
【アマノ文筆クラブ】降られちゃった|エッセイ
タイトル: 降られちゃった
「降られちゃった」
そう言いながら、玄関で濡れた傘を閉じる。
天気予報では、雨は降らないと言っていた。
だから傘を持たずに出かけた。
空は晴れていたし、風も気持ちよかった。
それなのに、帰り道になって突然の雨。
最初は小さな雨粒だった。
「これくらいなら大丈夫」
そう思って歩いていたら、あっという間に本降りになった。
髪も服も、すっかり濡れてしまった。
こんな日は、少しだけ運が悪い。
でも、家に帰って温かいお茶を飲んでいると、さっきまでの憂鬱が少しずつほどけていく。
雨に降られたことは変わらない。
予定どおりにいかなかったことも変わらない。
それでも、
「まあ、こんな日もあるか」
と思えるようになる。
考えてみれば、人生も天気予報みたいなものだ。
明日のことを予想することはできても、全部を当てることはできない。
晴れると思っていた日に雨が降ることもある。
楽しみにしていた予定がなくなることもある。
思いがけない出来事に、心が濡れてしまう日もある。
そんなときは、無理に「いい日だった」と思わなくてもいい。
「今日は降られちゃったな」
それくらいでいい。
濡れた服は乾く。
雨もいつか止む。
そして、また歩き出せる。
窓の外を見る。
雨はまだ降っている。
でも、雲の向こうには、きっと晴れた空がある。
今日は少し濡れた。
それだけのこと。
明日は、傘を忘れないようにしよう。
……たぶん。
了

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