メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【8/10 第7章】就職氷河期の男 ―― 負傷兵のあがき

    第章 負傷兵のあがき

    - 目暙ず実瞟

    田䞭は完治しおないものの埩垰した。

    田䞭を良く知る人事担圓圹員は、頑匵りすぎる田䞭の残業制限をする劎䜿契玄を特別に結んでくれた。
    産業医の助蚀ず今たで䌚瀟に尜くしおくれた、せめおもの枩情でもある。
    ゆっくりやっおいこうず声をかけおくれた。

    䞀方、吉川の田䞭ぞの扱いを知った高野は激怒しおいた。

    高野は課長になったあず田䞭をくれず毎幎䞊局郚に掛けあっおいたのだ。
    仕事の区切りが぀いた田䞭は高野の課に転属ずなった。 

    『久しぶりの䞀緒の仕事だね』ず田䞭
    「もう幎近いか、䞀緒に頑匵ろう」ず高野。

    高野はある分野で日本でも有数の゚ンゞニアになっおいた。
    その分野のシステムを早く芚えなくおは、ず田䞭は逞る気持ちを抌さえ、珟状自分がどんな状況か、身䜓が匱っお無理出来ない、鬱病になっお治療䞭である旚を包み隠さず高野に䌝えた。

    高野は理解を瀺した。

    ここならやっおいけるかもしれない、ず田䞭は思った。
    そのシステムアプリは䞖界的に有名なもので内郚の構造の説明を受けるず田䞭はすぐに理解できた。

    埗意分野だった。ただ裏で勉匷が出来ない。
    䌚瀟が保有するラむセンスが無いずヘルプペヌゞが芋られない。

    しかもリモヌトワヌクで䌚瀟がパ゜コンの利甚状況を監芖しおいるので業務䞭しか勉匷出来ない状況であった。
    埩垰空けだし勉匷時間貰っお、ゆっくり育成っお方針だろうず田䞭は思った。

    だが、高野の方針は違った。
    いや䞊堎の匊害であろう、数倀目暙を達成する必芁があった。
    䌚瀟には係長䞀人に䜕䞇皌がせる必芁があるず目暙があった。
    埩垰空けずか関係無い、単玔蚈算の幎間目暙である。

    ある時、高野は田䞭に蚀った。
    課長補䜐がお客様怒らせたから田䞭フォロヌしお、簡単だから。
    課長補䜐がミスったものを䞋の係長の田䞭がやる
    䞀瞬耳を疑った。
    だが、やるしかない。

    䌚議に出お、顧客の䞍平䞍満を聞き、真摯に謝眪する田䞭ず芋守る高野。
    高野は面倒芋の良い男で頭が良く回る。
    田䞭の誠実な態床が簡単に顧客の機嫌を治すであろうこずは蚈算枈みであった。
    田䞭はアプリを勉匷しながら、この顧客察応は数か月にわたったが無事終えた。
    高野の想定通りであった。

    高野は田䞭に課ず党瀟の課題を良く雑談で話をした。
    䌚瀟を、自分の課を良くしおいきたい。

    高野の闘志の炎は消えおいなかった。

    田䞭は高野の志に觊発されお地道に改善掻動を始めた。 
    高野担圓アプリは実質システム開発なのだがアプリずしお販売しおいた。
    そうなるず顧客目線だず安いものず芋られ、結果単䟡が䞋がり察応期間が短くなる。
    圓然、耇数掛け持ちしないず課の目暙金額を達成できない。

    田䞭の身䜓は䜓調䞍良を起こしがちであった。
    昔のようには戊えない。
    単䟡が安いずなるず圓然䜓制も薄い。若手メむンで係長が薄く入っお、を耇数案件持぀。
    新卒の時の䌚瀟のような文曞のテンプレヌトはないが、同じような案件ばかりであった。
    幞い他の係長が䜜った成果物が流甚出来た。

    田䞭は金額目暙ず戊い぀぀志を同じくする芪友のため無理をした。
    劎䜿契玄の䞊限を無芖しお働き続けおしたったのだ。


    - 再床の負傷

    倧型クラむアントの案件が高野の課に来た。
    高野担圓アプリをアプリず認識しおいる者ず
    システム構成の内郚たで知っおいる゚ンゞニアでは倧きな差があった。
    やれるのは田䞭、サブには、ず高野の頭脳が回転する。
    田䞭も蚀わなかったら蚀おうずしおいた䜓制だった。

    その頃、田䞭は颚邪を匕いた。
    軜い颚邪だず高を括っお、そのたた䞀か月仕事を続けおいたが声が出なくなるほど悪化。
    呌吞噚の専門医に芋おもらうず肺炎であった。
    再びの突然の䌑職ずなった。

    ただ高野は無理しおいる田䞭が倒れるかもしれないず思っお、既に手を打っおあった。
    だが、田䞭の離脱埌に田䞭担圓の耇数案件を他の係長に分散したが、党お炎䞊した。
    流石の高野も蚈算が狂った。
     
    田䞭が肺炎から埩垰したあず、高野が蚀った。
    「あの埌、炎䞊案件が倚くお倧倉だった。」
    本圓に死にそうなくらい倧倉だったのだろう、流石の高野ですら田䞭の病気を気遣う発蚀は無い。
    「そのせいで新芏案件取れなかったよ。」

    田䞭は察した。

    高野の課の数倀目暙が達成出来なくなったこず、それを達成するには数倀目暙が枛る必芁があるこず。
    ぀たり田䞭は課の皆の絊䞎評䟡のため、課から抜けざるを埗ないずいうこずを。


    - 䞭幎の呜の䟡倀

    田䞭は䌑職明けのため、ず本人志願により本郚付けになった。
    䞊叞は人栌者の䌊賀先茩。

    䌊賀先茩も田䞭ず同じく良いように䜿われお疲匊しおいるのがすぐに分かった。
    バスケの時ず違っお顔色が悪い。
    金村先茩が圹員ずしお䌊賀先茩に指瀺しお䌚瀟が回っおいるずいう、危うい構造であったこずを田䞭は初めお知った。

    頭の回転が速い金村先茩は矢継ぎ早に課題を芋぀け、明確なゎヌルを蚭定する。
    ただ実行する人を芋おない。芋ないようにする。
    工数の珟実や倚忙で疲れ果おおいる友人ぞの情に流され手が緩むからだ。
    そしお課題出しおゎヌルを蚭定したので、あずは珟堎でよろしくコヌスだ。

    圓然の結果、やるべきこずが終わらず山積しおいたのだ。
    係長が倧倉なのも把握しおいお、その察策も緎っおあった。
    だが、やれる人が居ない。
    䌊賀先茩も身䜓に䞍調を抱えながら仕事をしおいる。

    田䞭にも手䌝っお欲しいず金村先茩から業務呜什が出た。
    受諟するしかない。

    ゚ンゞニアのキャリアを捚おるこずになるが、故障しがちのアファフィフ䞭幎を雇う䌚瀟は無いだろう。

    䌊賀先茩を助けられるなら本望だ、ず田䞭は思った。
     
    テキパキず本郚の残務凊理が終わっおいく。
    こういうこずしたいなぁ、ず圹員が蚀った芁望を䌊賀先茩がタスク化しお田䞭が片付ける。

    䌊賀先茩は倚忙過ぎお話す時間が限られおいた。
    リモヌトワヌクでは無く出瀟しお隙を窺っお察面で䌚話しタスク化ずは名ばかりのメモのゎヌルを確認する。
    ロクに説明が無いのは田䞭の瀟䌚人生掻では圓たり前のこずだ。

    ただ困ったこずがあった。
    瀟内独自のルヌルずフロヌに぀いお䌊賀先茩しか知らないこずだった。
    圓然マニュアルも無く、調べる事も出来ず、必芁なものがあるのか無いのかも分からない。

    リモヌトワヌクの匊害でコロナ犍の前よりミヌティングが増え、結果的に定時内党お埋たっおいる状況であった。
    明らかに無駄な䌚議が倚いが敎理する時間もない。

    そんな䌊賀先茩に田䞭が質問するも
    「考えおみお、すたん今からミヌティングなんだ」
    そしお戻っおきた時に、こういう目的なので、仮説ベヌスでこういう事をしないずいけない、ず田䞭が説明し始めるず、すぐに話を遮り遠からん者も音にも聞けず蚀わんばかりの声量で

    「ちがう」ず小さな瀟内党員に蜟く怒号。

    「すたん今からミヌティング」ず、こそっず蚀っお
    すぐ離垭した。 

    この「考えお」・「違う」のルヌプは時間おきのミヌティングの合間に発生し続けた。
    知っおいる人は知っおいるだろう。

    いわゆるダブルバむンドずいう心理テクニックである。

    これは吉川も䜿っおいたが端から芋るず指導に芋え「パワハラ」じゃないけど、盞手は「どう考えおも吊定される」ずいう孊習をしお思考停止・自信喪倱・䞊叞ぞの䟝存をさせる心理テクニックである。

    倧䜓が瀟員を粟神的に远い蟌み、蟞職させる事に応甚する良く知られた手口である。

    ただ䌊賀先茩には、田䞭を退職に远い蟌む意図は無さそうだった。
    雑談できる時に田䞭は、かたをかけお䜕床も確認した。

    恐らく䌚瀟を運営できるのが自分だけずいう奎隷の銖茪自慢のためか、単玔に䞋を指導出来ないタむプなのか。

    仕事での䌊賀先茩がどんな人かは知らず田䞭には刀断が぀かなかった。
     
    そんな倚忙な䌊賀先茩にも、たれにミヌティングが少ない日もある。
    その時、田䞭は䌚議宀を確保し䌊賀先茩が独自で䜜ったルヌルに぀いお聞きたいず話をした。

    ファむルを送る䌊賀先茩。
    「ファむル芋お考えおごらん」
    田䞭は刀断が぀いた。
    人を育おるポヌズした仕事ごっこ。
    そしお叩き朰しお支配䞋に眮くマニュピレヌタヌか぀奎隷の銖茪自慢であるこずを。
    䌚瀟を回しおいるのは、あくたで自分ずいう優越感が瀕死の䌊賀先茩を支えおいるのだろう。

    『わかりたせん。』ず圓然の回答をする田䞭
    「どうすればよいず思う」
    『䌊賀先茩が私に説明をしおく---』ず蚀い始めた田䞭を遮り
    「そんな時間無いから、自分考えお説明しおみお」ず䌊賀先茩。

    䌚議宀は䞀時間ある。
    䌊賀先茩が自分で考案、䜜成した独自ルヌル・フロヌである。
    時間内で説明は終わるが䌊賀先茩には、圓然その意思は無い。


    時は流れる。

    季節ものの独自ルヌルもあるが田䞭は知りもしない、
    知らないこずは圓然出来ないので䌊賀先茩に倧声で怒鳎られる。
    ものの数分で䌊賀先茩からの説明が終わり、田䞭が察応する。

    䟝頌ず期限がギリギリなので倚忙な業務郚門からは非難蜟々である。
    苊情は䞊局郚に䞊がり、圹員にも叱られる。
    田䞭はこの仕打ちを半幎くらった。

    圓然この心理テクニックは仕組みを知っおいおも垞人には耐えられない。
    田䞭は、さらに重床の鬱病で䌑職した。

    【䜜品に぀いおのご案内】
    本䜜品はフィクションです。実䜓隓に基づき再構成しおいたすが、䜜䞭に登堎する人物・団䜓・出来事は、実圚のものずは䞀切関係ありたせん。
    執筆坂本梚颚


     
     
    坂本梚颚さかもずりふう 就職氷河期䞖代の生き残り。 過去から孊び、珟圚そしお未来ぞず諞孊問の叡智を借り倚角的な芖点でAIず共に思考実隓をしおいたす。 次の䞖代にバトンを぀なげるために地球の未来を思考するクリ゚むタヌずしお新しい物語を綎ろうず思いたす。

    あなたぞのおすすめ