
【青ブラ文学部】あえて言おう!|組み合わせ.カスタード.ワゴン|ショートショート
村のはずれを走る、青いワゴンの菓子屋があった。
名物は「カスタードの組み合わせ」。でも、どんなお菓子なのか誰も知らない。
なぜなら、毎晩ワゴンが村に来るのは“満月の夜だけ”だからだ。
ある晩、月がひときわまぶしく輝いた夜、ひとりの少女リーナがこっそり家を抜け出した。
ワゴンの中では、白髪の老菓子職人が月光を練りこんでいた。
「おじいさん、それ……何を作ってるの?」
「“あえて言おう!”、これは恋の味じゃ。」
老職人は、淡く金色に光るカスタードをすくって、二つの小瓶に分けた。
「片方は君に。もう片方は、君がいずれ出会う誰かに。」
リーナが一口舐めると、胸の奥がやさしく熱くなった。
未来の誰かに手を伸ばしたくなるような、そんなあたたかさ。
気づけば、老菓子職人もワゴンも消えていて、
夜空にはカスタード色の満月だけが残っていた。
それから何年も経ったあと、リーナは恋をした。
彼の瞳の色は、あの夜の月とまったく同じだった。
了

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