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Photo byhumble_dahlia809

【小説】To be continued ~第4話 未完成の上書き保存~

    2026年3月バリ島@ウブドからクタ、そして・・・帰国へ

    滞在7日目の朝。

    明後日は、帰国日。
    チケット変更で、滞在期間を長くしたけれど、楽しい時間は、やっぱり短く感じる。

    一昨日の初ピラティス。
    そのスタジオで見かけたウェアが気になっていた。
    聞けば、ウブドに唯一の専門店があるという。

    ならば行くしかない。

    車をチャーターして、私はサヌールを離れた。
    Google マップで店を調べ、向かう。

    「Hello~!」

    何というタイミング。
    バリ島のお正月“ニュピ”を控え、お店全体でセール中。
    私は、早速、店内を物色する。

    「あ、これ・・・。」

    試着して、確認。間違いなくマイサイズだ。

    ホワイト地に、鮮やかなブルーで柄が描かれている。
    一目で気に入った。

    車は、ウブドからクタ方面へ向かう。
    バリ島の巨大スーパーで、家族へのお土産を様々買いこむ。
    もちろん、私が大好きなボディクリームも、買い物かごへ。

    レジで会計を済ませると

    「……。」

     店員が笑顔で何かをまくし立てながら、少し向こうを指差している。
    これだけ旅行しているのに、何を言ってるのかさっぱり分からない。
    どうやら、サービスカウンターへ行けと言うことらしい。

    ニュピ前の店は、人が溢れている。
    人ごみをかき分けて向かうと、クジ引きをやっていた。
    レシートを見せると、1回クジを引けと。でも、日本とは違うクジ?また分からない。

    教えてもらって、早速、クジを引いてみる。

    「!?」

    何とゴージャスなパッケージのボディクリーム1個をget!

    実は、私、クジ運は悪くない。
    ボディクリームを大事にバッグへしまい、軽やかな足取りで車へ戻る。

    予定を少し変更して、美味しいと評判のワルンに立ち寄ってから、ホテルへ向かった。

    荷ほどきをして、ビンタンビールの時間。
    ワルンの手作り総菜の数々。ツナたたき、大きなミートボール、トマト&アボカドのサラダ、いんげんのごま和え。
    優しい味とビンタンが、体のすみずみへ行きわたった。

    最終日は、ホテルから近いスパで癒され・・・帰国日が迫ってきた。

    やっぱり名残惜しい気持ちしかない。
    また来るね、と誓って、帰国の途についた。

    ーー数日後。


    いつもの毎日がやってきた。
    灰色の空。
    冷たいアスファルト。
    仕事。

    ”バリでは呼吸できる。”
    ”日本では息ができない。”

    満員電車に揺られながら、莉緒は気づいた。
    蓋をしていた気持ちが一気に溢れてくる。

    売上の見込み、ゼロ。
    顧客、ゼロ。
    商品も、無い。

    それでも胸の奥では、何かが静かに燃えていた。
    案が未熟なことは、百も承知で、調べた挙句、「開業届」を電子申請した。

    送信完了画面。

    その光は、あの島の星空のように静かで、鋭かった。

    そんな頃。
    一人のバリ島ブロガーの記事が目に止まった。
    軽い気持ちで申し込んだホロスコープ鑑定は、思いがけず私の心を揺さぶった。

    鑑定レポートは、自分の内側に秘めていたこととの答え合わせ、だった。
    星は、私の「意志」を待っていたのだ。

    そう気づいた瞬間、身体が勝手に動いていた。
    私は、予約済みの5月チケットを確認する。

    ーー有給が一日余っている。

    昔の私なら、そのまま捨てていたと思う。
    実際、何年もそうしてきた。
    でも、歩けなくなったあの日から、考え方が変わった。
    自分のために使える権利。
    時間は、戻ってこない。

    私は迷わず出発日を前倒しした。

    たった一日半。それだけのことだったが。

    日本での責任を剥ぎ取り、バリ島で本当の私を呼吸させる。
    その往復の果てに、何が待っているのか・・・。

    そして、この頃に。
    私は、少しずつ「ホンモノの自分」を試し始めていた。

    誰にも頼まれていない。
    収益化の当てもない。
    ただ、自分の言葉を書きたかった。

    それが、自分の言葉を書き始めた最初の一歩だった。

    未完成でもいい。
    何者でもなくてもいい。

    私は、「note」の中で、自分の人生を上書き保存し始めていた。


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    理不尽な現実を生き抜く大人たちへ。海と風に人生をほどかれた覆面クリエイター。テーマは再生、旅、恋、そして人生の上書き保存。剥き出しの言葉で、人生が動く瞬間を描く。私と一緒に次の扉の向こう側へ行きませんか。

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