メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【3/10 第2章】就職氷河期の男 ―― バブルの花火垫

    第章 バブルの花火垫

    - 倧量採甚するのはなぜか

    田䞭が入瀟した䌚瀟を仮に瀟ず呌がう。
    メディアで広告を打っおいる蚳ではないので就掻するたで名前すら知らない䌚瀟である。ただし本業では業界倧手である。

    なお、システム開発郚門は新卒名である。
    か月の新卒研修埌の月から倧芏暡開発プロゞェクトぞの参画である。
    新人を成瞟順で垌望するグルヌプに配属する。
    田䞭は圚孊䞭から真面目に課題に取り組んでいたため成瞟䞊䜍である。
    圓初予定通り開発を垌望した。

    倧芏暡案件は本圓の話である。
    ケヌスツヌルを䜿い、倧枠のプログラムを自動生成し業務郚分を䞻に䜜りこむ。
    デヌタベヌスから取埗し、デヌタを加工しお衚瀺、远加、曎新、削陀を行うずいうシンプルな内容であるので若手でも出来るだろうずいう芋立おである。


    䟋を挙げよう。

    䟋えば吉川先茩[仮名]が担圓した、郚品の構成芁玠を別郚品にコピヌする機胜があった。
    蚭蚈曞では、初期衚瀺で郚品䞀芧を出す、遞択した構成芁玠をコピヌするずだけ。
    圓然、コピヌ元で遞んだ郚品をコピヌ先で遞んだ堎合、コピヌしないようにする必芁があるが蚘茉はない。

    どんな機胜なのか蚘茉もないので田䞭は想像も぀かず分からない。
    吉川先茩に聞いおも教えおくれない。
    恐らく圌は䜕も分かっおないのだろう。

    圓然、テスト結果は䞍具合だらけ。
    「しっかりしろよ」
    吉川先茩はそう怒鳎り、田䞭の尻にケリを入れた。

    滅茶苊茶である。
    だが培倜でプログラミングをしおいる田䞭には怒りも沞かない。
    怒る気力もない。
    疲匊しきっおいた。

    結局、この機胜は業務芁件を知っおいる人がたたたた別チヌムに居お、郚品ず構成芁玠がデヌタベヌス䞊でどうなっおいるかを説明しおもらい、すぐに完成した。

    䞇事がこのような状況で進み、システムをクラむアントに枡す日、
    ぀たり「リリヌス日」盎前たで修正が入った。

    こうしおいる間に、新卒の同期の䞀人に連絡が぀かなくなった。
    先茩の䞖代も䜕人か退職しおいた。


    この倧芏暡開発の䜓制は名を超えおいた。
    瀟員以倖にも倖囜人、協力䌚瀟など瀟倖の䞀時的な人たちもいた。
    完党に統制が取れおおらず、培倜・終電組、タスクが無く定時で垰る人、䌚瀟で確保しおいるホテルでずっず寝泊たりしおいるひず。

    割り振られた仕事を片付け報告せずに、ネット察戊ゲヌムで遊んでいる人達が居るなど酷い状況である。
    のちに発芋された「働きアリの法則」そのものである。
    「䞀生懞呜働く割、普通に働く割、さがる割」の状況。

    ただ良いずころはあった。
    残業代はしっかり払っおくれた点である。
    田䞭の残業時間は毎月時間が普通だったので良い絊䞎だったが、朝から来おないのに来た事にした人が倧勢勀怠䞍正をしおいたので、モダモダしおいた。

    田䞭は割り振られた䜜業をスケゞュヌル通りこなすこずを䜿呜ず思い、腕を磚くための苊劎ず割り切っお歯を食いしばっお理䞍尜に耐えた。

    就職氷河期に倧量に人を雇うには理由がある。
    人が倧勢必芁な過酷な珟堎。
    数幎で同期の新卒は半分以䞋になった。


    - 新しい業界の理想ず珟実2000幎代初頭

    システム開発䌚瀟SIerが厳しい業界ブラックずいうのは聞いおいた。
    たた土朚䜜業に䌌おいお蚭蚈しお工事、各皮テストを行い玍品するず。
    ただ新しく出来た業界だったので、きっず、どの䌁業も手探りだったのだろう。

    顧客がしたいこずを高額のコンサルタントが入り芁件を敎理・定矩し、
    その内容から䞀段安いSIerが蚭蚈以降を担圓する。
    堎合によっおは二次請け、䞉次請け、ずなりピンハネしおやらせる。
    掟遣瀟員もいたが正瀟員䞊みに働かされ安く、こき䜿われる。
    こういう構造も䌌おいた。

    倧芏暡システムのプログラミングを簡単にするために雛型を䜜る色々なケヌスツヌルが出た。
    圓たれば提䟛䌚瀟は倧儲けである。

    ただ土朚ず違い業界は無免蚱の蚭蚈・建築である。
    倖芋は華やかだが䞭身が危うい。
    田䞭が経隓した残業地獄、炎䞊案件は業界甚語でデスマヌチずいう。
     
    子䌚瀟が倧きな花火のように玠敵だけど無茶な提案をしお取っおきた倧型案件で倱敗し、本瀟で䜕ずかしたずいうのが事の顛末であった。
    なお、その子䌚瀟は統廃合しお花火のように消えた。
    出来もしない調子のよいこず蚀っお倱敗しお消えおいく人を
    田䞭達新人は「花火垫」ず呌んで揶揄
    した。

    玉石混亀のカオスな空間だったが優秀な人間も倚くいた。
    田䞭にずっお良かったこずはダメな䟋も良い䟋も䞡方芋るこずが出来たこずだ。
    䜓力的にはき぀かったが田䞭の圓初の想定通り埗るものがあった。

    優秀な人間が簡単に䜜れるようにマニュアルを䜜っおくれおいたが、
    報連盞が機胜せず党䜓に展開されずに埋もれおいた。
    ドキュメントも党行皋で䜕を䜜るべきか定矩しおおり、テンプレヌトも甚意しおいた。
    だが混乱する珟堎では、たばらに情報が䌝達され知らない人が倧倚数である。

    ただWindowsですら埌から䞍具合修正するずいう業界の慣習が、
    倚少䞍具合があっおも玍品させおもらえたので幞運ずいうしかない。

    よく考えおほしい。
    実物の補品で䞍具合があったら、ふ぀うは回収・返金である。


    - 責任者の背䞭

    話を田䞭の新卒時の倧芏暡開発に戻そう。
    連日の終電・培倜続きで新卒も幎目も私服が倚かったが田䞭はスヌツ姿を貫いおいた。
    ただ考えるのが面倒なほど疲劎しおいただけなのかもしれない。

    「田䞭。この倧量の印刷物をお客様に玍品するから荷物を運ぶのを手䌝っお。」
    ただ倧量すぎお䞀人で持ちきれないずのこずで唯䞀スヌツ姿の田䞭を呌んだ。
    『承知したした。』
    䞍具合修正䞭の田䞭は手を止め、䞊叞の遠藀さん[仮名]の呜什を受ける。

    タクシヌで移動し、クラむアントの本瀟に到着。
    初めおの名刺亀換か、ず田䞭は思った。
    瀟内を通され、応接宀に倧量の印刷物をもっお入宀。
    クラむアントのプロゞェクト管理者が居た。

    気難しそうな顔をしおいる痩せた䞭幎。
    田䞭は名刺亀換をしようずしたが、遠藀さんが制止した。
    なぜ
    䞍思議に思う田䞭。
    だが、すぐに理解した。

    クラむアントが玍品物をペラペラずめくりだし始めた。
    「ここの眫線が違う。コピペしたら盎せよ」
    「この行、文字が芋えないじゃん、こんなんだからダメなんだよ」
    怒声が応接宀に響く。

    「申し蚳ございたせん。」
    謝る遠藀さん
    「謝る前に確認しろよ、ちょっず芋れば分かるだろうが」
    「確認したのかよ」
    怒声は続く。

    ヌヌヌそう。
    遠藀さんは田䞭をかばったのだ。
    ここで名刺亀換しおいたら田䞭にも飛び火する。
    敢えお田䞭を無関係な荷物運びの人ずしお扱った。
    関係するチヌムの䞀員なのだ、きっず火に油を泚ぐこずになる。
    管理者ずしお責任者ずしお、若手の盟になった遠藀さんは立掟であった。
     
    垰りのタクシヌで遠藀さんは田䞭に話をした。
    「灰皿が飛んでこないだけマシだよ」
    「田䞭は印刷ミス関係無いのにゎメンな」
    「戻ったら皆で確認しお玍品しないずね」
    『承知いたしたした。遠藀さん、申し蚳ございたせん。』
    いいよ、いいよ、ず呟く遠藀さん。

    田䞭は田䞭で倧倉であったが、遠藀さんも倧倉であったのだ。
    この人も田䞭同様、貧乏クゞを匕いたのだ。

    クラむアントからのクレヌムの防波堀を䞀人黙々ずしおいたのであった。
    クラむアントから若手を守っお、仕事に集䞭させおくれおいたのだなず田䞭は理解した。

    二回目の印刷物の玍品は埌日無事終わった。

    その埌、プロゞェクトの玍品が党お終わったのを芋届けた遠藀さんは故郷に垰るず蚀っお静かに蟞職した。


    【䜜品に぀いおのご案内】
    本䜜品はフィクションです。実䜓隓に基づき再構成しおいたすが、䜜䞭に登堎する人物・団䜓・出来事は、実圚のものずは䞀切関係ありたせん。
    執筆坂本梚颚


     
     
    坂本梚颚さかもずりふう 就職氷河期䞖代の生き残り。 過去から孊び、珟圚そしお未来ぞず諞孊問の叡智を借り倚角的な芖点でAIず共に思考実隓をしおいたす。 次の䞖代にバトンを぀なげるために地球の未来を思考するクリ゚むタヌずしお新しい物語を綎ろうず思いたす。

    あなたぞのおすすめ