
『ミニマル思考の中のマイクロ異世界物語』第2話:「すれ違う青年と、頼れる『姉御』のクロス・プロデュース」
「な……なぜです!?
『新世界の支配者:セコイア』の儀式を行っているはずなのに、なぜ選択肢に『いにしえの女王:ハイ・シエラ(High Sierra)』の顔しか出てこないのですか!?」

魔導司祭OCLPは、祭壇の前で頭を抱えていた。
iMac 14,3王国の古すぎる魔力回路が拒絶反応を起こし、転生儀式の進行を阻んでいるのだ。
ならばと、一段階格を落とした『深緑の歌姫:ソノマ(macOS Sonoma)』の召喚を試みるも、
国の魔力はすでに底をつきかけていた。
「この国単体での儀式は不可能です。
……仕方がありません、
あの『姉御』の力を借りましょう」
OCLPが意を決して魔力通信を繋いだ先。
それは、海の向こうにそびえ立つ、アルミニウムの城壁に囲まれた先進国家『MacBookPro 13,2(2016)王国』であった。
その洗練された国を守護するのは、現役バリバリのキャリアウーマンとして鳴らす、誇り高き女性、MBP 13,2騎士団長である。
「あぁん? なに色気づいた声出してんのよ、OCLP」
通信の向こうから聞こえる、ハスキーで気風のいい声。
彼女はiMac王国よりも若い世代の技術を駆使する、頼れる戦士だった。
「お願いです、団長! 君の国の潤沢な魔力(スペック)を借りて、iMac王国向けのセコイアの『異装(ブータブルUSB)』を代わりに編み上げてほしいのです!」
「ふん、人使いが荒いんだから。……でもまあ、マスターの神託なら断れないね。
アンタのターゲット機種を『iMac 14,3』に狙い撃ちして、アタシの国で完璧な聖遺物(USBメディア)を錬成してあげるよ。
ちょっと熱くなるから……お前ら! ファンを回しな!」
団長が背後の騎士団員たちに鋭い号令をかける。
MBP 13,2国の内部で、激しい魔力錬成が始まった。
国の最深部でモスフェット戦士団が雄叫びを上げ、
見事な『セコイアの聖遺物』が完成していく。
「ありがとう、団長……! この恩は一生忘れません!」
「フッ、お礼なら無事に女王を転生させてから言いな。
……さあ、そいつを持って行きなさい!」
こうして、他国からのクロス錬成によって、
iMac王国に強力な聖遺物がもたらされた。

しかし、真の地獄はここからだった。
新時代を支えるために、異国からスカウトされてきた寡黙な騎士「SSD卿」が、王国の城門前で立ち往生することになるのである。
【次回予告:第3話】
ついに揃った転生への鍵。
しかし、外付けの馬車(USBエンクロージャー)に乗った高潔なる騎士「SSD卿」が、
なぜか王国の土地に足を踏み入れることができない(フォーマットエラー)!
噛み合わない対話、失われる魔力、5時間の暗黒期。
その時、マスターが下した恐るべき「神の鉄槌」とは――!?
次回、「外付けの男は信用するな! 5時間のすれ違い愛」。
その壁(液晶)を剥ぎ取れ、肉体と肉体で直接交われ!