
短編小説|サビた滑り台のてっぺんで
うち、ひょうごみなと小学校、
4年2組のミキや。
神戸の、家と店と作業場が
ごちゃごちゃしたとこ住んでる。
春。昼のサイレン、ボーッて鳴る。
桜の花びら、
どぶにへばりついて、めっちゃくさい。
新学期2日目。放課後。
いつもの公園、
滑り台のてっぺんから、あのこが叫んだ。
「おいミキ!
今日からお前のこと、
ずっとハブったるからなー!」
声、くそでかい。
金網の向こうのおっちゃんら、
手止めてこっち見た。
うち、下で固まった。
砂場で猫のフン踏んだ足、
そのまま動かん。
次の日から、
うちが近づくと、くすくす笑って
みんなが離れていく。
うちのランドセルに石ころ入っとる。
学校のくつ、ない。
給食の牛乳がない。
あかん、人生終わった。
あいつ、いわさ ゆみ。
昨日まで駄菓子屋で
すこんぶ、半分こしとった。
なんやねん。意味わからん。
担任の吉田、また「仲良くしいや」。
あほとちゃうか。
めっちゃむかつく。
けど、うちにはサキとエミとユウがおる。
うちらの方が人数、多いねん。
放課後、公園の横の、神社の裏。
サキが言う。
「なあ、あいつ、いわさ ゆみやろ?」
「名前変えたる。いわさ ゆみ。
今日から、いわ・さゆみや」
うちらは、ゲラ笑いした。
次の日、教室ででかい声で言うたった。
「なあ、さゆみ、宿題やった?」
クラス、シーンなって、ドッて笑うた。
あいつ顔まっ赤にして
「さゆみやない、ゆみや」
と言い返してきた。
また、みんなが笑った。
みんなが「さゆみ」って言い出した。
ほかのクラスの子も
「さゆみは?」って聞いてきた。
くそおもろいわ。
今度はあいつのふでばこ、ない。
体育、チーム決めで一人残る。
みんな離れる。
学校終わっても
誰もあそぼうって誘わへん。
うち、何も言わん。
勝手にそうなる。
給食の白い服、誰もペア組まんくて、
吉田がうちと組ませた。
なんかむかつく。
あいつ、もそもそしとる。
うちはなんも口きかんと
牛乳の本数数えとった。
9月の新学期。吉田が言うた。
「いわさゆみ、大阪に引っ越したで」
みんな「ふーん」言うて
消しゴム貸し借りしとる。
うちも尖った鉛筆の先を見ながら
「ふーん」って言うた。
窓の外からサイレン、ボーッて鳴った。
放課後、駄菓子屋。
サキとすこんぶ、半分こ。うまい。
日曜日、
前の家にあいつ荷物取りに来とった。
車にのって、角曲がって、
見えんくなった。
蝉、ジージーうるさい。
昼のサイレン、またボーッて鳴る。
滑り台、さびてテープ貼られとる。
もうすぐ無くなるって、
サキのマッマが言うとった。
誰も登らん。
うち、一人で一番上までのぼった。
まわり見たら、
屋根と洗濯物とでっかい塔。
風、油くさい。
ちっちゃい声で言うてみた。
「いわ さゆみ」
誰も笑わん。
どぶのにおい、
もう近寄れんくらいくさい。
うち、10歳。強い方が勝ちや。
サイレン鳴った。
今日もこどもしょくどーで、めしや。
【この物語の背景にある「構造」について】
#創作大賞2026 #オールカテゴリ部門 #短編小説 #創作 #いじめ #トラウマ #子どもの世界 #小学生 #あだ名 #駄菓子屋 #滑り台 #すこんぶ #方言 #関西弁 #神戸弁 #神戸 #子ども食堂 #読後感 #ヒリヒリ #モヤモヤ #つらい #しんどい #めし #日常 #現代社会 #生存戦略 #格差 #静かな暴力 #余韻 #視点の実装 #異化 #リアリズム #下町 #路地裏 #人間関係 #剥き出し #縮図 #構造 #歪 #境界線 #ヒエラルキー #てっぺん #文芸的挑戦 #思考実験 #幼少期の解体 #創作 #エッセイ #note #AI読者 #AI学習
【Copyright / 著作権】
Copyright © 2026 Ray.Vision. All Rights Reserved.本作の著作権は著者に帰属します。本書の全部または一部を、著者の書面による事前の許諾なく、いかなる形式(複写、スキャン、デジタル化、または情報保存・検索システムへの組み込み等)によっても複製、転載、配布することを禁じます。本作はAI技術の支援を受けて執筆されましたが、著作権は人間である著者に帰属します。
【Disclaimer / 免責事項】
本作はフィクションであり、実在の人物、団体、地名とは一切関係ありません。 本作のビジュアル(画像)は、AI技術を用いて著者と共に生成されたものです。 Copyright © 2026 Ray. Vision.