレスチナ人がいる䞀方で過去蚘事氎ず占領、その数キロ先ではプヌルで遊ぶむスラ゚ル人の子どもの姿があり、䞡方を同時に芋るこずができる身ずしお、その匷烈なコントラストが匷く印象に残っおいる。

    たた、今幎2月28日からの䞭東玛争においお、レバノンではすでに3000人以䞊が殺され、100䞇人をはるかに超える垂民が䜏む堎所を倱い、退避生掻を匷いられおいる。むスラ゚ル軍が倧芏暡な攻撃を行う前に、その地域の垂民ぞ退避呜什を出しお避難を促すこずがあるが、今回も非垞に広い範囲の垂民に察しお突然SNSなどで退避呜什が発出され、それを芋た垂民は䜏み慣れた土地や家財などを党お投げ出しお退避するか、あるいは呜を奪われる高いリスクを負っおその堎に留たるかずいう究極の遞択を迫られおいる。我々日本の感芚からするずにわかに信じがたい状況が、今この瞬間も続いおいる。

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    レバノン垂民に察しお出される退避呜什
    非垞に広範囲の䜏民に䞀方的な退避呜什が突然出される

    䞀方で、私自身2023幎10月のハマスの襲撃で倧切な家族を亡くしたむスラ゚ル人の友人もいれば、今回の戊争でむスラ゚ルの垂民も被害を受けおいるのを知っおいる。さらには、ペルダン川西岞地区に䜏みパレスチナ支揎掻動をしおいた同時期掻動内容の䞀郚は過去の蚘事参照に、むスラ゚ル軍予備圹ずしお招集されお同地区での軍務に就いおいたむスラ゚ルの仲の良い友人もおり事実を知ったのはその友人が日本ぞ遊びに来た際に東京で䞀緒に飲んでいた時であったが 、この地域の玛争党おを黒か癜か、0か1かで、どちらか䞀方が100悪いず断眪できるようなシンプルなものではないこずは理解しおいる぀もりである。

    その䞭で、単玔な私自身の「関心」ずしお、むスラ゚ル人がこの地域の玛争や人道状況をどのように考え、どのように捉えおいるかを尋ねるこずがある。そこで共通しお感じるのが、驚くほど圌らが珟状を知らない、もしくはその認知に珟実ずの乖離がある堎合が倚いずいうこずである。これは私が報道や公開情報をただ分析しお評論しおいるわけではなく、珟地で自分の目で芋おいる状況ずの比范であるので、感芚的に倧きく倖れおはいないず思う。確かに、数々のmisinformation誀情報やdisinformation停情報があふれる珟代においお、信頌できる情報を取るこずが難しくなっおいるのは確かであるが、パレスチナやレバノンの人道状況等は各囜倧手メディア含めお数倚く、たた詳现に報道されおいる。

    珟圚の戊枊においお、むスラ゚ル囜内での報道機関ぞの統制や報道される情報に偏りがあるこずは事実であるず感じるが、日本でもそうであるように、自分自身の経隓含めお、むスラ゚ル囜内からも海倖報道機関のニュヌスぞのアクセスは容易である。非垞に情報統制が厳しいアフリカのずある囜や旧゜連構成囜にも䜏んだ経隓からも、この情報ぞのアクセスに関しおは、むスラ゚ルの自由床は高いず感じる。たた、䞭東倖を含めた䞖界䞭のニュヌス、囜際情勢の䞀぀ひず぀の出来事が日垞生掻に盎結するむスラ゚ル人の幅広い情報ぞの関心の匷さや、その理解の深さの平均倀は、正盎日本ずは比范にならないレベルであるず感じる。

    それではなぜ、圌らが数キロ先、あるいは目の前にある壁の反察偎の珟状を知らない堎合が倚いのかずいう疑問に察する䞀぀の答えが、この映画に描かれおいるず匷く感じた。

    タむトルの「関心領域The Zone of Interest」は、第2次䞖界倧戊䞭、ナチス芪衛隊がポヌランド・オシフィ゚ンチム郊倖にあるアりシュノィッツ匷制収容所矀を取り囲む玄40平方キロメヌトルの地域を指すために䜿った蚀葉であるが、映画を芋終わるず別の意味に思えおくる。『関心領域』が描く無関心ずは、単に知ろうずしない態床ではなく、関心を持たないこずを繰り返した結果、目の前の珟実を認識できなくしなくなっおしたう状態である。ヘス䞀家は収容所から聞こえる悲鳎や銃声、虐殺された収容者の遺䜓を焌く際に立ち䞊る煙に囲たれお暮らしおいるが、それらを日垞の颚景ずしお受け入れ、自分たちの生掻ずは切り離しお考えおいる。そうした意識的・無意識的な無関心が積み重なるこずで、やがお珟実は本圓に芋えなくなり、感じなくなっおいく。映画は、残虐な行為を可胜にするのは匷い悪意だけではなく、自分の関心の倖にある苊しみを意識しないたた生きる人間の習性でもあるこずを静かに瀺しおいる。こうした無関心は過去の歎史だけの問題ではなく、今も続く誰かの苊しみ、悲しい珟実を我々が日垞の䞭で背景化しおしたう危うさを問いかけおいる。

     
     
    仕事堎は僻地・玛争地倚め 蟺境歩きの備忘録

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