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自分の身体なのに、わからない。

身体のことに気づくのは、
いつだって「痛み」が出てからだ。

今年の1月もそうだった。
娘からもらった風邪をこじらせ、2週間ほどなんとなく体調が優れない。
胃が痛い。そんな日が続いた。

信頼している内科で薬をもらったが、あまり効き目を感じない。

そこで私は、人生初の胃カメラを受ける決心をした。
結果は、「異常なし」。

そして3月下旬。
11時30分、昼食に生卵を食べて1時間後のことだった。

立ち上がれないほどの激痛が胃を襲った。
「ただ事じゃない」と思った。

上からか、下からか。
どちらかから出すしかないと思うほど、苦しくてたまらなかった。

そんなとき、長女が学校から帰宅して無邪気に言った。
「友だち連れてきていい?」

いや、今は無理。とてもじゃないけど無理だ。
とりあえず「お水持ってきてもらっていい?」と頼むのが精一杯だった。
水を飲み干した瞬間、上から全部出た。

でも、そのあと、ふっと体が軽くなった。
よくないものを全て出し切った感覚だった。

だが、まだ胃の痛みは残ったままだった。

長女もさすがに状況を察したのか、
「今日はやめておくね」
そう言って、一人で友人宅へ遊びに行ってくれた。

静かになった家で、予め「音声だけで楽しめればいい」と思って録画していたテレビ番組をつけた。
画面は見ず、流れる音を子守唄代わりに、痛みから逃げるように深い眠りに落ちた。

1時間半後、目が覚めた。
まだ違和感はあるものの、なんとか動けそうだ。
予約していた病院へも行ける気がした。

自転車を20分こいで、なんとか診察室にたどり着いた。
触診と採血、尿検査をして、その日は帰宅した。

翌朝、病院から電話があった。
「白血球の数値が異常に高いです」

いくつか質問をされたが、ここ7年、健康診断に行っていなかった私には、答えられなかった。

電話を切ったあと、私は少しだけホッとしていた。

自分の身体を放っておいたのは自分なのに、
先生はちゃんと心配してくれている。
そのことが、ただただありがたかった。

後日、直接病院に行って検査結果を聞きに行った際には、
白血病の可能性も視野に入れて追加で調べてくれていた。
結果、白血病ではなかった。

ただ、白血球増加の主な要素は「ストレス」だと判明した。
普段、あまり弱音を吐かない私だが、今回は目に見える形で「弱っている証拠」を手に入れた。

だから、ここぞとばかりに夫と娘に見せてやった。
「私の原因の90%は、ストレスでできているんだって」

そのついでに、一つのお願いをした。
「和食を5品、作れるようになってほしい」

どんなに私が体調を崩しても、夫も子も料理ができない。
結局、私が作るか、買ってきたお惣菜になる。
それでは疲れも取れないし、栄養も偏る。

「体に優しいもの」ではなく
「和食を5品」と具体的に伝えた。

この数値は、きっとすぐに消えてしまう。
そう思ったら、今しかない気がした。
(ちなみに今のところ、わが家で料理教室が開催される気配はない……)

検査結果には続きがある。
5日後、もう一度採血をした。
白血球が一時的なものかどうかを見るためだ。

白血球は正常値に戻ったが、今度は赤血球に異常が見つかった。
どうやら「貧血」らしい。

だが、「貧血」にもいくつか種類があるということで、
それを調べるべく、再び採血か……? と身構えた瞬間、
背後で看護師さんの声が響いた。
「血、ありまーす!」
試験管に入った私の血液を、左右にシャカシャカと振ってアピールしている。

じつは、この日は春休みで、小学生の次女を連れてきていた。
診察室を出たあと、娘がぽつりとこぼした。
「『血、ありまーす』って……怖かった」

先生の話を聞くのに必死だった私は、
斜め後ろにいた娘の様子を見ていなかった。

「何してたの?」と聞くと、
「ずっと手ぐししてた」

自分の髪を、ずっと整えていたらしい。
心なしか、さっきより艶やかに見えた。

最終的な診断は、鉄分不足による貧血だった。
繰り返す胃の痛みについては、ただいま、ピロリ菌の検査結果を待っているところだ。

今回のことで、痛感した。
7年間も健康診断に行かなかったのは、やっぱり良くなかった。
見えない部分で、身体は確実に変化している。

もし毎年受けていれば、
「今まで白血球が多いと言われたことは、一度もありません」
「貧血も初めてです」
と、根拠を持って答えられたはずなのに。

身体は、ずっとサインを出していたのかもしれない。
自分のことなのに、何もわかっていなかった。
その事実に、少しだけがっかりした。

ずっと後回しにしてきた自分の身体に、心の中で小さく謝った。

自分の内側を知るために。
これからは、定期的に健診に行こうと思う。

それは「何もない安心」をもらうためであり、
変化に「気づく」ためでもある。


#身体についてのひとりごと


人生初の胃カメラの記事はこちら▼


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