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SAKU緊迫24・倜間スヌパヌ枅掃日雇い劎働篇


    金がない。

    最近この曞き出しが倚すぎる気もするが、人生が改善しおいない以䞊、導入だけ急に明るくするのも䞍誠実である。

    金がない。 静かにない。 掟手に散財しお消えたわけではない。 倢を远っお燃やしたわけでもない。 ただ、日々の生掻に削られ、気づけば財垃の底に、しわの寄った千円札ず、小銭ず、どうにもならない珟実が残っおいるだけだった。

    そんなある日、私は芋぀けおしたった。

    倜間スヌパヌ枅掃。 日雇い。 深倜垯。 未経隓可。

    未経隓可。

    この四文字は、金のない䞭幎にずっお危険である。 垌望に芋える。 だが、よく考えれば「未経隓でもできる」ではなく、「誰でも攟り蟌める」ず読めなくもない。 だが私はもう、そういう现かい読解力を働かせおいる堎合ではなかった。

    スヌパヌの枅掃である。

    ぀たり、閉店埌の広い店内。 静たり返った食品売り堎。 蛍光灯の癜い光。 モップ。 床掗浄機。 雑巟。 掗剀。 そしお、倜のバックダヌド独特の、劙に珟実感の匷い空気。

    䜕ずかなるだろう、ず思った。

    この「䜕ずかなるだろう」は、私の人生で䜕床も䜿われおきたが、䜕ずかならなかった実瞟の方が圧倒的に倚い。 それでも人間は孊ばない。 いや、孊んでも忘れる。 もしくは金がない時、人は反省より応募ボタンを優先する。

    圓日。 私は倜の駅前を歩いおいた。

    䞖間は䞀日を終えようずしおいる。 カップルは笑っおいる。 若者はコンビニ前でだらだらしおいる。 スヌツ姿の男たちはくたびれた顔で垰っおいく。 その䞭を私は、これから倜間スヌパヌ枅掃に向かう䞭幎ずしお歩いおいた。

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    すでに少し負けおいる顔だった。

    珟堎に着く。 裏口から入る。 埓業員通甚口ずいうものは、い぀だっお倢がない。 ガラスの自動ドアではない。 生掻の裏口である。 そこには段ボヌル、台車、泚意曞き、ビニヌル臭、そしおベテランの空気がある。

    担圓らしき男がいた。

    现い。 無駄がない。 たぶん50代埌半くらい。 声が小さいのに怖い。 こういう人は珟堎にいる。 怒鳎らない。 だが、怒鳎らない方が怖い皮類の人である。

    「初めお」

    「はい」

    「じゃあ今日は床ずトむレず、あずバックダヌドね」

    軜い。 蚀い方が軜い。 だが内容は軜くない。 私は䞀瞬、床ずトむレずバックダヌドを頭の䞭で䞊べた。 倚い。 倜の初陣にしおは、だいぶ倚い。

    たず制服らしきものを枡された。 青い䜜業着。 サむズが倧きい。 いや、倧きいずいうより、私の䜓がその䞭で迷子になる感じだった。 ズボンの裟が䜙る。 袖も長い。 鏡で芋たら、働く男ずいうより、䜜業着に飲み蟌たれた疲劎感ある䞭幎だった。

    説明が始たる。

    モップの絞り方。 掗剀の垌釈。 床掗浄機の䜿い方。 トむレ甚の薬剀は別。 食品売り堎ずバックダヌドで道具を分ける。 滑るから泚意。 転ぶず痛い。 圓然である。 だが珟堎で聞くず劙に重い。

    私は必死にうなずいた。 うなずきながら、半分も入っおいなかった。 新しい䜜業の説明ずいうのは、若い頃ならただしも、䞭幎になるず頭に入る速床より䞍安が広がる速床の方が速い。

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    そしお、始たった。

    最初は床である。

    閉店埌のスヌパヌは、昌間ずは別の顔をしおいた。 商品棚は敎然ずしおいる。 BGMは止たり、劙に静かだ。 その静けさの䞭で、床の汚れだけがやけに珟実的だった。

    私はモップを持った。 掗剀を入れた。 そしお、思ったより床が広い。

    広い。 広すぎる。 スヌパヌずは、買い物する偎から芋れば近所の店である。 だが掃陀する偎から芋れば、ほが空枯である。

    私は黙っお床を拭いた。 拭く。 進む。 戻る。 たた拭く。

    だが、そこで最初の事故が起きた。

    掗剀の量を、私は埮劙に間違えた。

    埮劙に、である。 だが枅掃の䞖界では、この埮劙が呜取りになる。 少し倚かった。 その結果、床がきれいになる前に、泡が元気になった。

    最初はかわいいものだった。 ちょっず癜い。 少し滑る。 だが気づいた時には、私は倜のスヌパヌで泡を育おる䞭幎になっおいた。

    バックダヌド偎からベテランが来た。 足を止めた。 泡を芋た。 私を芋た。 その芖線で、私は党郚を悟った。

    「入れすぎ」

    小さい声だった。 だが、心には倧きかった。

    私は慌おお拭き取ろうずした。 だが焊るず人は雑になる。 雑になるず泡はさらに広がる。 私は䞀瞬で、枅掃員ずいうより、倜の床に小芏暡な異倉を起こした男になった。

    䜕ずか泡は収たった。 しかしここで、無駄に䜓力を䜿った。 ただ始たっおそんなに経っおいないのに、私はすでに䞀仕事終えた顔になっおいた。

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    次は、床掗浄機だった。

    これがたた、芋た目以䞊に手匷い。 私は最初、あれを家電の延長くらいに考えおいた。 掃陀機の芪戚みたいなものだろう、ず。 違った。 あれは乗り物ではないが、気を抜くず意思を持぀。

    スむッチを入れる。 動く。 抌す。 いや、抌すだけではない。 劙に持っおいかれる。 巊ぞ流れる。 修正する。 今床は右ぞ行く。 私は倜のスヌパヌで、掗浄機に振り回される男になった。

    野菜売り堎の前で少し蛇行した。 惣菜コヌナヌ前で立お盎した。 そしお鮮魚売り堎の前で、危うく什噚に軜く圓おそうになった。

    止めた瞬間、背䞭に冷たい汗が流れた。

    鮮魚売り堎に衝突する䞭幎。 もうそれは劎働ではない。 深倜のニュヌスで「店内で䞀時隒然」の芋出しが぀くや぀である。

    しかも、掗浄機ずいうものは音がする。 静かな店内に、その機械音ず私の気配だけが響く。 自分がどんどん䞍慣れな異物ずしお店内を移動しおいる感じが぀らい。

    それでも䜕ずかやった。

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    だが次はトむレだった。

    ここでたた、珟実が顔を出す。

    倜間枅掃のトむレは、もう「ちょっず掃陀」ではない。 本気である。 容赊がない。 私は手袋をした。 マスクを䞊げた。 そしお心も少し閉じた。

    薬剀を䜿う。 ブラシを䜿う。 ペヌパヌ補充。 鏡を拭く。 床もやる。

    だが、ここで問題が起きた。

    薬剀のスプレヌを勢いよく抌しすぎお、自分の顔偎ぞ少し戻っおきたのである。

    目ではない。 だが近い。 近すぎる。 私はその瞬間、「うっ」ず声を出し、半歩䞋がった。 半歩で枈んだのが救いだったが、個宀枅掃䞭の䞭幎が䞀人で薬剀に驚いおいる姿は、誰にも芋られたくない類のものである。

    さらに悪いこずに、深倜の冷えず緊匵ず慣れない劎働で、腹の調子が少し怪しくなっおきた。

    やめおくれ、ず思った。 今ではない。 枅掃䞭である。 しかも堎所が堎所だ。 これ以䞊リアリティヌを足さなくおいい。

    私は必死で腹をなだめながら䜜業した。 人間、本圓に远い蟌たれるず、仕事ず同時に自分の内臓ずの察話が始たる。

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    そしおバックダヌドで、ずどめが来た。

    バックダヌドは狭い。 物が倚い。 台車がある。 段差がある。 コヌドもある。 ぀たり、疲れた䞭幎に優しくない。

    私はモップバケツを持っお移動しおいた。 慎重に行けばよかった。 だが疲れおいた。 少し急いだ。 そしお、やった。

    ガタン。

    バケツの片偎が軜く匕っかかり、䞭の氎がななめに揺れ、きれいに私の足元ぞこがれた。

    䞀気にではない。 だが、しっかりこがれた。 その絶劙な量が、たた぀らい。 党郚なら事故で枈む。 少量だず、自分の情けなさが濃くなる。

    私はしばらく固たった。 もう笑うしかない。 だが笑う元気もない。 そこにベテランが来た。 たた止たった。 たた芋た。 たた私を芋た。

    「疲れおる」

    この䞀蚀がき぀かった。 怒られるより少しき぀い。 図星だからである。

    私は「倧䞈倫です」ず蚀った。 だがたったく倧䞈倫そうではなかったず思う。 声がもう、䞀日の最埌に出す声になっおいた。

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    䜜業終了。

    時蚈を芋る。 深倜。 脚は重い。 腕もだるい。 腰も鈍い。 心もくたびれおいる。

    私はロッカヌ前で着替えながら思った。

    倜間スヌパヌ枅掃。 思っおいたより、ずっず戊堎だった。

    静かな店内。 癜い蛍光灯。 泡。 掗浄機。 薬剀。 冷えたバックダヌド。 そしお、䜿えない動きばかりする䞭幎の私。

    䜕䞀぀掟手ではない。 だが、地味に党郚が痛い。

    倖に出るず、倜明け前の空気が少し冷たかった。 街はただ半分眠っおいる。 私は自販機の前で立ち止たり、枩かい猶コヌヒヌを買った。 その䞀本が、劙にうたかった。

    金のために来た。 情けない倱敗もした。 泡も育おた。 掗浄機にも振り回された。 バケツもこがした。 トむレでは薬剀にびびった。 䜓力のなさも、刀断の遅さも、党郚出た。

    だが、それでも最埌たでいた。

    ここが倧事である。 途䞭で逃げなかった。 掟手に掻躍もしなかったが、掟手に終わりもしなかった。 ずっず情けなく、ずっず危なっかしく、それでも勀務時間の最埌たでは立っおいた。

    それだけで、今の私には少し意味があった。

    もっずも、その意味はすぐに矎談にはならない。 垰り道の私は、猶コヌヒヌ片手に、ほが死にかけた顔で歩くただの䞭幎だった。 朝焌けに照らされおも、再起の男には芋えない。 疲れ切った倜間枅掃員芋習いである。

    だがSAKUにずっお人生ずは、うたくいった話ではなく、だいたい倱敗の密床で原皿になるものだ。

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    そう考えるず、この倜も無駄ではない。

    かなりみっずもなかった。 かなり危なかった。 かなり向いおいない気配もあった。

    だが、そのぶん蚘事ずしおは濃い。

    ぀たり今回もたた、仕事には完党勝利しおいない。 むしろ小敗を重ねおいる。

    それでいい。

    人生の勝率より、蚘事の密床の方が今は倧事だ。 泡もバケツの氎も、薬剀の逆噎射も、党郚ペヌゞに倉えおしたえばいい。 䞭幎の倱敗は、笑いになる。 笑いになれば、誰かの深倜に少し刺さる。 それがSAKUの仕事である。

    枅掃員ずしおは、ただただである。 だが曞き手ずしおは、今倜も珟堎から垰っおきた。

    それで十分だ。

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    saku

     
     
    50歳から劄想noteはじめたした。 元・営業マン、今・人生再起動䞭。 ロスゞェネ䞖代無職寞前おじさん。 散歩・昭和歌謡・軜自動車ず生きおたす。 「遅い」なんお誰が決めた 共感しおくれたら、ぜひ䞀緒に。 珟実か幻想か劄想か 本栌掟リアルフィクション 党おを超えおいけ

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