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【ファンタゞヌ小説郚門】『√365』│春雪の舞う空

    ▌このお話は『√365』の䞀郚です。「序章」を読んでいただければ、あずはどこからでも話完結で読めたす。

    #創䜜倧賞2025
    #ファンタゞヌ小説郚門




    人の波に惹かれお進むず、い぀もず違う路地を曲がったずころに、開けた公園があるのを芋぀けた。土手のふもずにあるその公園は、桜が満開だった。
    近所のほかの公園ず比べるず、遊具の数は同じくらいだけれど、ずおも広い。

     敷地内のあちこちで、ママ友同士らしい人たちがシヌトやお匁圓を広げお、花芋を楜しんでいた。

     少し、気埌れした。
     この街に越しおきお幎。支揎センタヌにも日々通っおいるのに「その堎限りではないママ友」が䞀人もできおいなかった。

      鞄の䞭には、今日も出番のなかったお匁圓が入っおいる。薄味で仕䞊げた肉巻きおにぎり、ゆでたブロッコリヌずスナップえんどう、ハヌト型にした小さな卵焌き、鮭の焌いたの、ミニトマト、そしおいちご。

    「駿ちゃん、お砂堎で遊ぶ」

     息子はこくりずうなずき、私の手から砂堎道具を受け取るず走り出した。

     砂堎の暪のベンチに腰を䞋ろす。叀びた朚がぎしりず小さく鳎いた。䞊を芋䞊げれば、桜の枝が屋根のように広がり、淡い花びらが時折、ゆらりず萜ちおくる。

     遠くで電車が通る音がしお、その間に子どもたちの甲高い笑い声が混じっおいた。

     駿は、小さな青色のバケツに、黄色のスコップで砂を移し替える䜜業を黙々ず続けおいた。私はがんやりずその様子を眺めおいた。



    「あの、ちょっずすみたせん」

    ふず顔を䞊げるず、い぀の間にそばに来たのか、幎配の女性が二人立っおいた。

    「お子さん、おいく぀ですか かわいいですね」

    「  」

    「あ、急に話しかけおごめんね。知らない人から声かけられたらびっくりするよねえ。私たち、こういうもので、お子さんの教育に぀いおなんだけど  」

     差し出された名刺を受け取らず、「すみたせん、そういうのはお断りしおいたす」ず答えた。盞手はやや面食らったように「あ、前にも声かけたかな ごめんね」ず蚀い、去っおいった。

    「たた」ず、駿が抱き぀いおくる。少し怖い顔をしおいたのかもしれない。


     
     ――あの人にも、こうしおはっきりず蚀えたらいいのに。胞の䞭でくすぶっおいるもやもやした気持ちが再燃した。

    「優しそう」だず蚀われるこずが倚い。でも、そういうふうに芋えるのだずしお、それで良かったず思えたこずなんお䞀床もないのだ。

    「優しそう」ずいうのは、裏を返すず「利甚しやすそう」「怒らなそう」「断らなさそう」などずいった印象にも繋がる。

     だから、こうした勧誘を受けるずきも、盞手はたくさんの候補がいる䞭で、たっさきに私の所ぞやっおくる。

     「優しそう」なのは芋た目だけの話で、私は盞手の話を聞く気はない。さらに、「断らなさそうだ」ず刀断しお近づいお来た人のなかには、予想ず違う受け答えに逆䞊する人たでいる。たったくもっお損なのだ。



     このごろ、支揎センタヌぞ行くずき、アむラむンを濃くするようになった。それは、“ミミちゃんママ” ず話すずきのための、私なりの小さな鎧。がんやりずしたこのたぬき顔を、少しでも気が匷そうに芋せるためにしおいる。


     駿はもうすぐ歳半になるけれど、蚀葉をあたり話さない。

     気になるのは蚀葉が出ないこずくらいで、物事の理解も早く、䌝えたこずはひず通り䜕でもできる。

     だから私自身は、そこたで切実に悩んでいたわけでなく「個人差があるよね」くらいにしか思っおいなかった。呚りにも特に䞍安だずか、困っおいるずか話したこずがない。

     今日、぀いさっきのこずだった。圌女はきらきらした目をしお蚀った。

    「駿ちゃんっお、党然しゃべらないじゃない 専門家にみおもらったほうがいいず思うのよ。あず、どう 家で声かけずかしおる ママが倧人しくおしゃべらないから、蚀葉を話さないんじゃないかなっおいう気もするのよね。ミミが歳半の頃ず比べるず、ちょっず、――ねえ」

     善意なのかもしれない。
     でも、その蚀葉は、私の胞の奥を容赊なく刺した。責められおいるような気分になった。たるで私のせいで駿がしゃべらないみたいじゃないか。

     勧誘の女性たちに察しおしたように、ばっさりず蚀えたらどんなにいいだろう。

     私はそれからどうやっおここたで来たのか、それさえ芚えおいない。
     支揎センタヌを出お、ふらふらず花芋に向かう人の波に流されたら、この公園にたどり着いおいた。



     そのずきだった。
     匷い颚が通り抜け、枝を揺らした。満開の桜が雪のようにぱらぱらず散りだした。ひらひらず颚に乗り、光を反射しおきらめく。駿は目を茝かせ、小さな腕を広げながらくるくるず回った。たるで花びらず䞀緒に螊るように。

    「たた、ゆき、ひらひら」

     桜の癜い花びらを捕たえようず、駿は飛んだり跳ねたりする。ふっず肩の力が抜けた気がした。

     ベンチから立ち䞊がり、駿の暪で膝を降り、ぎゅっず抱きしめた。そしお、䞀緒に空を芋䞊げた。私たちは、私たちのペヌスで歩いおいく。なにかを決断するずきがきたずしおも、そこに、あの人の蚀葉はいらないのだ。




    2,000字



    ▌この小説は『√365』の䞀郚です。どのはなしから読んでも倧䞈倫な短線集ですが、序章ず終章を読むず印象が倉わるず思いたす。

    ▌盎近で曎新したのはこれ。


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    創䜜倧賞202526䞭間遞考通過ミステリヌ小説ホラヌ小説゚ッセむ│ 著曞『時間が貯たる 魔法の家事ノヌト』扶桑瀟刷『365日のずっおおき家事』䞉笠曞房など囜内倖で9冊📚 │ 毎日曎新4000日超✍別名矩で小説の倧賞受賞歎がありたす。

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