グリーフハラスメント〜遺族に実際に起こったこと〜【中編:息子のSOSとナイフの一言】
妻との死別から年数が経つにつれ、周りとの温度差は広がるばかりでした。
そんな中、さらに胸を締め付けられる出来事が起こります。それは、三男コウタが小学校に入学した年でもありました。
夏休み前から、コウタの様子がどこかおかしいことに気づいたのです。保育園時代には見られなかった行動。突然、私の膝の上にちょこんと乗ってくるようになりました。
「何か寂しいのだろうか……?」
胸騒ぎがして学童の先生に相談してみると、「最近、コウタくん膝の上にも乗ってくるんですよ。私も『何か寂しいのかな』と思っていたところでした」と言われました。
「やっぱりそうだったか……」
担任の先生に確認しても、同じような答えが返ってきました。
まずい、これはSOSだと直感しました。
会社で社員教育をしていた時、私はいつも痛感していたことがあります。
「仕事のスキルを行き着くところまで教え込もうとしても、最後は幼少期の躾や家庭での関わり方に突き当たる。会社で10教えるべきことがあるとしたら、そのうち7つは本来、家庭で育まれるものではないか」と。
子育ては、人の根幹を作る絶対に疎かにしてはならない営みです。
それなのに、自分の足元を見つめ直した時、わずか2歳で母親と死別したコウタが「寂しい」と無言のシグナルを発している。父親として、これを無視するわけにはいきませんでした。
一方で、社長としての責任を果たしきれていない自分への苛立ちもありました。
「社長の代わりは探せばいくらでもいる。だが、この子たちにとって『父親の代わり』は絶対にいない」
そう自分に言い聞かせながら、苦しい葛藤を続けていたのです。
そんな矢先のことでした。
ある仕事の案件で、どうしても夕方以降に私が動かなければならない局面がありました。夕方以降は子どもたちの世話があるため、先方に事情を説明し、ご理解をいただいて対応しようとした時のことです。
会社のオーナーは、最後まで理解を示してくれませんでした。
「そんな事情はオマエのプライベートだろう。いつまで引きずっているんだ‼️」
長年築いてきた人間関係が、一瞬で崩れ去った瞬間でした。
(後編へ続く)
