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人事をしているけど、人の気持ちは分からない。

私は、人事の仕事をしている。
採用の計画を立てたり、採用活動をしたり。
社員と面談をしたり、相談を聞いたり。
研修を考えたり、人事制度を作ったり、今ある制度や規程を見直したり。
労務のこともやるし、組織のことも考える。
部下に仕事を任せたり、一緒に考えたり。
他部署の部長と話したり、経営層に説明したり。
人に関することなら、だいたい何でもやっている。
なんだかんだ、毎日ずっと人に関わっている。

そして私は、人のことを知るのが好きだ。
ここまでの記事でも、そんな話を何度か書いてきた。

じゃあ、人の気持ちが分かるのかと言われたら。
分からない。
全然分からない。
だって、私はその人じゃないから。

「きっとこう思っている」は、結構あぶない。

人の話を聞いていると、
「それは嫌だっただろうな」
「きっと不安なんだろうな」
「こうしてほしいんだろうな」
と、なんとなく想像できることはある。

経験を重ねれば、似たようなケースに出会うことも増える。

でも、想像できることと、分かることは違う。
同じことが起きても、受け取り方は人によって全然違う。
ものすごく気にする人もいれば、
「え、別に」
で終わる人もいる。
……この人の頭の中については、前の記事でも書いたけど、私はめちゃくちゃ気になる笑

だから、
「この人はこういう人だから、きっとこう思っている」
と決めてしまうのは、できるだけしたくない。

だから、聞く。

「どう思いました?」
「何が一番気になっています?」
「どうしたいですか?」

話を聞いてみたら、自分が想像していたことと全然違う答えが返ってくることもある。
私は重大なことだと思っていたのに、本人は全然気にしていなかったり。

逆に、
「そこだったの?」
と思うようなところを、ずっと気にしていたりする。

人の頭の中は見えない。
だから、聞く。
聞いても全部分かるわけじゃないけど、少なくとも、自分の想像だけでその人を決めてしまうよりはいい。

人事をしていると、この「聞く」は結構大事な仕事なんじゃないかと思う。

でも、人事は「聞くだけ」では終われない。

ここが、仕事になると難しい。
誰かから相談を受けたとき、その人の気持ちだけを考えていればいいわけではない。

本人がどう思っているのか。
相手はどう思っているのか。
周りの人にどんな影響があるのか。
会社として、どうするべきなのか。
ルール上はどうなのか。
この判断をしたら、その先に何が起きるのか。
いろんな方向から考えないといけない。

本人にとって一番嬉しい答えが、会社として出せる答えとは限らない。
逆もある。

だから時々、
人事って、人のことを考える仕事なのに、人の気持ちだけでは決められない仕事なんだな。
と思う。

難しい。
めちゃくちゃ難しい。

正解が分からないまま、決めることもめちゃくちゃある。

法律やルールで答えが決まっていることなら、まだいい。
調べれば分かる。
専門家に確認することもできる。

でも、人が関わることには、調べても答えが出てこないことがある。

Aにしたら、この人にはいいかもしれない。
でも、別の人にはどうなんだろう。
今回だけならいいかもしれない。
でも、これを会社として認めたら、次はどうするんだろう。

そんなことを考え始めると、
「うーーーーーん」
となる笑

それでも、仕事だからどこかでは決めないといけない。
たぶん私は、そういうときにできるだけ、
「分かったつもりにならないこと」
を大事にしている。

聞く。
考える。
必要なら誰かに相談する。
違う方向からも見てみる。

それでも分からなければ、その時点で分かっていることを並べて、一番いいと思うところを探す。

人の気持ちが分からないから、人事をしている。

……と書くと、ちょっと変だけど笑

でも私は、
「人の気持ちが分かるから、人事に向いている」
とはあまり思わない。
むしろ、
分からないと思っているから、知ろうとする。
こっちの方が、私にはしっくりくる。

この人は、どう思っているんだろう。
どうしてそう思ったんだろう。
何を大切にしているんだろう。
じゃあ、会社として何ができるんだろう。

そんなことを、毎日考えている。

そして明日もたぶん、
誰かの話を聞きながら、
「なるほど。じゃあ、もうちょっと聞かせて」
と言っている気がする。

人の気持ちは、分からない。
だから私は、聞くし、考える。
人事の仕事のそういうところが、私は結構好き。

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