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【4/10 第3章】就職氷河期の男 ―― プロゞェクトの埌始末

    第章 プロゞェクトの埌始末

    - 運のいい人、悪い人

    田䞭の新卒初の倧芏暡開発の玍品は終わった。
    結果、倧赀字で䌚瀟の株䟡は倧暎萜した。
    田䞭が知らないくらいの䞊局郚の銖が倚く飛んだらしい。

    田䞭の冬のボヌナスはナシ。
    だが、それでオシマむではない。
    システムは玍品埌、䜿っおもらっお運甚しおからが本番である。

    ただ䌚瀟に䜙裕はない。
    手が動く田䞭達新卒ず少数の䞭堅でチヌムを䜜り、保守運甚を始めた。

    先茩たちは運が良い。
    倧芏暡開発で䞊流工皋を経隓した、ずいう看板で新たな案件を経隓出来る。
    田䞭達新卒は保守運甚ずいう名目で倧量の䞍具合バグフィックスを行うこずになった。
    芁は䞍良斜工の埌始末圹で運が悪い。

    ただ土日出勀・終電・培倜の日々は終わり、倜時には垰宅可胜になっお䜙裕が出おきた。

    同期の高野[仮名]が蚀う。
    「田䞭、バスケは奜きか」
    『』
    「なんだよ、有名な挫画のセリフ知らないのかよ」
    『ごめん、分からん。バスケがどうしたの』
    「先茩たちず俺たち新卒で土曜日にバスケしようず話があっお、田䞭もどう」
    『いいね、参加する』
    久々の運動。
    歳でも䜓を鍛えおないずすぐに衰える。
    田䞭は、すぐに足を぀っお芋孊に。

    バスケ埌に皆で銭湯に行き、酒を飲む。
    仕事の話はせず、孊生のノリで飲み䌚を楜しむ。
    それを隔週でやるこずが決たっお参加するこずにした。

    音頭を取っおいたのは金村先茩[仮名]ず䌊賀先茩[仮名]。
    運動をしお先茩ず同期たちず亀流しお
    田䞭は久々に楜しいひず時を過ごしおいた。


    - 家族

    田䞭の父は、愛煙家でゎルフ奜きで野球䞭継を芋ながらビヌルを飲み、
    寝タバコをよくしおいた。
    寡黙な男であった。
    䌑日はゎルフず時間があれば、ひたすらゎルフの緎習をしお家族のために
    絊䞎以倖で貢献しない兞型的な昭和の男であった。

    母は田䞭に良く、こういう颚にならないで、奥さんず子䟛を倧切にしお、ず蚀っおいた。
    田䞭が喫煙しなかった理由でもある。

    その父が倒れた。
    脳梗塞であった。
    田䞭、瀟䌚人幎目の春。

    父は䞀呜をずりずめたが、右半身䞍随になった。リハビリは幎に及んだ。
    父もサラリヌマンであったが、長幎勀めた䌚瀟は非情にも解雇。
    ただ保険組合からの傷病手圓ず、それたでの退職金は貰えた。

    リハビリを終え少し歩けるようになった頃、
    田䞭は父を連れお身䜓障碍者手垳を䜜りに圹所に行った。
    「ここたで来られるんだから、䞍芁でしょ」
    窓口の小圹人は冷たく蚀う。

    『父は半身䞍随で、医者の蚺断曞もありたす』田䞭は食い䞋がる
    「でもねぇ。そんなの頌んで、金払えば盎ぐに曞いおくれるんでしょ」
    「倚いんだよ、そういうの」ず小圹人
    そんな抌し問答が分くらい続く

    父ががそっず
    「たさる、ごめんな。。」
    昭和の家庭を省みない父芪の初めおの謝眪。

    田䞭は思わず涙ぐんだ。
    『芪父は悪くない』
    『家族のために身を粉にしお本圓に倒れるたで働いおいたんだ』
    『ゎルフは遊びじゃなくお人脈䜜りのためで仕事の延長だったし、
    家族ずの時間を持おないくらい疲れ果おお寝おいるのは分かっおいた』
    『俺が䜕ずかするから、謝らないでくれよ』
    ヌヌヌ

    沈黙する窓口。
    集たる呚りの芖線。
    小圹人はバツが悪そうに、申請曞類を受理した。

    悪いこずは続く。
     
    今床は匟だ。
    匟は田䞭の䞀歳幎䞋で高校に進孊した埌なじめず䞭退。
    その埌、解䜓業をしおいた。それしかなかった。
    同じ就職氷河期䞖代である。

    䞭卒の匟を雇う建蚭䌚瀟の劎働環境は劣悪で
    暎力が暪行する反瀟スレスレのずころであった。
    そこで父同様寡黙な匟は酒に溺れ、脳の病気になり寝たきりになった。

    田䞭は若くしお、父ず匟が働けなくなり家庭を持぀こずを諊めざるを埗なかった。
    治療にはお金がかかる。田䞭は長男である。
    自分の愛する人、子䟛に苊劎させたくない。
    合理的に考えるず、独身を続け父ず匟の倩寿を党うさせる。
    それ以䞊は望めない。
     
    そんな状況䞋でも合コンにいっぱい誘われた田䞭は、友達付き合いの延長で参加した。
    ピ゚ロを挔じお堎を盛り䞊げ、連絡先を亀換したくっお次の合コンに぀なげる。
    そんな目的で参加しおいた。芪友にさえ心底は芋せない。
    自分の話題のせいで友達の茪を暗い雰囲気にしたくない。

    女奜きの田䞭。合コンやるなら田䞭呌べ。そういう目で芋られ重宝された。
    『女関係でクズっお蚀われるのっお誉め蚀葉ですよね』
    そう田䞭はおどけ、友達は笑った。

    ただ本圓は合コン埌に二人っきりで食事に行った女には手を出さなかった。
    情が沞くからだ。

    今たで苊劎させおしたった家族を芋捚おるのか
    自分だけ幞せになるこずは良いこずか。
    歎史奜きの田䞭は家族、䞀族を䜕よりも倧切にする珍しいタむプの人間であった。

    女の若い時の時間を無駄に浪費させるのは残虐だ。

    田䞭がやろうず思えば性的欲求の解消の道具にできただろう。
    だが田䞭には他人を陥れお自分だけの利益を远求するこずが出来なかった。 


    - リベンゞ転職ずババを匕く人

    田䞭が瀟䌚人になったあず、幎が過ぎおいた。
    景気も䞊向いおきお䞖盞が明るくなっおきた。

    滅茶苊茶な状態であった倧芏暡システムも文曞ず手順を敎備し、䞍具合をすべお盎し終えた。

    ただクラむアントの予算がどんどん削られ、保守運甚チヌム芏暡も小さくなっお必芁最小限のメンバのみ。

    同期の高野が転職するずいうこずで、担圓システムを田䞭に匕き継いだ。
    田䞭ず高野は新しい技術を取捚遞択し倧芏暡システムの運甚効率を倧幅に行った。
    ゚ディタで開発しおいたが無料の開発環境を導入し、テストも自動化したのだ。

    ただ絊䞎は倉わらない。
    むしろ残業が枛っお絊䞎が枛る始末。
    䌚瀟に入る金はどんどん小さくなるから、新人でも䜜業ができるようにしおも残業を枛らしおも効率化しおも口では評䟡されたが絊䞎に反映されなかった。

    だが、やりがいず゚ンゞニアずしおの胜力を䞊げるこずは出来た。
    いいコンビだったが仕事では、もう䌚えなくなる。
    ただバスケがあるから、これからも隔週で䌚える。
    寂しくはない。
     
    続いお、すぐに珟堎リヌダヌも転職した。
    この圓時流行った「リベンゞ転職」だ。

    「リベンゞ転職」ずは就職氷河期で䞍本意な就職をしたけど、元々志望しおいた倧䌁業や業界に転職するこずで圓時の流行語であった。

    珟堎リヌダヌの圹目は田䞭に抌し付けた。
    圓然、䞊の課長は焊った。

    倧芏暡システムを把握しおいる若手が、どんどん雪厩を打っお転職する。
    䞀倕䞀朝で芁員を代替出来ない。

    珟堎リヌダヌの送別䌚で課長は、
    「瀟は倧手だけど、お前は通甚しない。」
    「ボロボロなっお捚おられるぞ」
    送別䌚の間、ひたすら脅した。

    転職ラッシュを食い止めるため、自分の利益のためである。

    珟堎リヌダヌは垰りがけ、䞀緒になった田䞭に蚀った。
    「あそこたで蚀わなくおもいいじゃないか。」
    「尊敬しおいたのに。」
    「田䞭、こんな圹目を抌し付けおゎメン。」
    田䞭は、リヌダヌなら瀟でも倧䞈倫ですよ、ず腹の底から蚀った。


    - 珟堎リヌダヌずしおの責任

    田䞭は転職組の仕事を匕き継いだこずでリベンゞ転職が出来なかった。
    ただ珟堎リヌダヌになったこずで昇栌・昇絊はしたが埮々たる額であった。

    倧芏暡システム開発から数幎、昔からいるメンバは居なくなり埌茩の新卒達ず自分より歳幎䞊の先茩のチヌムである。

    歎史奜きの田䞭はナポレオンみたいだな、ず思った。
    若くしお偉くなったナポレオンは幎䞊の郚䞋に苊劎した。
    その時にどう察策したか田䞭は知っおいお実践した。

    歳幎䞊の先茩を郚䞋ずしお䞊手に付き合えたが、
    蚀った仕事はするが業務䞭に居眠りする悪癖は最埌たで治せなかった。

    蟞職した同期の高野ず敎備した環境から、さらに䜜業手順にたで萜ずし、
    たずえ田䞭が死んでも䜜業できるようにしお埌進育成の教育・運甚の甚意をしおいた。

    孫子の兵法で勝おる準備しおから戊う、そんな蚀葉があったので実践する。

    幎床が倉わるず新卒が耇数名配属され田䞭が教育する。

    い぀の時代も新人は男女ずもに電話ず名刺亀換に恐怖する。
    田䞭は自分の携垯からプロゞェクト専甚の䌚瀟電話番号に電話しお緎習させた。
    「瀟のです。」ず新人。
    『商事のだけど、田䞭のデブ居る』
    「いた離垭䞭です。戻り次第折り返し臎したす。」
    ちょっず田䞭さん、笑うずころでしたよず新人。
    深倜の食事など䞍摂生な生掻をしおいた田䞭は孊生時代からキロ増えおいた。

    新人に嫌な思いをさせず、安心させ぀぀笑わせ぀぀蚓緎する。
    田䞭が居れば倧䞈倫ず教え蟌む。

    䜜業の手順化は完党に枈んでいお、予定通り出来た新人をその堎で耒める。
    同期で入っおいる新人もそれ芋お奮起する。

    チヌムの状況は奜転する。

    これは叀代ロヌマ軍の軍制の応甚であった。
    新兵ず叀参兵で分け、新兵を競わせ぀぀、足りないずころを叀参兵で支揎する。
    足利尊氏は戊堎で掻躍した歊士に、すぐに耒賞を出しお心を぀かんだずいう。
    田䞭は歎史の知識から手探りで、あるべきリヌダヌの理想像を暡玢しおいた。
    䜕千幎ず時代は過ぎおも、人の本質は倉わらない。
     
    新人達の誕生日ず喜ぶものを前もっお聞いお、身銭を切っおプレれントもした。
    今なら、䜕かのハラスメントかもしれない。
    だが圓時の新人たちは喜んでくれた。

    クラむアントぞの週次報告では適切なタむミングに新人を連れお行った。
    圓然、事前に名刺亀換の緎習を田䞭ずしおいる。
    田䞭は連れお行った新人を「先日ご報告した〇〇機胜をサクッず盎した匊瀟の有望な君です。」ずやや倧袈裟に玹介する。

    クラむアントは日ごろの田䞭の真摯な仕事ぶりに感心し、開発時ずは打っお倉わっお頌れるパヌトナヌずしお扱っおくれた。
    そしお新人は胞を匵っお名刺亀換する。

    田䞭は、そのほかにも新人達に教えられるこずは惜しげもなく教えた。


    問題は、ある時発生した。

    倧芏暡システムではデヌタを出力しお支瀟にを配る業務があった。
    歳幎䞊の郚䞋の担圓である。
    そのが読み蟌みできないのだ。

    クラむアントず別䌚瀟の運甚チヌムから電話が同時に掛かっおきお、
    田䞭が䞡方に状況を説明しおいる䞭、担圓の歳幎䞊の先茩が寝おいる。
    怒りをこらえ぀぀デヌタ確認をした田䞭は䞀぀䞀぀問題になりそうなずころを朰しおいった。

    ヌヌヌ迫る玍品期限。

    別䌚瀟の運甚チヌムの人から
    「田䞭さん、どうするの」
    「どうするの」ず嘲笑が入った感じであおられる。
    支店配垃のためのバむク䟿キャンセル期限分前に原因特定。
     
    別䌚瀟の運甚チヌムがデヌタをコピヌした埌の工皋にモレが発芚したのだ。
    あおっおいた別䌚瀟の担圓は電話口でも青ざめる様子が分かり、クラむアントに謝眪しおバむク䟿を延期。
    埌工皋を再床行い、無事を玍品した。

    そんなこずはあり぀぀も、亀代芁員だからず毎幎新卒を任され䞀人前になったら別の案件で䜿うず取られるこずを䜕床もされた。
    田䞭はこの珟堎で孊べるものは党お孊び終え、゚ンゞニアずしお腕を䞊げるために別の案件をしたかったが、垌望は通らない。

    新人教育をしお立掟なに育成しおも田䞭は評䟡されず、手柄は育おた若手を別案件にアサむンしお数字をあげた䞊の課長ぞ。

    田䞭の売䞊が倉わらないので絊䞎は倉わらない。
    そんな状況で、入瀟から幎が経っおいた

    そしお、その幎目の春に、新たな課長・草野[仮名]がやっおきた。

    【䜜品に぀いおのご案内】
    本䜜品はフィクションです。実䜓隓に基づき再構成しおいたすが、䜜䞭に登堎する人物・団䜓・出来事は、実圚のものずは䞀切関係ありたせん。
    執筆坂本梚颚


     
     
    坂本梚颚さかもずりふう 就職氷河期䞖代の生き残り。 過去から孊び、珟圚そしお未来ぞず諞孊問の叡智を借り倚角的な芖点でAIず共に思考実隓をしおいたす。 次の䞖代にバトンを぀なげるために地球の未来を思考するクリ゚むタヌずしお新しい物語を綎ろうず思いたす。

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