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相棒を探して(第一章) 自分への、ちょっと特別なご褒美。──定年退職を機に「一生モノのギター」を考えた

    無事に定年退職を迎えた。

    ありがたいことに退職金もいただいた。
    途中、転職して入ったため、決して大きな額ではなかったが、長年働いてきた自分への一区切りとしては、充分だった。

    もちろん、これで終わりではない。
    今も雇用延長で働いている。
    それでも「定年」という節目は、一度しかない。

    だからここまで頑張ってきた自分へのご褒美を。
    何か、自分にとって特別な記念を残したいと思った。


    そこで頭に浮かんだのが、

    「一生モノの一本を手に入れようか。」

    という考えだった。

    人生の節目に、高級なギターを買う人は少なくない。

    ギターの価格が異常に高騰してしまった昨今。
    普段ではそうそう買えなくなってしまったマーティンのD-45や、憧れのヴィンテージギター。
    でも退職金の入った時ならば、それらに手が届かなくもない。。
    それはそれで、とても素敵な選択だと思う。

    でも、不思議なことに今の自分は、「有名ブランド」や「価格の高さ」には、以前ほど心が動かなかった。

    それよりも欲しいのは、
    ・毎日でも手に取りたくなる一本。
    ・ライブにも気兼ねなく連れて行ける一本。
    ・弾けば弾くほど、自分の身体の一部になっていくような一本。
    そんなギターだった。


    メーカーの知名度は、正直どうでもいい。
    無名でも構わない。

    それよりも、
    ・左手に自然と馴染むネック。
    ・自分に合ったスケール。
    ・好きなピックアップ。
    ・取り回しのいいボディサイズ。
    ・そして、腕のいい工房が丁寧に作り上げた土台。

    そんな一本を、自分好みに少しずつ育てていく。
    そんなことを考えている時間の方が、ブランド名を眺めているよりずっと楽しいのだ。


    飾るためのギターではなく、
     ステージで一緒に汗をかき、
     時には傷も増え、
     人生を一緒に歩いていく相棒。

    そんな一本が欲しいと心から思った。
    それが、退職を迎えた今の自分が、本当に求めていたものだった。

    実は、この時点では、まだ、その「理想の一本」と出会ってはいなかった。けれど、このあと偶然とも必然とも言える出会いが待っていた…。

    第二章へ続く。


     
     

    Ryu.

     
     
    ギター弾きのエッセイ。 ライブと人生のあいだの記録。 ギターを弾く。 言葉も少し弾く。 ライブは続く。 人生もまだ続く。