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陰陽師の隣で 第十四話『霊を呼び寄せる人』

    母が亡くなってから数ヶ月が過ぎた。


    身体の異変に気づいた時、私は「元気になったのかもしれない」と勘違いしていた。


    だが、それは違った。


    気がつけば私は、うつ病になっていた。


    メンタルクリニックを受診すると、医師からしばらく仕事を休むよう診断書が出された。


    主治医からは、


    「ご自身で原因は思い当たりますか?」


    と聞かれた。


    けれど、正直まったく分からなかった


    うつ病になった人の話を聞くと、仕事が原因だったという人が多い。


    しかし私の場合、それだけは違うとはっきり言えた。


    仕事は好きだった。


    やりがいもあったし、同僚にも恵まれていた。


    だから一ヶ月の休養を言い渡された時も、正直信じられなかった。


    けれど、うつ病特有の症状は次々と現れ始めた。


    父は、

    「今はゆっくり休め」と

    言ってくれた。


    だが私は、父と同じ屋根の下にいる事そのものが苦痛だった。


    一人になりたかった。


    二階へ避難しても、居間で一人過ごしている父の事が気になり、結局下へ降りてしまう。


    そんな毎日だった。


    一ヶ月経っても症状は良くならない。


    そんなある日。


    聖さんから電話がかかってきた。


    「元気しとる?」


    私は心配をかけたくなかった。


    それでも正直に、うつ病になった事を伝えた。


    すると聖さんは、まるで分かっていたかのように言った。


    「あー……やっぱり。そうなっちゃったか」


    私は思わず聞き返した。


    「え? やっぱりって?」


    すると聖さんは静かに言った。


    「うちに初めて来た時、先生に言われた事覚えとる?」


    私は記憶を辿った。


    『えーっと……霊道が通っとるって話ですか? でも先生は、霊道だけが原因じゃないって……」


    そこまで言った時だった。


    私はハッとした。


    先生は確かに言っていた。


    『お母さんは好きでアルコール依存症になったわけじゃない』


    『霊道がある』


    『霊を呼び寄せる人間がおる』


    『負のオーラ満載の人間が家族におる』


    ――霊を呼び寄せる人間。


    もしかして父の事だったのか?


    母の次は、私が影響を受ける番なのか?


    うつ病で身体は思うように動かない。


    それなのに頭の中だけは止まらなかった。


    記憶を辿り、答えを探し、余計な想像ばかりが膨らんでいく。


    そして私は、ある事実に気づかされる事になる。


    先生が言っていた「理由」。


    それは私が思っていたものとは、まったく違っていた。








     
     
    初めまして。noteを初めてまだ日が浅いので読みにくいかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

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