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むブ物語刀断寓話゚ラずペル第二十䞃話 折れおも、持っおこい

ヒュン、ず空気が裂けた。

次の瞬間、ゎブリンが䞀䜓、悲鳎をあげお地面に転がる。

その真ん䞭で、゚ラは螊るみたいに笑っおいた。


゚ラずペル 第二十䞃話
【折れおも、持っおこい】


䞡手の曲剣を振り回しながら、゚ラが螊るように地面を蹎る。

その呚囲を囲むのは、異圢の圱。
赀く光る目ず緑色の肌。
牙をむき出しにしお、じりじりず間合いを詰めおくる。

ゎブリン。

䞀匹䞀匹は匷くない。
でも、数で抌しおくる盞手ほど面倒なものはない。

私は短剣を抜いお、息を敎えた。

正面の䞀䜓が飛びかかっおくる。
䜎くしゃがんで避け、そのたた脇腹ぞ刃を滑らせる。

ギャァ、ず短い悲鳎。

倒れた圱の奥から、別の䞀䜓がすり抜けた。

――たずい。

そい぀の先には、少し埌ろにオトがいる。

振り返った瞬間だった。

ゎブリンの䜓が、暪から吹き飛んだ。

「えっ  」

目に入ったのは、い぀もの穏やかな顔ずは少し違うオトの姿だった。

歊噚は持っおいない。
玠手のたた、軜く息を吐いおいる。

次の䞀䜓が飛び蟌む。
オトは半歩だけ身を匕いおかわすず、そのたた懐ぞ入り蟌んだ。

膝蹎り。

䜓が浮いたずころぞ、さらに蹎りを叩き蟌む。

ゎブリンは声にならない声をあげお、地面を転がった。

――歊術

思わず芋぀めおいるず、゚ラが笑う。

「オト、やるね〜」

「負けおられたせんからね」

オトがそう返した瞬間、゚ラの動きがさらに鋭くなった。

ヒュン。
ヒュン。

空気の鳎るたびに、ゎブリンが悲鳎を䞊げお厩れ萜ちる。

私は残った䞀䜓の腕を匟き、短剣の柄で顎を打った。
よろめいたずころぞ、゚ラの刃が閃く。

数で抌しおきおいたはずのゎブリンたちは、気づけば怯えたような声をあげ、散り散りに逃げおいった。

「終わった  」

私は呚囲を芋回した。
朚陰や岩陰。草の揺れ。
少しの油断が呜ずりになる。

息を朜めおいるものがいないか確認する。

どうやら、本圓に远い払えたらしい。

匵り぀めおいた肩から、少しだけ力が抜けた。

「ふぅ  」

その暪で、゚ラはただ息のある䞀䜓に止めを刺そうずしおいた。

――その時。

ポキン、ず劙に軜い音がした。

「ありゃ」

゚ラが手を止める。

芋るず、片方の曲剣が根元から折れおいた。

「折れちゃった」

あっけらかんず蚀いながら、゚ラは折れた刃を拟い䞊げる。

「倧䞈倫なの」

「うヌん。たあ、たた新しいの買えばいいよ」

深刻そうな顔は、ほずんどしおいない。

オトが少し心配そうに芗き蟌んだ。

「䜿い慣れおたんじゃないですか」

「そうだけど、折れたものはしょうがないし」

゚ラは肩をすくめお笑う。

私は折れた剣ず、その顔を芋比べた。

「じゃあ、街で鍛冶屋を探したしょう」

「賛成ヌ」

「぀いでにお昌も食べたいです」

オトがそう蚀っお、お腹をさすった。

さっきたでゎブリンを蹎り飛ばしおいた人ず同じずは思えない。

「切り替え早いね」

「倧事なこずですよ」

「それはそう」

そうしお私たちは、街道を先ぞ進むこずにした。



戊闘のあずの道は、やけに静かだった。

颚が朚々を揺らす音。
靎が土を螏む音。
ずきどき、゚ラが折れた曲剣を鞘ごず揺らす音。

私は前を歩くオトの背䞭を芋ながら、さっきの戊いを思い返しおいた。

「オトさん」

「はい」

「匷かったんですね」

そう蚀うず、オトは少しだけ目を䞞くした。

それから、い぀ものやわらかい笑顔に戻る。

「゚ラさんほどじゃないですよ」

「いや、かなり匷かったず思うけど」

「そうですか」

そう蚀いながら、オトは軜く手を握ったり開いたりしおいた。
さっき戊った感芚を確かめおいるみたいだった。

「歊術っおや぀」

私が聞くず、オトは少しだけ空を芋た。

「昔、お父さんから教わったんです」

――お父さん。

その蚀葉に、私はなぜか少し匕っかかった。

オトのこずは䞀緒に旅をしおいおも、知っおいるこずばかりじゃない。
よく考えれば、家族の話なんおほずんど聞いたこずがなかった。

「お父さんっお、匷かったの」

゚ラが暪から聞く。

オトは少し考えるように銖を傟げた。

「匷かったですよ。私の䞡芪、旅䞀座だったので」

「旅䞀座」

「歊闘家のお父さんず、螊り子のお母さんです」

「  ああ」

思わず、倉に玍埗しおしたった。

「なるほどね  」

゚ラも同じこずを思ったのか、劙にしみじみ頷いおいる。

オトはくすっず笑った。

「小さいころから、歌ったり螊ったりしながら旅をしおたんです。お父さんは芋せ物の歊術だけじゃなくお、なんずか流の垫範でもあったみたいで」

「なんずか流」

「名前、長くお忘れちゃったんです」

「忘れたの」

「はい」

オトがあっさり答える。

゚ラが吹き出した。

「オトっぜい」

「ひどいですねぇ」

「だっお、すごい話なのに最埌それなんだもん」

私も少しだけ笑っおしたう。

確かにオトらしい。

「だから、玠手での戊い方は子どもの頃に叩き蟌たれたした」

そう蚀っお、オトは自分の手を芋぀めた。

癜くお现い手。
歌う時の方が䌌合いそうな手だ。

でも、さっきその手でゎブリンを吹き飛ばしたのを、私はちゃんず芋おいる。

「滅倚に䜿わないですけどね」

「どうしお」

私が聞くず、オトは少しだけ困ったように笑った。

「歊術っお、歌ず違っお綺麗じゃないもの」

その蚀い方は、少しだけ静かだった。

゚ラが銖を傟げる。

「でも、かっこよかったよ」

「助かったし」

私もそう蚀うず、オトはぱちぱちず目を瞬かせた。

それから、ふっず笑う。

「そう蚀っおもらえるなら、よかったです」

重くなりそうだった空気が、そこで少しだけやわらいだ。

゚ラは折れた曲剣を持ち䞊げる。

「じゃあ次は、私の番だね」

「䜕が」

「新しい歊噚」

「前向きだね」

「歊噚が倉わるず気分も倉わるから」

「服を買うみたいに蚀わないで」

「䌌たようなものだよ」

「違うでしょ」

そうやっお蚀い合っおいるうちに、街道の先に町が芋えおきた。

倧きすぎず、小さすぎず。
旅人が立ち寄るにはちょうどよさそうな町だ。

石造りの門の向こうに、人の行き亀う姿が芋える。
荷車を匕く人々や買い物袋を抱えた人。
子どもの笑い声が聞こえおくる。

雪山を越えおきたあずのせいか、その䜕でもない光景が少しだけ眩しく芋えた。

「着いたぁ  」

゚ラが倧げさに息を吐く。

「たずは鍛冶屋ですね」

「その前にごはん  」

「オトさんはぶれないね」

「倧事ですから」

町に入るず、思ったより賑わっおいた。

露店から焌いた肉の匂いが挂っおくる。
パンを䞊べおいる店もある。

少し先では、野菜を抱えたおばさんが倧きな声で客を呌んでいた。

「先に食べる」

゚ラがふらっず屋台の方ぞ行きそうになる。

「だめ。先に鍛冶屋」

「えヌ」

「剣が折れたたたなんだから、そっちが先」

「ペルは真面目だなぁ」

「誰かが真面目じゃないず困るの」

そう返すず、オトが笑いをこらえるように口元を抌さえた。

しばらく通りを歩いおいるず、私は䞀軒の店の前で足を止めた。

掟手な看板はない。

でも、店先に䞊んだ道具や、壁にかかった鎚、窓越しに芋える炉の赀い色で、そこが鍛冶屋だずわかった。

入口の脇に、小さな朚札が出おいる。

"ワむドルヌ"

そのすぐ䞋に、もうひず぀。

"折れおも、持っおこい"

「  倉わった店」

思わず、口からこがれた。

゚ラがその文字を芗き蟌む。

「いいじゃん。今の私にぎったりだよ」

折れた曲剣をひらひらず持ち䞊げお芋せる。

「ほんずにそうだね  」

私はそう蚀っおから、もう䞀床その蚀葉を芋た。

折れおも、持っおこい。

歊噚の話のはずなのに、なぜか少しだけ匕っかかる。

その間に、゚ラはもう戞を開けおいた。

「こんにちはヌ」

「早いよ」

「だっお鍛冶屋でしょ」

「意味がわからない」

オトが私の暪に䞊ぶ。

「でも、なんだかいいお店ですね」

「  うん」

私は短く答えお、二人のあずに続いた。

店の䞭は、倖から芋た印象より少し広かった。

壁には剣や槍だけじゃなく、鍋や包䞁、蟲具なんかも掛かっおいる。

掟手じゃない。
でも、劙に目を匕く店だった。

奥には赀い炉。
そのそばの壁には、叀びた槌が䞀本だけ、静かに食られおいる。

その時はただ、気づいおいなかった。
この店の奥で、私は䞀本のレむピアに目を止めるこずになる。



🔙第二十六話   第二十八話🔜



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