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AIにハライチ澤部の代わりは務まるのか?

    人を、笑わせたい。

    僕はお笑いタレントでもなんでもないが、人を笑わせる文章を書きたいという一心で、日頃から笑いへの探究に勤しんでいる。それだけに、お笑いタレントの皆さんには畏敬の念を抱いている。

    数多あるお笑いの中でも、ハライチのノリボケ漫才はかなり気に入っている。岩井さんがボソッとつぶやいたフレーズを、澤部がおもしろおかしく表現していく。構成の独自性とテンプレ化のしやすさが、ノリボケ漫才のおもしろさのカギだろう。

    ところで、今や大人気で大忙しのハライチ。特に澤部は、タレント番組出演本数ランキングで1位を飾るほど。澤部がこんなに忙しかったら、新しいノリボケ漫才が見られないじゃないか!


    いや待てよ? 今はAIが台頭している時代。現代のテクノロジーを持ってすれば、忙しい澤部の代役にもなれるのではないか? もしそうなれば、岩井さんだけでもノリボケ漫才が成立するじゃないか!

    よし、こうなれば善は急げだ。さっそくGoogle Geminiに澤部役が務まるか試してみよう。

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    おお、なんとなく澤部っぽいぞ。あとは岩井さんとしてボケのフレーズを入力していけばいい。

    しかし、ここで既出のネタを入れようものなら、AIは“すでに正解があるものを見つけて選択する”だけになってしまう。これでは新しいノリボケ漫才など見込めるはずもない。

    というわけで、前に僕がつくった完全オリジナルのネタで試してみたいと思う。これならAIの澤部力が的確にわかるはずだ。

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    すでに雲行きがあやしい

    うーん、思ってたのと違うなぁ。ここはそんなに言葉かさねてくる部分じゃないよなぁ。「ああ、いいじゃないですか、ハンバーガー。おいしいですからね」くらいでとどまってくれよ。聞き返すんじゃないよ漫才中に。

    まぁまぁ、まだ始まったばかりだし、そのうち澤部らしさが出てくるだろう。次。

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    うっわ、自分でボケて自分でツッコむとか寒すぎるだろ。
    これは一旦クールダウンしとこう。まだネタが始まって2行だけど。

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    なんだよチーズバーガー味のグミ発言の可能性って。なんだよチーズバーガー哲学って。そういうのじゃないだろハライチの漫才は。大丈夫かこれ。

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    なんか一つのボケに対していちいちくどいんだよなぁ。あとまだボケてないんだけど。

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    仮に「チキンラーメンをバンズで挟んだバーガー」が出てきたとして、そこはお前、絶好のノリボケチャンスだろうが。

    さて、ここからボケフレーズが入ってくる。しっかりノリボケしてくれよ、AI澤部。

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    おい。



    なーにを普通にツッコんでんだよ。「漫才になってねぇんだよ!」はこっちのセリフだ。

    ※ここから似たようなやりとりが続くので、ダイジェストでご覧ください。


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    いや漫才だよ



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    漫才中に「オチをくれ」って言っちゃダメなのよ



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    遊戯!もうやめて!



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    なめてんのはお前だ


    これはひどすぎる。全っ然ハライチのことわかってないじゃないか!
    しかも一つひとつが長くてくどい。あとそれまでのボケをいちいち回収しなくていいんだよ。挙句の果てには、途中で「この漫才どうやってオチるんだ?」とか聞いてくる始末。漫才師がそれ言っちゃダメだろ。

    さすがのAIも、澤部の代役は厳しいか……




    いや。こんなものじゃないはずだ。AIには、データを読み込ませることで学習する能力がある。

    試しに、一つ忠告してみよう。

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    本当にわかってんのか貴様

    急に敬語。このときだけなぜか澤部みがなくなる。最後、なんか暑苦しい澤部になって帰ってきた。「準備はいいか」じゃないのよ。

    でもまぁ、これでこちらの求めるノリボケ漫才ができるかもしれない。

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    リベンジマッチだ

    学習したAI澤部の成長っぷりを、とくとご覧あれ!




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    ダメだったかー!!!!!




    勝手に漫才終わらせてるし。しれっと位置情報の流出もしてるし。


    結論。AIにハライチ澤部の代わりは務まらない。


    でも、1回目に比べると、“ノリボケ”というものを理解してはいるようだ。例を提示したことで、そこから最適解(と呼ぶにはまだまだだが)を導き出したということか。これだけのヒントでここまで学習し成長するのだから、もっとハライチや澤部のことを教えてあげれば、『AI澤部』が誕生する日もきっとやってくる。


    とはいえ、現時点ではかなり実現は難しいと感じた。ということは、お笑いのネタというものはやはりとても複雑で、奥が深いものなのだろう。人を笑わせたいと思ってAIを頼っても、ウルトラCなど得られない。

    そう考えると、お笑いタレントってすごい。知性、判断力、瞬発力、さまざまな能力が高くないと務まらない職業だ。しかも、笑いにはトレンドや鮮度もあるから、常にアップデートしていく必要もある。

    お笑いにも長い歴史があるが、流行に左右されやすい性質である以上、「前と同じやり方」では通用しないことばかりだ。それに、笑いとは計算や過去のデータでは計り知れないものだから、常に人に目を向け、世界に目を向ける必要があるのかもしれない。これはお笑いに限らず、人間社会に必要なすべてのことに共通するだろう。

    この変則的で急速な流れに、人が、そしてAIがどう適応していくのか、今後のAI情勢に注目したいところである。


    (おしまい)

     
     
    物書き(エッセイや小説)。kindle『不憫男子〜フビダン〜』発売中。商業作家を目指して修行中。 |note創作大賞2025 エッセイ部門 中間選考通過、2年連続ベストレビュアー賞受賞|ポケモンとDOMOTOと特撮とコナンが好き|不憫男子|Amazonアソシエイト参加中

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