
【連載開始】 現代「非」アート宣言
これから新たな取り組み、現代「非」アートを始めることを宣言する。
作品や作家という対象について描写するのが美術批評、自らに起こった出来事を起点にして言葉を紡ぐのがエッセイだとすると、現代「非」アートはその双方に接近しつつも、どちらとも立場を異にする試みである。
現代「非」アートはいかなる制度においても作品化されていない街中の事物をきっかけに、時にその対象について語り、時には対象から離陸してイマジネーションの方へ飛行する。
壁に入ったヒビ、誰かの落とし物、どこからか射してくる光、それらはコンテクストに取り込まれることなく、出来事未満のところに留まるものである。

現代「非」アートはたんにそれらを取りこぼさぬよう目を向けるだけでなく、そこから自在に飛び回りながら、時に哲学的に、時に批評的に、時に散文詩的にテクストを立ち上げる。
制度について、作者について、出来事について、「私」についてさかんに語られるようになったある種の「密」の時代に、オフラインの世界で私が撮影した画像のみというほとんど文脈のない「疎」から言葉を立ち上げることは、書き手すらも予期せぬところへ連れていく可能性を持っている。日記のように日付という指標があるでもなく、撮影画像を唯一の指標として、自らが受け取る世界の感を出発点に、現代「非」アートを開始する。
【初回・4月号】