リハビリの仕事って、身体を良くすること?🌱私が春枝さんから頂いたもの🌸【後編】
こんにちは🌱
今日の食後のコーヒータイム☕️には、文明堂のカステラを食べました🌸
(利用者さんが2枚くださったので☺️)
前編では、私が出会った92歳の春枝さんについて書きました。
今日は後編です。1分で読めます。
明るくて、よく笑って🌱
「そうかもしれないわね〜」と、何でも一度受け止めてくれる。
旅行が好きで、お友達がたくさんいて、家族に囲まれて。
そんな春枝さんとの時間は、私にとっても心地よいものでした。
でも、春枝さんには、リハビリを始めた頃から分かっていたことがありました。
肺腺癌のステージ4。
そして、余命は6か月ほどと伝えられていました。
少しずつ変わっていった身体🌱
治療のため、高額な内服薬も飲まれていました。
それでも、普段の春枝さんはお元気そうでした。
よく話して、よく笑って。
リハビリもして、天気が良ければ外にも出る。
私から見ると、いつもの春枝さんと変わらないように見える日も多かったんです。
でも、毎月の受診では、癌の数値が少しずつ上がっていました。
たまにだった吐き気や息苦しさも、だんだん増えていく。
食事の量が減り、身体も少しずつ痩せていきました。
そして最後の頃は、本当に畳み込むようでした。
息苦しさが強くなり、トイレに行くことさえ、途中で休まなければ難しくなりました。
在宅酸素も始まりました。
身体を動かすことそのものが、だんだん負担になっていったんです。
これまでのように「できることを増やす」ためのリハビリが、難しくなっていきました。
だから私は、その日の春枝さんに合わせることを、より大切にするようになりました。
少しでも呼吸が楽になるように。
少しでも身体の力が抜けるように。
少しでも気持ちよく過ごせるように。
「今日はどうしましょうか?」
その問いかけは、最後まで変わりませんでした。
「病気が治ったみたいに身体が軽くなる」🌸
そんな頃、ご家族から聞いた言葉があります。
「母は、まるさんが大好きだったんです」
そう言って、ご家族は笑っていました。
そして、
「まるさんが来た日は、病気が治ったみたいに身体が軽くなるの」

そう言いながら、肩を回す仕草をしてくれました。
その言葉を聞いたとき、私は何とも言えない気持ちになりました。
私は、春枝さんの病気を治したわけではありません。
癌の数値を下げたわけでもない。
息苦しさをなくしたわけでもない。
それでも、
「病気が治ったみたいに身体が軽くなる」
と言ってもらえた。
あぁ。
私が春枝さんと過ごしていた時間にも、ちゃんと意味があったのかもしれない。
そう思いました。
春枝さんにとって、リハビリは「身体を良くするためだけの時間」ではなかったのかもしれません。
私と話して、笑って。
身体をゆっくり動かして。
お天気が良ければ外へ出て。
桜を見ながら、
「気持ちいいわね〜」
と笑う。
そんな時間も、春枝さんにとって大切だったのかもしれません。
でも、それは私も同じでした。
春枝さんのところへ行くと、いつも心が温かくなりました。
何気ない話をしているだけなのに、気持ちがふっと軽くなる。
私は春枝さんの身体を整えに行っていた。
でも、心を豊かにしてもらっていたのは、私のほうだったんです。
最後の日🌱
そして、最後の日が来ました。
その日は、娘さんがスイカを用意してくれていました。
身体は以前より細くなっていて、呼吸も苦しそうでした。
それでも、春枝さんはいつものように明るく笑っていました。
スイカを食べて、
「美味しいから、まるさんもどう?」

とすすめてくれました。
私は、春枝さんと一緒にスイカを食べました。
まさか、それが最後になるなんて、そのときは思っていませんでした。
帰る時間になりました。
いつものように、また明日も会えると思っていました。
でも、帰る前に春枝さんが私の手を握りました。
両手で、ぎゅっと。

そして、まっすぐ私の目を見て、
「ありがとう」
と言いました。
たった一言でした。
でも、その「ありがとう」には、言葉だけでは表せないほどのものが詰まっているように感じました。
私は春枝さんの手の温かさを感じながら、
「こちらこそ、ありがとうございます」
と伝えました。
帰るとき、春枝さんの表情が、なぜか心に残りました。
少し寂しそうな。
何かを言いたそうな。
そんな表情でした。
私は、
「また明日も伺うから、会えるのに」
と思いました。
次の日。
春枝さんは意識を失い、そのまま亡くなりました。
その知らせを聞いたとき、最後に見た春枝さんの表情が頭に浮かびました。
「ああ、きっと分かっていたんだな」
そう思いました。
私は訪問車を運転しながら、涙が止まりませんでした。
悲しい。
もちろん悲しかった。
でも、それだけじゃなかったんです。
心に風穴が空いたような。
そこから冷たい風が入ってくるような。
そんな、寒々しい感じでした。
私は、何をしてあげたんだろう🌸
春枝さんのところへ行って、リハビリをしていました。
少しでも身体が楽になるように。
少しでもできることが続けられるように。
その人らしく過ごせるように。
でも、春枝さんが亡くなってから、何度も考えました。
私は、春枝さんに何をしてあげられたんだろう。
病気を治すことはもちろん出来ない。
身体を元通りにすることもできない。
それでも、最後までリハビリをさせてもらえた。
最後の日まで、「まるさんに来てほしい」と言ってもらえた。
そして今は、少し違うことを思います。
私は、春枝さんから、どれだけのものを頂いたんだろう🌸
「そうかもしれないわね〜」と、何でも受け止めてくれたこと。
いつも笑って迎えてくれたこと。
「今日はお天気が良いから外に行きたいな」と言って、一緒に公園へ行ったこと。
桜を見ながら、「気持ちいいわね〜」と笑ったこと。
帰る私を、見えなくなるまでベランダから見送ってくれたこと。
そして最後に、両手で私の手を握ってくれたこと。
全部、私の中に残っています。
春枝さんを思い出すと、今でも涙が出ます。
でも、それと同じくらい、温かい気持ちにもなります。
心の豊かさ🌸
私は、春枝さんから「心の豊かさ」というものを教えてもらった気がしています。
人を受け止めること。
人を大切にすること。
一緒にいる人が、なんとなく安心できるような人でいること。
そして、自分自身も人生を楽しむこと。
心の豊かさは、人生の豊かさにつながる。
春枝さんを見ていると、そんなことを強く感じました。
リハビリは、身体を良くすることだけじゃない。
その人が、その人らしく過ごせる時間を支えることも、リハビリなのかもしれない。
「今日はどうしましょうか?」
そう尋ねることも。
一緒に笑うことも。
桜を見に行くことも。
その人にとって大切な時間を、一緒につくっていく。
それも、リハビリなのだと思います。
私は、春枝さんとの時間を通して、そのことを教えてもらいました。
そしてもうひとつ。
私は、春枝さんのような人になりたいと思うようになりました。
一緒にいる人を、まぁるく包み込めるような。
誰かの心を、少し温かくできるような。
そんな、豊かな人になりたい🌸

春枝さんへ
今もずっと会いたいです。
春枝さんと過ごした時間は、私の宝物です。
これからも、春枝さんからもらったものを大切にしながら。
春枝さんのような、心の豊かな人を目指して生きていきます。
春枝さん。
本当に、ありがとうございました。🌸

最後まで読んでいただき、ありがとうございました🌸
まるさん🌱
