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Photo byoffice344toma

一粒の時を紡いで

    概要


    16歳~85歳までの一人の人生を描いた短歌集となります。
    自分に当てたり、友人に合わせたりしながら読んで頂けると幸いです。

    第一章:どんぐりと背比べ(16歳〜18歳)

    背伸びして
    必死に掴んだ
    チャンスさえ
    並べば皆んな
    背丈が同じ

    転がって
    進めば道と
    思う間に
    やり方違(たが)う
    手法と戦法

    落ちていく
    どん底悔やむ
    這い上がる
    下がって上げる
    好意と好感

    朝ドラの
    主役はいつも
    笑顔丸
    親が観ていて
    気になる自分

    努力した
    結果は無事に
    結ばれて
    来春私は
    名門大へ

    第二章:「天才といえど 」18歳〜22歳

    自分さえ
    冴えてた才能
    生かすべく
    挑む世界は
    雲より高く

    クラス仲
    いつの間にやら
    仲が出来
    置いていかれる
    孤独の性より

    勧誘で
    入ったサークル
    騒音部
    ストレス発散
    掃き溜め会へ

    恋仲や
    進めば都
    戻る恥
    一歩が中々
    出ずに去るなり

    就職も
    決まれば安泰
    余裕顔
    ここでも闘う
    ライバル達よ

    第三章:「消えない傷は永遠に」28歳


    沖合で
    触れた手払い
    頬に傷
    別れた我は
    酒におぼれる

    髭を剃る
    鏡の中に
    あの時を
    忘れる事に
    朝に疼きぬ

    安焼酎
    薄める水が
    足りなくて
    苦い記憶を
    そのまま飲み干す

    腫れた頬
    拭いハンカチ
    当ててても
    変わらぬ気持ち
    思いぞ募る

    番外編:「歳追うが馬」30歳&8歳

    年食うが
    喰われてしまう
    人間に
    追うものすべて
    先を越してる

    幼子や
    観る物全て
    新鮮化
    目新しさより
    自分の好きよと

    小学よ
    少額持って
    駄菓子屋へ
    募った仲間は
    露知れどこへ

    大人たち
    どうしてそんな
    生き急ぐ
    流れる時間
    皆同じけり

    第四章:「再会そして」36歳

    あの時の 
    彼女が側に 
    居てくれて 
    過去の思い出 
    語り合うなり

    沖合で
    語る2人は
    あの時の
    頬の痛みも
    消え行き空に

    第五章:「惑わぬふり 」40歳

    守るべき
    我が子が生まれ
    泣き顔で
    抱いたあの日を
    忘れることは

    鏡見る
    若さの消えた
    目元には
    父に似た皺
    笑うと深く

    子の笑顔
    仕事の疲れ
    吹き飛ばす
    それでも夜は
    酒を傾け

    惑わずと
    孔子は言えど
    まだ迷う
    それでも明日
    来ると信じて

    第六章:「夕映えの傷 」50歳

    夕焼けの
    赤さに染まる
    帰り道
    あの頃よりも
    遅くなりたり

    部下の名
    すらりと出ずに
    詫びる朝
    老いとは斯くも
    静かに来るか

    体より
    先に折れゆく
    心あり
    それでも明日
    また立つと誓う

    傷跡は
    消えたと思い
    いたけれど
    夕日に透けて
    また浮かぶなり

    第七章:「還る季節 」60歳

    退職の
    日に貰いたる
    花束を
    妻と眺めて
    黙して過ごす

    故郷の
    山の匂いは
    変わらねど
    戻る自分が
    変わり果てたり

    親の墓
    石の冷たさ
    手に感じ
    詫びる言葉は
    土に染み込む

    子の子らが
    走り回れる
    庭先で
    老いた自分は
    縁側に座る

    第八章:「静かなる対話 」70歳

    昔日の
    自分に問えば
    何と言う
    正解など無い
    問いを抱えて

    妻の手の
    温もりだけが
    現にて
    夢と現の
    境さまよう

    孫の声
    騒がしいほど
    有難く
    静けさよりも
    賑やかが良い

    生きてきた
    道を振り返る
    秋の夜
    悔いもあれども
    それが我が道

    最終章:「死期の賛美」85歳

    泣つらに
    滴る水は
    汗の味
    忘れるなかれ
    人は皆生きて

    逝く前に
    もう一度だけ
    見たい顔
    浮かぶ笑みは
    皆あの世にか

    痛みさえ
    生きている証
    有難く
    息を吸うたび
    感謝が溢れ

    長い旅
    終わりに近く
    夕暮れに
    ありがとうの字
    口から漏れる

    #創作大賞2026 #オールカテゴリ部門

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