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inagakijunya
サービスエリアの松屋から始まる知性の物語
前から思ってたんですけど、
パッシングってすごくないですか?
車のハイビームを一瞬だけチカチカさせるやつです。譲り合いや感謝、警告を表します。
本来なら対向車の視界を遮る可能性のあるハイビームを点灯させることで逆に対向車と意思疎通を図ってるんですよ?
あと短いクラクションもそうですね。
「プッ」ってやつです。
長く鳴らせば相手への威嚇につながる警笛を、ドライバーのさじ加減だけで、譲ってくれたことに対する感謝を表せるのです。
これは、旅を長く続けるために必要なのは、目的地へ最短で着く効率性ではなく、ましてや周りをねじ伏せる力でもなく、その力をコントロールする品性と、環境に適応する知性だということを、静かに伝えてくれる物語。
旅は道連れ。
全く別々の道を辿り、連絡をしなくなって久しい仲になっても、いつもの交差点で、どこかの駅でパッシングみたいに浮かんで消える思い出は、なんでかだらだらとした旅行でみんなで寄ったサービスエリアの、松屋のカウンターの映像だったりするのです。
その一瞬を、思い出したところでまあ意味はないですけれど、たまに思い出して、その頃聴いていた曲をかけてみるのもいいかもしれません。
思い出を道連れに、イッサイガッサイのみこんで!
旅のラゴス - 筒井康隆
