フードコーディネーターは海外のスーパーをこう歩く!【ご当地スーパーの楽しみ方】
旅先の食をもっと楽しむ準備
私は現地に1週間以上滞在する旅では、フルキッチン付きの宿に何泊かすることが多いが、キッチン付きの宿に泊まらなくても、旅先の食の楽しみを倍増させる方法はある。
長期滞在ではなくても持っていくのは、小さな包丁と100円ショップの薄くて小さなまな板、缶切り付きのワインオープナー、使い捨てカトラリー、紙皿、保存袋、滞在中にちょうど無くなりそうな使いかけのラップだ。
これさえあれば、私にとって旅先のスーパーは、その土地の人たちの暮らしが垣間見える美術館や博物館のように輝く観光スポットの一つになる。
機内食や外食で疲れた胃や、観光で歩き疲れた身体を労わるためにも、スーパーで買える食材が増えると、旅先での食の自由もぐんと広がる。
また、スマホに翻訳アプリを入れておけば、読めない食品ラベルもその場で確認できる。気になる商品は写真に撮って調べ、帰国前に買いたいものはスマホにメモしておくと便利だ。
【旅先の食を楽しむ道具ミニマムセットリスト】
・小さな包丁
・100円ショップの薄くて軽いプラスチックまな板
・缶切り付きのワインオープナー
・使い捨てカトラリー、紙皿
・保存袋
・ラップ
・スマートフォン(翻訳・撮影・買い物メモ)
これだけあれば、ホテル泊でもスーパーは小さな食の冒険の場になる。
食を知ることはその土地を知ること
旅に出て、スーツケースをホテルに預けると、観光地よりもレストランよりも、私は何よりも先に地元のスーパーマーケットに向かう。
滞在中も、ちょいと家の大型冷蔵庫を覗きに行くぐらいの気持ちで、日に何度も足が向いてしまう。
日本には四季があり、それゆえの旬があるように、それぞれの国や土地が、固有の季節と食文化、旬を有している。
旅先の暮らしに合わせて、その一員になったように暮らしに足を踏み入れる入り口が、私にとってはスーパーや市場なのだ。
食は、その地域を知るいちばんの近道だと思っている。
旅先スーパーでチェックしたい8つの売り場

同じ名前のスーパーでも、店舗の規模によって品揃えが違うので、なるべく売り場面積が広い大型店を選ぶのがおすすめだ。
ホテルや外国人観光客が多いエリアのスーパーには、菓子などの持ち帰りやすい土産品を集めたコーナーが設置されている所も多いが、土産コーナーは帰国前日まで取っておき、滞在中は生鮮食品や冷蔵品などの『持ち帰られない味』を優先したい。
ヨーグルトなどの乳製品やフレッシュジュース、調味料など、その土地で日常的によく買われている商品は、売り場面積や商品数が多い。選び方に迷ったら、棚の使われ方にも注目すると良い。
棚に1列に並べられている商品の中で、2列〜3列の幅を使って並んでいたり、大きなスペースを占めているもの、そこだけ商品が減っているものを見ると、「地元の人がよく買うのだろう」と当たりをつけて、試してみたくなる。
ガイドブックや有名You Tuberなどが紹介しているオーソドックスな商品に加えて、独自の目線でもう1種類探してしまうのは、職業病だろうか。
ここからは、フードコーディネーター歴15年の私がおすすめする、海外のスーパーの歩き方を8つの売り場別にチェックポイントとともにご紹介しよう。
【旅先スーパーでチェックしたい8つの売り場】
① 果物|その土地の「旬」を探す
② 野菜|日本では見ない食材を探す
③ 惣菜・チルド|地元の「普段の食事」を知る
④ 調味料|料理をその土地の味にする
⑤ スープ・缶詰・瓶もの|食文化を探る
⑥ 簡単調理品|「焼くだけ・茹でるだけ」を探す
⑦ お酒|その土地の料理との組み合わせを楽しむ
⑧ お菓子・日用品|スーパーならではのお土産を探す
①果物コーナーで『旬の味』に出会う

キッチン付きの宿ではなくても、簡単な朝食などで楽しめるのが『フルーツ』だ。
バナナや柑橘類など、皮を剥くだけで食べられる手軽なフルーツもよいが、スーツケースに包丁とカトラリー、使い捨て紙皿を入れて旅に出れば、その時期にしか出会えない旬のフルーツの選択肢が広がる。

フィンランドの次に連載予定の『台湾』では、ホテル泊だったが、夏の旬のマンゴーを12種類食べ比べした。かぶれるので、マンゴーは1日1個までにしたほうが良いと現地の人に注意されたのも、今となっては笑い話だ。
②野菜は日本にないものを試すと楽しい

果物や野菜などの生鮮食品は、採れたてが手に入るファーマーズマーケットやマルシェ(市場)で買うのが一番だが、フランスのように毎日どこかでマルシェが開催されているような国でなければ、スーパーを利用するのが現実的だろう。
日本ではあまり見かけない形や色のトマトや茄子などの野菜を試してみたり、その土地固有の在来野菜に出会えるのも旅先自炊の醍醐味だ。
海外のスーパーは量り売りが多いので、1個からなど、少量で買えるのも、自炊派にとってはありがたい。
旅先で外食が続くと、野菜不足に陥ることも多く、無性に生野菜が食べたくなることはないだろうか。

そんな時は、スーパーの野菜売り場のカット野菜を探してみよう。
フランスなど、国によっては、洗わずにそのまま食べられる葉物野菜のミックスが売っていて重宝する。
塩と上質なオイル、酸味を加えられる柑橘や酢などの簡単な調味料があれば、サラダを作ることができる。そこに既製品のチーズや肉料理、魚の加工品などを加えれば、立派なメインディッシュにもなりうる。
③惣菜コーナー、チルド(冷蔵コーナー)で郷土食と出会う


ホテル泊で、自炊をしない人でも、必ずチェックしたいのは、地元の人たちの『ふだんのお家ごはん』が一番見える場所『惣菜コーナー』と『チルド(冷蔵)』コーナーだ。
このコーナーには、サラダ、スープ、ロースト肉、魚のおかずとご飯がセットになった弁当のようなものや、サンドイッチなど、その土地で日常的に食べられているローカル食が並んでいることが多い。

疲れて外食も、料理もしたくない時に便利なのが、レンジで温めるだけの惣菜。フランスで食べた写真のカレー味のおかずとごはんのセット惣菜も、悪くなかった。
旅先で温かいものが食べられると、ホッとするのは私だけではないだろう。

また、宿に冷蔵庫が付いているなら、ぜひ試してみてほしいのが、ヨーグルト、バター、チーズ、ハム、魚や肉の加工品など。
フランスのスーパーには、専門店に引けを取らない種類のチーズを扱うコーナーがあったし、フィンランドでは、スモークサーモンの品揃え、薄切り、厚切り、味付けが違うグリル用フィレなど、選ぶのに苦労するほどのサーモン関連品の多さに驚いた。
「何がたくさん売られているか」を見ると、その土地の人が日常的に何を食べているのかが、なんとなく見えてくる。地元の人に混ざってお惣菜を選んでいると、その土地に暮らしているような心持ちになって、なんだか嬉しい。
④自炊派に調味料コーナーは欠かせない


旅先自炊をするなら、調味料売り場も必ず覗く。
余ったら日本に持ち帰って、旅を思い出しながら料理に使うのも楽しみの一つになるので、塩、オイル、酢、マスタード、ハーブ、スパイスなど、現地で買えるものは現地で調達することにしている。
旅先でしか見かけないハーブミックスやスパイスを一つ買うだけでも、いつもの肉や魚がその土地らしい一皿に変わる。

フィンランドのシナモンロールに欠かせない『パールシュガー』や『粗挽きカルダモン』など、日本ではなかなか手に入らない調味料もある。
持ち帰りたい味に欠かせない調味料も、お土産を買う際に忘れずにチェックしよう。
⑤スープ、缶詰、瓶ものコーナーはその土地の食文化を反映する宝の山
✔️スープのコーナー



どこの国でも、意外とおもしろいのが『スープ』だ。
缶詰や瓶詰め、粉末、チルド、冷凍など、国によって売られ方もさまざま。
お湯を入れるだけで食べられるクノールは「全世界のスープ商品を出しているの?」というくらいどこの国でもあるし、ブーケガルニなどの固形のだしや野菜ブイヨンなども、なかなか日本では手に入らないので、お土産にもちょうど良い。
フィンランドではサーモンスープはもちろんだが、アンズタケなどの珍しいきのこスープ、豆のスープ、魚のスープ、クリーム系のスープなど、その土地でよく食べられている味を手軽に試すことができる。
鍋に移して温めるだけのものなら、自炊というほど構えなくてもいい。
パンとチーズ、サラダを添えるだけで、立派な一食になる。
日本からフリーズドライの味噌汁を持っていくのもいいが、旅先で気になるスープを一つ買ってみると、世界が広がる気がする。
✔️加工品(缶詰・瓶詰め)コーナー


日本で、地方の商品開発も手掛ける私が一番わくわくするのは、日本では見られないパッケージデザインが施された商品や、野菜、魚などのおもしろい組み合わせの缶詰や瓶詰めなどの加工商品を見つけたときだ。

その土地ならではの料理がそのまま詰め込まれた缶詰や瓶詰めは、眺めるだけでも楽しい。
フランスには、レストランで食べる料理の缶詰が、レストランで食べるのと変わらない値段で販売されていてなかなか手が出せなかったが、勉強になった。
缶詰や瓶詰めは土産物にしても話題になるが、肉類は、日本に持ち帰ることができないので、気になるものがあったら勇気を出して現地で試してみよう。
私は、フィンランドでトナカイの缶詰を食べなかったのが心残りだ。
⑥旅先自炊派に勧めたい「焼くだけ・茹でるだけ」

「よく旅行に行ってまで料理したいと思いますね」と、食べることが大好きな旅仲間の友人から言われたことがある。
確かに、試したいものがあっても、肉や魚を買っていちから慣れない旅先のキッチンで料理をするのは、ハードルが高い。
旅先では観光もしたいので、「料理をしながら暮らすように旅がしたい」と言えども、毎日を買い出しと料理を作る時間だけに費やすのはもったいないと思うのは、私も同じだ。
観光で歩き疲れ、外食続きで、ゆっくり部屋で過ごしたい日の夕食に、スーパーで私がよく探すのは、焼くだけ、茹でるだけ、温めるだけで食べられるもの。


生ソーセージ、味付けされて焼くだけの肉や魚、茹でてソースとあえるだけの生パスタ、鍋に入れて牛乳で伸ばすだけで完成するスープなどは、手軽に自炊をするためのお勧めアイテムだ。
そこにスーパーで買った野菜を一緒に焼いたり、サラダを添えたりすれば、まるでレストランのような豪華ディナーを部屋でお酒を飲みながらゆっくりと楽しめる。
料理に時間をかけすぎず、大切な人たちと地ビールを飲み、買ってきたものを少しずつ味見しながら、次の日の旅の予定を考える。
なんと贅沢な旅先での食の楽しみ方だろうと思う。
⑦お酒のコーナーは大人の楽しみ


ビールとワインが好きだ。
でも、中華料理を食べるときは年代物の紹興酒を合わせたくなるし、韓国料理には生マッコリとチャミスルが欠かせない。
スリランカカレーには、ライオンビールはもちろんだが、ヤシ酒のコーラ割りが合うとは、地元の人に教わって初めて知った。
南フランスのスーパーには、みたことがないほど長い棚にロゼワインが所狭しと並べられていて、水を買うよりも安いワインもあって驚いた。
一方、フィンランドは、健康維持の観点から酒税がものすごく高く、度数の高い酒は国営の酒店でしか取り扱いがないように、スーパーの酒コーナーは、その国の食文化を色濃く表すものの一つだ。
その日に食べるものに合わせて、または、持ち帰って再現する料理に合わせてその土地のお酒を選び、飲み比べをしては、あーだこーだと知ったふりをして皆で盛り上がる。そんな時間が私はなんとも楽しい。
⑧菓子・日用品コーナーはお土産物の宝庫

スーパーでお土産を買うのは、最終日にしている。
毎日のようにスーパーに通っているうちに、
「ここでは食べられなかったけど、持ち帰られるものはあるかな」
「おいしかったからお土産に配りたい」
「これさえあれば日本に持ち帰って料理を再現できる」
などと考えながらスマホにメモをしているとできあがっている『買い物リスト』を元に、帰国の前日にスーツケースの空きと相談しながらまとめて買うのが効率が良い。
< 日本へ食品を持ち帰る前に>
肉・肉製品、果物、野菜、種子などには検疫があり、加工品も原材料によって扱いが異なる場合がある。
購入前に最新の動物検疫・植物検疫の情報を確認するのがおすすめ。


また、スーパーで買うべきお土産物は菓子などの食品だけではない。
台湾では、屋台で古くから使われてきたショッキングピンクのプラスチック容器があったり、バリではトロピカルジュースやカクテルに刺さっている傘の飾りなどがあった。
インドのスーパーには家庭でも日常使いされるステンレス製の食器や調理道具のコーナーが幅を利かせていた。
フランスのMONOPRIXなど、人気のご当地スーパーはペーパーナプキンやエコバッグ、キッチンタオルなどのオリジナルグッズを出している所もあるし、フィンランドのムーミンに代表されるような国民的キャラクターグッズは、街中の雑貨店で買うよりもスーパーで買うのがお得なことも多い。
スーパーは土地の食文化や生活が垣間見られる場所

スーパーを歩くことで見えてくる、その土地の生活の息づかいがある。
日常的に何をたくさん食べるのか。
どんなものを、どんな方法で保存して1年中楽しめるようにしているのか。
どんな季節があって、どんな旬があるのか。
よく食べる甘味はなんなのか。合わせるのはコーヒーか、紅茶か。
よく飲まれるお酒は何か、つまみは何が合うのか。
レストランで食べる一皿から知る食文化もあれば、スーパーの棚から見えてくる、もっと日常に近い食文化もある。
食を知ることは、その土地の暮らしを知ること。
私は今日も、ショルダーバッグに大容量のエコバッグを2つ忍ばせて、旅先でスーパーを覗きに行く。
合わせて読みたい
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップはおいしいものに…やがてゆきんこが摂取するカロリーに…ひいては体重の増加に繋がっていくでしょう。