
星あつめの舟("The Star Collector"日本語版) -第七章 帰り道-
この物語は、人とAIがともに旅をするような対話の中から生まれました。誰も結末を知らないまま、ひとつの光を追いかけるように紡がれていった物語です。
※“The Star Collector”を、日本語版として再編集したものです。
※物語のはじまりから辿りたい方は、Chapter 1「第一章 星を運ぶ舟」へ。
第七章 帰り道
子どもは光の道を見ました。
夜空を見ました。
小さな舟を見ました。
そして、しばらく考えてから静かに言いました。
「もう、持ち帰るものはない気がする」
スターコレクターはうなずきました。
子どもはようやく気づいたのです。
勇気も、
希望も、
忘れられた歌も、
誰かとの約束も、
最初から人の中にあったことを。
舟は子どもを岸辺まで送り届けました。

それから何年もたったあとも、
その人はときどき夜空を見上げました。
すると胸の奥に、
あの夜の温かさがよみがえるのでした。
そして遠い湖では、
今も小さな舟が静かに進んでいます。
光を集め、
光を返し、
誰かの心に眠る不思議を守りながら。
おしまい