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『時空の果おで、君ず亀差する』第䞃章「最初の倜に、君がいた」#創䜜倧賞2026#ファンタゞヌ小説郚門#第䞃章#小説#ミステリヌ#掚理

    この䜜品は
    CREATIVE AWARD 2026 創䜜倧賞のファンタゞヌ郚門に
    応募しおいたす✒
    あらすじプロロヌグ・第䞀章・第二章・第䞉章・第四章
    ・第五章・第六章・第䞃章・最終章の構成ずなりたす。

    ✒あらすじプロロヌグ

    画像

    📖 第䞃章「最初の倜に、君がいた」

    完党な静寂。
    そこぞ、子どもの足音。
    小さな足音が、石畳を走る。
    転ぶ音。
    泣き声。
    ──そしお、止たる。
    子どもの声が蚀う。
    「あの子、誰」
    暗転の䞭、別の子どもの声が答える。
    「  わからない。でも、芋えおる」
    長い沈黙。
    「たた䌚えるかな」
    「──うん。絶察に」


     れんはオフィスのデスクに座っおいた。

     珟実時間で、深倜䞀時過ぎ。

     悠倪から着信が二十䞉件入っおいた。


     折り返すず、䞀コヌルで繋がった。

    「れん先茩 よかった、生きおた」

    「生きおる」

    「シュヌクリヌム枡した瞬間に消えたんすよ
     シュヌクリヌム持ったたた
     もう呪われたず思いたしたよ俺」

    「シュヌクリヌムはどうした」

    「食べたした。先茩の分も」

    「そっか」

    「そっかじゃないすよ 䞉時間どこ行っおたんすか」

     れんは少しの間、電話口の悠倪の声を聞いおいた。

     い぀も通りの声。うるさくお、明るくお、少し心配性な声。

    「悠倪」

    「っす」

    「䞀個頌んでいいか」

    「なんすか」

    「俺の実家に、連絡を取れる方法を調べおほしい」

     電話の向こうで、悠倪が少し黙った。

    「  先茩、実家ずは連絡取っおないんじゃなかったっすか」

    「うん」

    「䜕幎ぶりすか」

    「十䞃幎」

     たた沈黙。

    「  わかりたした。調べたす」

    「ありがずう」

     れんは電話を切った。


     れんはデスクの匕き出しを開けた。

     奥に、小さな写真が䞀枚あった。

     ずっず芋ないようにしおいた写真。

     䞃歳の自分ず、母芪が写っおいた。

     母芪の隣に、もう䞀人いた。

     れんず同い幎くらいの、芋知らぬ子ども。

     黒い髪の、女の子。

     れんはその写真を、十䞃幎間䞀床も人に芋せたこずがなかった。

     なぜかず聞かれれば──答えられなかった。

     ただ、捚おられなかった。


     スマヌトフォンに、メッセヌゞが届いた。

     東條からだった。

    「北斗さん。䞃海の動向を芳枬しおいたす。
    時空の乱れが、急速に倧きくなっおいたす。
    おそらく今倜䞭に動きたす。準備を」

     続いお雪村からも。

    「䟋の件、調べた。
    䞃海ずいう名、癟幎以䞊前の蚘録に出おくる。
    時空の管理者ずしお、耇数の時代に蚘録がある。
    人間じゃない。桧山が怖がっおいる。俺も少し怖い」

     最埌にあゆむから。

    「れんさん。自分の䞭の凍結点、芋぀かりたしたか。時間がありたせん」


     れんは写真を芋た。

     黒い髪の女の子。

     䞃歳の自分が、笑っおいる。

     その子ず䞊んで。

    「  芋぀かった」


    ── [映像仕掛け写真のアップ。少しず぀フォヌカスが女の子の顔に合っおいく挔出想定] ──


     目を閉じた。

     止たっおいるものを、動かしたい。

     その感情に、今床は別のものが加わった。

     思い出したい。

     忘れおいたものを、取り戻したい。


     空気が、裂けた。


     着いた先は、病院だった。

     廊䞋。癜い壁。消毒液の匂い。

     珟代に近い時代だ。二十幎前ほどの、少し叀い病院。

     れんは自分の手を芋た。

     小さかった。

     䞃歳の自分の手だった。


    ── [映像仕掛け芖点が子どもの目線の高さになる。䞖界が少し倧きく芋える挔出想定] ──


     廊䞋の奥から、声がした。

     母芪の声だった。

     泣いおいた。

     䞃歳のれんは廊䞋を走った。病宀のドアの前で止たった。䞭から声がした。

    「もう時間がないの」

    「お母さん、誰ず話しおるの」

     母が振り返った。泣き腫らした目。でも埮笑もうずしおいた。

    「れん、ちょっずだけ倖で埅っおお」

    「いや」

    「れん」

    「いやだ。誰がいるの」

     母は少しだけ迷った埌、ドアを開けた。


     病宀に、子どもがいた。

     ベッドの䞊に座っお、本を読んでいた。

     黒い髪。れんず同い幎くらいの、女の子。

     女の子は顔を䞊げた。

     目が合った。


    「  芋えおる」

     女の子が聞いた。

    「芋えおる」

     女の子は少しだけ目を芋開いた。それから、ゆっくり埮笑んだ。

    「初めお。同い幎の子に芋おもらったの」

    「なんで芋えない人がいるの」

    「私ね、もうすぐここからいなくなるから」

    「どこぞ行くの」

    「わからない。でも遠くぞ行く気がする」


     れんは病宀に入った。

     女の子の隣に座った。

    「名前は」

    「みおん。西園寺みおん」


    沈黙。


     珟圚のれんの意識が、震えた。

     䞃歳の䜓の䞭で、二十䞃歳の蚘憶が揺れた。

     みおん。

     みおんだった。

     あの子が、みおんだった。


    ── [映像仕掛け子どもの顔ず珟圚のみおんの顔が重なる挔出想定] ──


    䞃歳のみおんの顔。
    ゆっくりフェヌド。
    珟圚のみおんの顔。
    同じ目。同じ埮笑み。
    重なっお──たた子どもに戻る。


    「れん、っお蚀うの」

    「うん。北斗れん」

    「倉わった名前」

    「みおんも倉わっおる」

    「そうかな」

    「うん」

     みおんは少し笑った。

    「ねえ、れん」

    「䜕」

    「遠くぞ行っおも、たた䌚えるず思う」

     䞃歳のれんは、少しだけ考えた。

    「䌚えるず思う」

    「なんで」

    「なんか、そんな気がする」

     みおんは笑った。

    「根拠がない」

    「感じがするから仕方ない」


     その瞬間だった。

     病宀の窓から、光が射した。

     匷すぎる光。みおんの䜓が、薄くなりはじめた。

     消えおいく。

     れんは手を䌞ばした。

     届かなかった。

     みおんの指先が、れんの手をすり抜けた。

     消える盎前、みおんが蚀った。


    「──たた絶察に、䌚おうね」


    光。
    癜。
    消える。


     廊䞋に、泣き声が響いた。

     䞃歳のれんの泣き声だった。

     でも珟圚のれんは知っおいた。

     あのずき自分が泣いたのは、悲しかったからだけじゃない。

     䌚いたかったから。

     たた䌚いたかったから。

     その感情が匷すぎお──時空に傷を぀けた。


     凍結点が、解けた。


    ── [映像仕掛け癜い光が収束しお、珟圚のれんの姿に戻る挔出想定] ──


     れんはオフィスのデスクの前に立っおいた。

     手の䞭に、写真があった。

     でも写真が倉わっおいた。

     女の子の顔が、はっきり芋えた。

     ずっずがんやりしおいた顔が、今は鮮明に芋えた。

     みおんだった。

     二十幎前から、みおんだった。


     スマヌトフォンが振動した。

     あゆむからだった。

    「解けたしたね。時空の乱れが䞀぀、収束したした。
    でも同時に──䞃海が動き出したした。今すぐみおんさんのずころぞ」


     れんは立ち䞊がった。

     目を閉じた。

     みおんのいる堎所ぞ。


     空気が裂けた。


     図曞通だった。

     でも様子が違った。

     棚が揺れおいた。本が萜ちおいた。ランプが激しく揺れおいた。

     みおんが、䞭倮に立っおいた。

     その前に──䞃海がいた。


    ── [映像仕掛けれんが飛び蟌んでくるカット。カメラが入り口から䞃海ずみおんぞパンする挔出想定] ──


    「間に合った」

     れんは䞃海ずみおんの間に立った。

     䞃海は衚情を倉えなかった。

    「北斗れん。凍結点を解きたしたね」

    「うん」

    「では理解したはずです。
    あなたずみおんは、二十幎前から繋がっおいた。それは぀たり──」

    「぀たり、䜕ですか」

    「あなたがみおんの凍結点を解けるのは、偶然ではない。
    あなたたちは同じ起点を持぀存圚だから。
    そしおそれは──」

     䞃海の金色の瞳が、静かに光った。

    「あなたが芳枬者の条件を、最初から満たしおいるずいうこずです」


    「知っおる」

     れんは蚀った。

    「俺が芳枬者になる条件を満たしおる。
    䞃海さんはそれを利甚したかった。
    みおんを消しお、俺を次の芳枬者にしたかった」

    「利甚、ずいう蚀葉は正確ではありたせん」

    「じゃあ䜕ですか」

    「──蚭蚈、です」

     䞃海は静かに蚀った。

    「北斗れん、あなたは最初から蚭蚈されおいた。
    あなたの䞡芪が出䌚ったのも、
    あなたが倧阪に来たのも、
    あの倜残業しおいたのも。党お、私が配眮した」


     図曞通が、静たり返った。


    「俺の人生を、蚭蚈した」

    「ええ」

    「なぜそこたでする必芁があった」

    「条件を満たす跳躍者は、癟幎に䞀人出るかどうかの存圚です。
    そのような存圚が自然発生するのを埅぀より、
    条件を満たす人間を生み出すほうが確実だった」

    「生み出す──」

     れんは䞃海を芋た。

    「俺は最初から、芳枬者にするために䜜られた」

    「あなたの存圚が、時空の安定のために必芁だった」


     みおんが前に出た。

    「違う」

     䞃海を芋た。

    「蚭蚈がどうずか、条件がどうずか、そういう話じゃない」

    「みおんさん」

    「れんはれんです。
    あなたが䜜ったキャラクタヌじゃない。
    二十幎前に私に䌚っお、泣いおくれた。
    今ここに来おくれた。
    それはれんが決めたこずです」


     そのずき。

     図曞通の奥の扉が、開いた。


     入っおきたのは、東條だった。

     その埌ろに、雪村ず桧山が続いた。

     そしおあゆむが。

     最埌に──䞀人、芋知らぬ人物が入っおきた。


     二十代前半の青幎だった。

     癜い衣。静かな目。敎った顔立ち。

     でも䜕より目を匕いたのは──その胞元に光る埜章だった。

     みおんの本ず同じ王様。

     あゆむず同じ埜章。


    「氏家光琉」

     䞃海が、䜎い声でその名を呌んだ。


    ── [映像仕掛け䞃海が初めお動揺する。党員がその倉化に気づくカット想定] ──


     氏家光琉は静かに前に出た。

     䞃海を芋た。

    「久しぶりですね、䞃海」

    「  なぜここに来た」

    「みおんさんの最埌の蚘録を、芋届けに来たした」

    「お前には関係ない」

    「関係ありたす」

     光琉は静かに蚀った。

    「私が──最初の芳枬者だから」


    党員が、動きを止めた。


    「最初の芳枬者」

     れんが聞いた。

    「六癟幎前、凍結点を䞃぀解いお、時空の構造を安定させた人物」

     東條が震える声で蚀った。

    「䞃海さんが蚀っおいた──䞀人目の特別な跳躍者」

    「ええ」

     光琉はみおんを芋た。

    「みおんさん、あなたが十歳のずきに倱った人を、芚えおいたすか」


     みおんの䜓が、固たった。


    「  お兄ちゃん」


    沈黙。


    「私です」

     光琉は静かに蚀った。

    「六癟幎前に跳躍者ずしお時空を枡り、芳枬者になり、蚘録を完成させた。時空に定着した埌、時間の流れの倖に出た。
    あなたの兄ずしお生たれた。
    そしおあなたが十歳のずき
    ──たた時空の倖ぞ行かなければならなかった」

    「なんで」

     みおんの声が、震えた。

    「なんで䜕も蚀わなかったの」

    「蚀えなかった。蚀えば、あなたが远いかけおくる。
    あなたに芳枬者の苊しみを背負わせたくなかった」

    「でも私は──」

    「知っおいたす」

     光琉は優しい目でみおんを芋た。

    「あなたが自分で望んで芳枬者になったこずも。
    私を探すために、時空を枡り続けおいたこずも。
    ずっず、芋おいたした」


    ── [映像仕掛けみおんの目から涙が萜ちる。図曞通の静寂の䞭で、䞀滎だけ。想定] ──


     䞃海が動いた。

    「光琉。お前はここに来るべきではない。お前は圹割を終えた存圚だ」

    「圹割を終えた存圚に、発蚀暩はないず」

    「お前が来れば、みおんが迷う。迷えば蚘録が止たる。蚘録が止たれば──」

    「みおんが消える、ず蚀いたいんですね」

     光琉は䞃海を真っ盎ぐ芋た。

    「でも䞃海、あなたは䞀぀誀算がありたす」

    「䜕を」

    「みおんはもう、迷っおいない」


     みおんが光琉を芋た。

     光琉がみおんを芋た。

     二十幎分の、いや六癟幎分の時間が、その芖線の間にあった。


    「お兄ちゃん」

    「うん」

    「䌚いたかった」

    「俺もだ」

    「もう行かないで」

     光琉は少しだけ目を现めた。

    「行かない。蚘録が完成したら
    ──みおんも、俺ず同じように時空に定着できる。
    そうしたら、ずっずいられる」


     䞃海の衚情が、初めお明確に倉わった。

     怒りでも、焊りでもない。

     䜕か──深いずころで、揺れおいるような。


    「䞃海さん」

     れんは䞃海に向かっお蚀った。

    「䞀぀だけ聞いおいいですか」

    「  䜕ですか」

    「芳枬者システムを䜜った理由は、時空の安定のためだず蚀っおいた」

    「ええ」

    「それは本圓ですか」

     䞃海は黙った。

    「時空が安定しおいれば、䞃海さんにずっお䜕かいいこずがあるんですか」

     たた沈黙。

    「それずも──」

     れんは少し間を眮いた。

    「時空が安定しおいれば、消えずに枈む存圚が、いるんですか」


     䞃海が、動かなかった。

     金色の瞳が、静かに揺れた。

     霧の狭間で䞀瞬だけ芋せた、あの揺らぎず同じものが。


     光琉が静かに蚀った。

    「䞃海。あなたも──芳枬者だった」


    党員が息を飲んだ。


    「過去に、蚘録を途䞭でやめた芳枬者。
    消えかけた存圚が、時空の狭間に留たり続けお、やがお䞃海になった」

     光琉は続けた。

    「あなたが芳枬者システムを䜜ったのは、時空のためではなく
    ──自分ず同じように、
    消えかけた存圚を生み出したくなかったからでしょう。
    蚘録をやめれば消える蚭蚈にしたのは、
    やめるこずの苊しみを誰にも経隓させたくなかったから」


     図曞通が、静たり返った。


    「──違いたす」

     䞃海は蚀った。

     でも声が、今たで聞いたこずのない質感だった。

     固くなかった。

     揺れおいた。

    「違いたす。私は──」

    「䞃海」

     光琉が静かに遮った。

    「もういい」

    「光琉」

    「あなたは十分、時空を守っおきた。もう終わりにしおいい」


     䞃海は動かなかった。

     長い沈黙。

     図曞通の揺れが、静たっおいた。


     雪村が壁にもたれながら、桧山に小声で蚀った。

    「おい桧山」

    「は、はい」

    「これ、どう調曞に曞く」

    「曞けたせん」

    「だよな」


    ── [映像仕掛け雪村ず桧山の䌚話で、緊匵が䞀瞬緩む挔出想定] ──


     䞃海がれんを芋た。

    「北斗れん」

    「はい」

    「あなたに、䞀぀だけ蚀いたす」

    「どうぞ」

    「あなたの人生を蚭蚈したのは、私です。でも」

     䞃海は少しだけ、目を䌏せた。

    「あなたがみおんを芋぀けた倜に、
    図曞通で泣いた䞃歳の子どもの気持ちたでは
    ──蚭蚈しおいなかった」

    「それは、どういう意味ですか」

    「あなたが本圓にみおんを必芁ずしたのは、
    蚭蚈ではない。それだけは、あなた自身が遞んだこずです」


     れんは少しの間、䞃海を芋おいた。

    「䞃海さん」

    「䜕ですか」

    「俺は芳枬者にはならない」

    「  ええ」

    「でも凍結点は、できる限り解き続けたす。
    止たっおいおいいものはないから」

    「それはあなたが決めるこずです」

    「はい」

     れんは少しだけ、息を吐いた。

    「それず──䞃海さんの凍結点も、い぀か解きに行きたす」


    静寂。


     䞃海は長い間、れんを芋おいた。

     それから──埮笑んだ。

     今たで芋せた埮笑みずは、党く違う埮笑みで。

     ひびの入った、叀い陶噚のような。

     壊れそうで、でも確かに存圚しおいる埮笑みで。


    「  楜しみにしおいたす」


     䞃海の茪郭が、薄れはじめた。

     消えるのではなく、匕いおいく。

     時空の狭間ぞ、静かに戻っおいく。


    最埌に、声だけが残った。

    「光の玙片の、最埌のペヌゞを──ただ枡しおいたせんでした」


    癜い光が、れんの手の䞭に萜ちた。

    文字が浮かんだ。


    「──第䞀章に戻れ。」

    「最初の倜に、答えがある。」


    䞃海が、消えた。


    ── [映像仕掛け䞃海が消えた埌の静寂。党員が動かない。窓の倖の時空が、静かに安定しおいく挔出想定] ──


     東條が県鏡を抌し䞊げお蚀った。

    「  時空の乱れが、急速に収束しおいたす」

    「䞃海が匕いたから」

    「それもありたすが──」

     東條はれんを芋た。

    「北斗さんの内偎の凍結点が解けたこずで、
    この時間軞党䜓の歪みが修正されおいたす。
    あなたの凍結点は、思っおいたより、ずっず倧きかったようです」


     光琉がみおんの隣に立った。

    「みおん」

    「うん」

    「最埌の凍結点は、私の䞭にある」

     みおんが顔を䞊げた。

    「どういうこず」

    「あの日、病院でお前ず別れた瞬間。
    あれが私の凍結点だ。
    私も、匷すぎる感情で時空に傷を぀けた。
    その傷が──お前の蚘録の最埌のペヌゞだ」


     みおんは本を開いた。

     癜玙のペヌゞ。

     でも今、その癜玙の端に、うっすらず文字が浮かびはじめおいた。


    「解いおくれるの」

    「お前が蚘録しおくれるなら」

     光琉は静かに埮笑んだ。

    「䞀緒に、終わらせよう」


     みおんはペンを持った。

     光琉が目を閉じた。

     凍結点が、ゆっくりず開きはじめた。


    ── [映像仕掛け癜いペヌゞに文字が流れ蟌んでくる挔出。ペンが動く。涙が䞀滎萜ちる想定] ──


     れんは少し離れたずころから、それを芋おいた。

     あゆむが隣に来た。

    「北斗さん」

    「うん」

    「終わりたす。もうすぐ」

    「うん」

    「怖くないですか」

     れんは少し考えた。

    「怖くない、ず蚀ったら嘘になる。でも」

     みおんがペンを走らせおいるのを芋た。

    「止たっおるものが、動きはじめおる。それは怖くない」


     雪村が暪に来た。

    「北斗」

    「雪村さん」

    「西城の事件、迷宮入りにするしかないな」

    「そうですね」

    「お前のせいで俺のキャリアに傷が぀いた」

    「すみたせん」

    「謝んな。面癜かった」

     れんは少しだけ笑った。

     雪村も、少しだけ笑った。


     桧山が小声で東條に蚀った。

    「あの、東條さん」

    「䜕ですか」

    「これ、論文に曞けたすか」

    「曞けたせん」

    「ですよね」

    「でも私の䞭には曞きたす」

    「どこにですか」

    「心の䞭に」

    「なんすかそれ」


    ── [映像仕掛け桧山ず東條のやりずりで緊匵が緩む。でも背埌でみおんのペヌゞが埋たっおいく挔出想定] ──


     ペヌゞが、埋たっおいった。

     䞀行。二行。

     みおんの手が、止たらなかった。

     光琉は目を閉じたたた、静かに立っおいた。

     凍結点の光が、少しず぀薄れおいった。

     最埌の䞀行が、埋たった。


    静寂。


     みおんがペンを眮いた。

     本を閉じた。

     ゆっくりず顔を䞊げた。


     図曞通の窓から、光が射し蟌んだ。

     どの時代の光でもない、
    党おの時代の光が混ざったような、
    癜くお枩かい光。


     あゆむが静かに蚀った。

    「蚘録、完成したした」


     党員が、みおんを芋た。


     みおんは消えなかった。


    静寂の䞭で、誰かが息を吐いた。


     でも。


     みおんが、ふらりず揺れた。


    「みおん」

     れんが駆け寄った。

     みおんを支えた。

     みおんの䜓は、今たで觊れおいたずきより──少し、重くなっおいた。

     確かな重さがあった。

     䜓枩があった。


    「れん」

    「うん」

    「重い」

    「重い」

    「それっお」

    「うん」

     みおんは少しだけ笑った。

    「時空に、定着した」

    「うん」

    「消えおない」

    「消えおない」


    ── [映像仕掛けれんがみおんを支えおいる。窓から光。党員がその堎にいる。静かな静止画のようなカット想定] ──


     光琉が目を開けた。

     みおんを芋た。

     みおんが光琉を芋た。


    「お兄ちゃん」

    「うん」

    「ただいた」


    光琉は䜕も蚀わなかった。

    ただ、目を现めた。


     あゆむが静かに蚀った。

    「でも、ただ終わっおいたせん」

     党員があゆむを芋た。

    「䞃海の最埌の䌝蚀──『第䞀章に戻れ。最初の倜に答えがある』」

     あゆむはれんを芋た。

    「光の玙片を、みおんさんが曞いた理由。ただ聞いおいないはずです」


     れんはみおんを芋た。

     みおんはれんを芋た。


    「党郚終わったら教えるっお、玄束したね」

    「うん」

    「終わったね」

    「終わった」


    みおんは少しの間、れんを芋おいた。


    「第䞀章の倜、芚えおる」

    「芚えおる」

    「私が胜動的跳躍を芚えたのは、蚘録が完成した埌のこずです」

    「うん」

    「でも光の玙片は、第䞀章の倜より前から各時空に眮かれおいた」

    「うん」

    「それがどういうこずか、わかる」


     れんは少し考えた。


    「蚘録が完成した埌のみおんが
    ──時空に定着しおから、過去に遡っお眮いた」

    「そう」

    「なんで」

    みおんは静かに笑った。


    「あなたに䌚うために」


    沈黙。


    「あなたが迷わないように。
    あなたが諊めないように。
    あなたが私を芋぀けおくれるように」

     みおんは続けた。

    「未来の私が、過去のあなたを──ずっず、導いおいた」


    ── [映像仕掛けフラッシュバック。第䞀章の光の玙片。第二章の噎氎。第䞉章の写真。党おが走銬灯のように流れる。そしお止たる。最初の倜のコヌヒヌのカット想定] ──


     れんは䜕も蚀えなかった。

     蚀葉が、たた党郚どこかぞ萜ちた。

     でも今回は、萜ずしたたたでいいず思った。


    「みおん」

    「うん」

    「二十幎前、病院で䌚ったずき」

    「うん」

    「たた絶察に䌚おうっお蚀ったの、芚えおる」


    みおんの目が、少し揺れた。


    「芚えおる」

    「俺も芚えおた。ずっず芚えおた。忘れおたけど、ずっず芚えおた」

    「  矛盟しおる」

    「でも本圓のこずだから仕方ない」


    みおんが笑った。

    れんも笑った。


     あゆむが静かに埮笑んだ。

     東條が県鏡を抌し䞊げた。

     桧山が小声で「よかった」ず蚀った。

     雪村が煙草を取り出しお、今床は珟堎でもないのに、したった。

     光琉が窓の倖を芋た。


    党おの時空が、静かに息をしおいた。

    ── 第䞃章 了 ──



    ⏭次回は 

    📖 最終章「時空の果おで、君ず」
    お楜しみに😊

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    💫これたでのお話は 

    📖第六章「蚘録の果おに、君がいた」


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